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『逆境の中にこそ夢がある』( 極貧生活 → 農協職員 → 東大教授!! の秘密 )

2008年03月13日

逆境の中にこそ夢がある
(蒲島 郁夫 著、講談社(2008年2月29日発行)  → アマゾンで購入
 
☆ 本書のポイント ☆ <簡単な内容紹介>

熊本県の貧しい農家に育った著者。学校でも勉強しない青年。高卒で就職するも1週間で退社。
そんな彼が、なぜハーバードの大学院に行き、東大の教授にまでなってしまったのか。
努力の継続と楽天主義が人生を切り開く。このことを強く実感させてくれる一冊です。
すがすがしさあふれる素朴で地道な立志伝。経験に基づくヒントが満載。

 

 

vision without action is a daydream.
action without vision is a nightmare.

行動を伴わない夢は、白昼夢でしかない
夢を伴わない行動は、悪夢でしかない。


 
という言葉があります。

でも、「行動」と「夢」。
この両方が伴っていると、
それはとてつもないエネルギーとなって大きなものへと成長してしまう。

そのことを強く感じさせるのが、本書の特徴の一つです。
 
 
     □     □     □
 
 
この、あまりに単純とも思えるような題名の本書。
私が本書を手に取ったきっかけは、著者が政治学の著名な学者だということでした。

私自身、かつて大学と大学院とで政治学を専攻していたこともあり、
直接の面識は無いものの、「あれ? 蒲島先生、こんな本も出すんだぁ」と、
不思議な感覚に襲われたのです。

政治学の先生が、政治学とは大きく異なる本を出すことの意外感が一つ。

そしてもう一つは、
数年前にも、別の政治学の先生の専門外の本を見つけたことがあるのですが、
読んでびっくり、
専門外でありながらも、これがまた実に素晴らしい本だったのです。
それが、こちら。
 

劇団四季と浅利慶太 (文春新書)
 

(参考:過去ブログ記事)
 
■2003年04月24日
「"crazy for what? " ~劇団四季に見る、狂気に近いプロ意識~」
http://www.samsul.com/2003/04/24/crazy_for_what.php

 
であれば、蒲島先生の今回の本も面白いかも・・・と、
そんなきっかけで手に取った次第です。
 
 
     □     □     □
 
 
本書は、蒲島先生が自らの生い立ちから東大教授になるまでを描いたもの。
東大教授というと、順風満帆にエスカレーター式に上がっていくような
イメージがありますが、
蒲島先生の破天荒な歴史は、なかなかインパクトがあります。

そもそも蒲島先生が東大の教授に着任したときの新聞報道がこちら。

■「農協職員から東大教授に(精子から政治へ)」
 (笑)

元々、高卒で就職するも1週間で退社。
熊本県の農協職員になったものの、その後、農業研修のチャンスを見つけて渡米し、
農場や牧場で実地の学習を積み(相当厳しい経験だったようです)、
畜産研究の観点から豚の精子の研究に入り、
その後は、政治学の分野を学び始めて帰国するという、
珍しいご経歴なのです。
 
 
     □     □     □
 
 
大人2人が年間に消費するお米の量しか生産できない、
そんな小さな貧しい農家の元に育ち(8人兄弟で!)、
貧しさの中での暮らしが続きます。

そういう、ある意味で、底辺のところから出発し、
学校にもほとんど不登校で通してきたような学生さんが、
その後の改心で、
どうやって渡米体験を勝ち取ることができ、
しかも渡米研修中に、日本に残した彼女さんと結婚し、
アメリカの大学院で勉強している中で、二人のお子さんに恵まれ、
そうして東大の先生にまでなってしまった、
その背景にどんな秘密が隠されているのか。

「現在自分がどんなに厳しい境遇にあったとしても、
将来は必ず大きなことをやってみたい!」

そんなふうに思っている人には、ぜひ読んで欲しい一冊です。
 
 
     □     □     □
 
 
自分がどのようなスタート地点にあろうとも、
努力の継続に勝るものは無いし、
そのためには、積極的で楽天的な姿勢、そして何よりもそれを支える基礎体力。

これが、人生をアドベンチャラスに切り開くための
神器になるということが、ご本人の経験を通じて伝わってきます。

自らの努力によって人生を創造するというのは、
実は夢物語ではなく現実の出来事なのであって、
そういう人もきちんと存在する。
そしてその一方で、
チャンスが来てもそうとは気づかずに捨ててしまう人もいる。

これは、一体何なのだろうかとすら思ってしまう程でした。
 
 
     □     □     □
 
 
こうしたことに気づきにくくなっている原因の一つには、
やはり、時代としての飽食があるのだろうと思います。

逆境や苦労の無い中で育った人間と、
そういう環境を闘ってきた人間とが、
同じ能力(意欲)をもっているとは思えません。

努力を通じて得られるものの素晴らしさは、
それを経験した人間、もっと言えば、
それを経験せざるを得なかった人間でなければ、
深いところまでかみ締めることは無いはずなのです。

時代が豊かになればなるほど、
「それを経験せざるを得ない」という場面は、どんどん減っていきます。

これは、ある学者が言った言葉、
 

「便利さを享受すればするほど、
 人間は、それ相応のものを何かを失っているのだ」

 
と通じるところがあるように思います。

努力の継続は偉大であり、
積極的で前向きな克己心に勝るものはなく、
それゆえに、
「若いうちの苦労は買ってでもせよ」ということなのですよね。

「逆境の中にこそ夢の種がある」というのは、真実なのでしょう。
 
 
     □     □     □
 
 
長くなってしまったので、このあたりでまとめますが、
著者の生まれた環境や、時代背景にも、いろいろな想いを
もつことができました。

「今の自分は恵まれていない!」と嘆く若者には、
ぜひ、本書を読んでみてほしいと思いました。
よって立つところの環境があまりに違いすぎると思うのです。

豊かさゆえのパラドックス。
便利さと引き換えに支払ってしまったものの、とてつもない重み。
失われたものに気づかないがゆえに、後から襲い掛かるその代償・・・。

これは、ひょっとしたら、
ますます大きな社会問題の根源になるのではないかとすら思います。

(ご年配の方々が、若者を見て、
 「なんでたったそれくらいのことで悩んだり挫折したりしているの?」と
 不思議に思われることが多いのは、ここに大きく起因していそうです)
 
 
     □     □     □
 
 
著者が、学校に行っても勉強しない、そして学校にも行かなくなる、
そんな感じだったのに、次第に積極思考になっていき、
そこからは、もう、どんどん良い方向へと進んでいく。

積極思考と努力の継続が、運命まで好転させてしまっているのは、
本書を読んでみる価値の一つではないかと私は思います。

そして、そうした過程で、著者の活躍を強力にサポートしたものは、
著者が一環して貫いてきた、
 

■ご縁を大事にし、応援してくれる人たちを裏切らない。

 
という点にあることが、ひしひしと伝わってくるのも特徴です。

本書を読んで、これがいかに大切であるかを改めて思い知らされました。
 
 
     □     □     □
 
 
人によっては、
「ある一人物の、普通の伝記もの」と片付けるかもしれません。

でも私にとっては、久しぶりに、
読んでいて、大変すがすがしい気持ちにさせてくれる一冊になりました。

皆さんにとっても、本書が、そういう一冊であれば幸いです。
 
 
 
 
 2008年3月13日             渡邉 裕晃
 
 
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