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小説『二荒(ふたら)』絶版へ(立松和平さんが再び盗作騒動のショック)

2008年08月13日

本当にショックです・・・。
2008年6月のニュースですが、私は今になって把握しました。

日光・中禅寺湖をテーマとする
立松さんの小説、『二荒(ふたら)』が絶版になったと言うのです。

1993年にも『光の雨』という作品で盗作疑惑を起こした立松さん。
二度目となると、厳しいかもしれませんね・・・。

何がショックと言って、
この『二荒』という作品、私にとっては、
「2007年に読んだ小説部門、ナンバーワン」だったのです。
(しかも、私の縁戚が関わった舞台も描かれている作品でした)

ショック、ショック、ショック・・・。
 
絶版になった『二荒』の表紙(なんと箱です!)
【写真:絶版になった『二荒』の表紙(なんと箱です!)】


 
 
     □     □     □
 
 
私にとっては、「2007年に読んだ小説部門、ナンバーワン」。
だから「早くブログで紹介したいな」と思いつつ、
でも、なぜか、
なかなか書き進むことが出来ませんでした。

これも、何かの因果なのでしょうかねぇ。

本当に素晴らしい作品なのに・・・。
 
 
     □     □     □
 
 
そもそも、この本を読んだきっかけは、
小説のモデルになっているご本人から、
直接教えてもらったこと。

私の祖母の叔父とその父親は、
日光の中禅寺湖で、一定の活躍をした人でした。
当時、欧米を中心とする外交官たちの避暑倶楽部が展開されていて、
それに大きく関わりを持っていたのです。
 
 
     □     □     □
 
 
そんな先祖の活躍の一端を知りたくて、
昨年、その歴史を追いかける旅に出ました。

そこで、いろいろなものを見て、
また、いろいろな出会いもあったのですが(なんと意外な縁戚にも遭遇!)、
そのうちの一人が、この小説の主人公のモデルさんだったのです。

森の中に住むその方は、本当にシャイで、
ほとんど目を見てくれません。

それでも、しつこく近づいて、
話をしていたら、
なぜか、急に気に入ってくれて、
「お前、これから帰るのか? だったら、途中まで俺の車に乗ってけや」と、
いろいろなお話を聞かせてくれたのでした。

その中で、
「立松さんが来月、小説にするみたいでね。私はまだ読んでいないんだけど、
 ぜひ見てみたらどう?」と教えてくれた、
それが『二荒』と出会う、きっかけだったのです。
 
 
     □     □     □
 
 
盗作疑惑で絶版になった本を賞賛するのも気が引けますが、
私が2007年に読んだ小説の中では、文句無く、
圧倒的なナンバーワンとなる本でした。

悲しいことに、
盗作元となった本の著者は、これまた、遠からず関係者(笑)。
その方が、かつて自費で出版された非売品の小冊子、
私は持っています・・・。

当時の避暑倶楽部に関係した人物に配布されたもので、
昔、私の祖母から、なぜか私に手渡されました。
なんか、本当に残念ですよ・・・。
 
 
     □     □     □
 
 
ちなみに、この避暑倶楽部、
「東京アングリング・エンド・カンツリー倶楽部」自体も、
惜しまれて無くなりました。
昭和19年、戦争末期で、仕方なく頓挫。

記録を見る限りでは、
本当に素晴らしい楽園のような倶楽部だったようです。
 
 
     □     □     □
 
 
テレビドラマにもなった有名な作品、
真山仁さんの『ハゲタカ』の原作本では、この避暑倶楽部が、登場します。
(ちなみに、本書は私にとっての「2006年に読んだ小説部門、ナンバーワン」です)
 

 
この素晴らしい理念をもった倶楽部が、
外資の手によって、現代によみがえるという設定の話になっているのです。

私は、その歴史をかじったことがあるだけに、
やはり『ハゲタカ』を読んでいて、本当にドキドキ、ワクワクさせられました。

その後、幸運にも、真山仁さんとコンタクトをとることができ、
この旨を伝えたら、本当にびっくりされました(笑)。
 
 
     □     □     □
 
 
だんだん話がそれてきましたが、
日光と言えば、そこが栄えたのは、

(1)日光が開かれた時代(勝道上人)
(2)江戸幕府によって守られた時代(徳川家康)
(3)明治から昭和にかけての避暑地時代

という3時代(厳密には、昭和の高度経済成長時代も含められるかも)。

その3時代を、あっちに行ったり、こっちに行ったり、
小説『二荒』は、
それらの時代を縦横無尽に行き渡る、本当に素晴らしい作品なのです。

自然と生命、人間の価値。
実に素晴らしい、ゆったりとした時間が描かれていて、
読んでいて、とても不思議な気分にもさせられた作品でした。
 
 
     □     □     □
 
 
本当に感動的な作品で、
思わず私は再読までしてしまいました。
そんな作品、私にとっては、相当珍しい部類に入ります。

本来なら、この小説によって、
中禅寺湖の素晴らしい世界が現出されて、
当時の避暑倶楽部に関係した、
トーマス・ブレーク・グラバーや、ハンス・ハンターなど、
日本の近代化に貢献した外国人たちが改めてクローズアップされていたはず。
 
 
     □     □     □
 
 
一方で、
生命の神秘もまた同時にあぶりだされていて、
表現が陳腐で申し訳ありませんが、
本当に本当に素晴らしい世界が描き出されていたのです。

ほんのちょっとした盗作が傷をつけることになり、
本当に残念・・・。あぁ、残念。

修正してから再出版される予定だそうですが、
傷は残るでしょうね・・・。

本当は、日光の素晴らしい物語と共に、
華々しい復活を遂げてほしかったのですが。
中禅寺湖の歴史には、なぜか悲しいムードがつきまといます。



 
 
 
 2008年8月13日             渡邉 裕晃
 
 
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