【映画レビュー】「愛の流刑地」(原作の深さを思い知らされる作品)

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日本経済新聞に連載され、
相当な注目を浴びた渡辺淳一さんの作品「愛の流刑地」が
とうとう映画化されました。
 

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私は、新聞連載時から読んでいたのですが、
日々読み進めるごとに、
その文学的センスに圧倒されたこと、
今でも強く覚えています。
それが映画化されるとあって、
さっそく公開初日、1月13日に行ってまいりました。
■「愛の流刑地」公式サイト
  ( http://www.airuke-movie.com
愛の流刑地


この作品は、R15指定。
15歳未満(中学生以下)は入場が禁止です。
日経に連載された時は、
「よくぞやってくれた」という声と、
「日経も地に堕ちたか」という声と、
賛否両論だったようですね。
でも、私が思うに、
否とする方々の多くは、
表層だけを見ていて、
本質までを見ていないがゆえの判断なのではないかなと
思います。
 
 
     □     □     □
 
 
映画自体は、とても見やすく、わかりやすい作品です。
ただし、原作を読んだ身としては、
原作に込められた深みがあまり投影されていないという印象を受けました。
逆に言えば、
映画を見てから、かえってより一層、
原作がいかに素晴らしいものであったのかを、
改めて実感できました。
表層だけを見れば、
けがらわしく、ふしだらな印象を抱くようなテーマかもしれませんが、
考えれば考えるほど、深遠なテーマであることが実感されると思います。
原作は上下刊で非常に長いのでとっつきにくい人も多いと思いますが、
映画を見て、興味を抱いた方は、ぜひ次に原作に進まれることを
強くおすすめしたいと思います。
 
 
     □     □     □
 
 
映画は、良さと悪さがありますが、
悪い点は、原作の深みが出ていないこと。
良い点は、重点をコンパクトに非常にわかりやすく尖らせてアピールしていること。
あまりにわかりやすく、見やすくできているので、
テレビドラマみたいだな・・・と感じつつ見ていたのですが、
監督さん、40年もテレビドラマに携わっていた方だったようで、
「なるほど、そうか」と思ったものです。
無意味なほど豪華なキャスティングをそろえていたのも、
きっと、若者、あるいは、わかりやすいものを好む層を
ターゲットにしていたからなのかもしれません。
映画では、わかりやすくするために、原作と異なる点がいくつかあるのですが、
わかりやすくしているがゆえに、「次は原作にチャレンジしたい!」と思わせることができれば、
それはそれで一つの成功なのではないかなとも思います。
 
 
     □     □     □
 
 
映像は、非常に美しくまとめられており、
進行もとてもわかりやすく、
見ていて疲れない作品だったと思います。
性愛シーンが多い割には、
いやらしさが全く感じられないのは、
お見事というしかありません。
総括して、
テレビドラマとしてみれば非常に良いですが、
原作はもっともっと深遠です、とお伝えしたいと思います。
また、新聞連載、単行本、映画、それぞれに、
特有のメディア特性があるということも言えるかと思います。
 
 
     □     □     □
 
 
最後に付言すると、
映画では、原作とは異なる仕掛けとして、
冬香さんのお母さんの存在が、
極めて良い影響を与えていたと感じました。
ここで泣いた方、多かったですからね。
ネタバレになりますので、あまり言いませんが(笑)。
また、小説なり映画なりを見た方ならば
共通して思うことかもしれませんが、
作品中に出てくる小説「虚無と熱情」、読んでみたくないですか?
でも、これだけ売れてしまうと、
原作への影響を考えると、無理でしょうか・・・。
ぜひ、ご夫婦、カップルで見てほしい作品です。
「愛」について、再び考える良いきっかけになると思います。
そして、その後に原作を読まれることを忘れずに。
台詞も、本当に深いですよ。
久しぶりに印象深い作品でした。
あと、平井堅さんによる主題歌「哀歌(エレジー)」には、
本当に圧倒されました。
 
 
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■(参考引用)解説:
中年の作家と、愛を知らない人妻が心と体を互いに深く求め合い、究極の愛情を構築する大人のラブストーリー。男と女の深遠な愛を描いた渡辺淳一の同名恋愛小説を、TV界で活躍してきた鶴橋康夫監督が官能的に映し出す。作家役に『フラガール』の豊川悦司、彼と愛し合う人妻役に『大停電の夜に』の寺島しのぶが挑み、共演の多い彼らならではの呼吸で愛の軌跡を熱演。全時間の半分が主演ふたりの愛の営みという官能描写の数々に注目。
かつて恋愛小説の旗手として注目され、今では世間から忘れられた存在である中年作家の村尾菊治(豊川悦司)は、ある朝、情事の果てに入江冬香(寺島しのぶ)を絞殺し逮捕される。事件を担当した女性検事の織部美雪(長谷川京子)は、菊治の漏らす言葉に困惑しながらも真相を追い、疑問を抱えたままやがて裁判の日を迎えるが……。 (シネマトゥデイ)
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 2007年1月14日            渡邉 裕晃
 
 
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