インドネシア「ムスリム知識人協会」がGoogleとYoutubeのアクセス制限を政府に要望へ

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6月6日からイスラム教の「断食」期間に入ったインドネシア。
イスラムの人たちは、陽の出ている時間には、
食べもせず、飲みもせず・・・という暮らし。
身を清めるという行為から、
改めて厳格な気もちになる人も多いようです。
そんな中、インドネシアのムスリム知識人協会が、
Googleと、Youtubeのアクセス制限(ブロック)を
インドネシア政府に対して求めた・・・。
そんな衝撃的なニュースが、いま話題になっています。
現地の代表的メディア「Kompas」が詳細を報じています。

「ムスリム知識人協がGoogleとYoutubeのブロックを政府に要望」とのKompas記事より】【画像:「ムスリム知識人協がGoogleとYoutubeのブロックを政府に要望」とのKompas記事より】


     □     □     □
記事の題名は、

「ムスリム知識人協がGoogleとYoutubeのブロックを政府に要望」
ICMI Minta Pemerintah Blokir Google dan YouTube – Kompas.com(Selasa, 7 Juni 2016 | 19:41)

というもの。
記事の詳細は次のとおりです。

インドネシアのムスリム知識人協会(ICMI) は、インドネシア政府に対し、検索サービスGoogleと、Youtubeのブロックを求めている。それら2サイトのサービスが、ポルノや暴力コンテンツを拡散させる場になっているというのが、その理由だ。
さらに同協会が言うには、性的暴力の犯罪者たちが、インスピレーションを得る道具としてGoogleとYoutubeを使っている傾向にある。インスピレーションとは、ポルノコンテンツや性的刺激のことを意味している。
同協会によるGoogleとYoutubeのブロック要求は、こうした背景によって、より強固なものとなっている。ポルノ犯罪や性的暴力に関するほとんどの犯罪者たちが、刺激やインスピレーションを、PCからでも携帯からでも容易にアクセス可能なGoogleやYoutubeポルノ映像から得ていると認めている。
「このサイトは、すでに、ポルノや暴力のコンテンツを自由に拡散させることが、いかなる制限もなしに可能となっている。GoogleとYoutubeは、すでにインドネシアに対して悪影響を与えている」と、同協会の事務総長であるJafar Hafsah氏は語っていると、6月7日付の「Tribun News」が報じている。
「もしYoutubeとGoogleがそれらサイトのコンテンツをコントロールすることを拒否するならば、ブロックされてしかるべきだ。何百万というポルノと暴力のコンテンツが、サイトに存在しているのだ」と語る。
同協会はまた、それらの2サイトの追跡調査を行っている。その結果が示しているのは、2010年から2016年のデータによれば、インドネシアはポルノにアクセスする世界第二の国になっているということだ。
YoutubeやGoogleで最も検索されているキーワードは、同協会によれば、だいたいポルノに関連している。一方で、教育や経済、宗教や政治社会に関するキーワードはより少ない傾向にある。
ブロックを推奨する判断が行われた別の要因としては、同協会によれば、税金の問題だ。Googleは、すでにインドネシアから多くの利益を得ているとされているが、一銭たりとも支払っていない。
この2サービスに対して毅然とした態度を取るよう政府に求めるだけでなく、同協会は、インドネシアがすぐに、海外の検索やソーシャルメディアに占領されていることから独立すべきだと呼びかけている。コンテンツが保護されるためにも、国内製の代替サービスがなくてはならないと。
「私が確信しているのは、インドネシアのイノベーターは、GoogleやYoutubeなどような検索サービスを生み出す能力があるということです。政府の支援があればきっと」とJafar氏は語る。
すでに知られているように、現在インドネシア政府は、アプリサービスの提供や、インターネットを通じたコンテンツに関する規制案を検討している最中だ。別の言葉で言えば、この規制は、Googleや同種のサービスの活動を守ることになるはずだ。
規制案は、まだ形式化されていない。しかしその一部については、ポルノや暴力に関連するコンテンツに対する禁止問題が、すでに言及されている。

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「イスラム」というと、日本では
なんとなく偏見をもって見られることが多く、
「イスラム=過激」というイメージすら見受けられます。
でも、特にインドネシアのイスラムは、
一般的に寛容な姿勢でとらえる人が多いことで知られてます。
また、今回政府に要望を出している、
インドネシアの「ムスリム知識人協会」も、
もちろん、過激なアピールをするような団体ではありません。
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「ムスリム知識人協会」は、1990年に当時のスハルト大統領が設立。
初代会長には、ハビビが就任しています。
ハビビは、スハルトに続いて大統領になった人物です。
インドネシアにおいて、
一般市民の現代イスラムの解釈や動向に詳しい研究者といえば、
岩手県立大学(総合政策学部)准教授の
見市 建先生が有名です。
その見市先生が2000年11月に書かれた論文、
インドネシアにおける「イスラーム市民社会論」の二大潮流
(神戸大学の紀要「国際協力論集 8(2) )
から引用すると、その誕生は次のように記されています。
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「国軍と関係が悪化したスハルト大統領の権力基盤の安定化を目的としたことは否定しえないが、経済発展による中間層の成長、イスラーム復興による敬虔なムスリムの増大、それに伴うイスラーム書団体の活動の多様化を反映していた」
「国家の手によってインドネシアのムスリムを統合する目的で作られたこれまでの組織が、いずれもNUやムハマディヤといった宗教団体の代表者を集めたものであったのに対して、ICMIはそれらの団体からだけではなく、大学教授やNGO活動家、野党政治家などより多様な参加者を得た点で経済発展による社会変化に対応した新しいプロジェクトであった」
「都市中間層における敬虔なムスリムの拡大は明白であり、政府もこれを体制内に抱き込む必要があった」

という背景もあり、イスラムの教えに忠実に生きることを
あらゆる手段を用いて実行するような、そんな過激な団体ではないのです。
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近年のインドネシアでは、性的犯罪がクローズアップされ、
大統領みずからが乗り出して、
とりわけ幼児に対する性犯罪への厳罰化が決まったばかり。
一方で、海外からやってくるインターネットサービスが、
インドネシアを席巻することで、
従来の国内企業に不利益になるようなことへの反発も、
ここ数年で起きるようになってきました。
その中には、今回の記事にあるような、
「インドネシアで儲けているのに納税していないのはケシカラン!」
という主張も、繰り返し行われます。
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かといって、デジタル産業の振興をとなえるインドネシア政府が
もはや市民権を得ている存在である、「Google」や「Youtube」を、
政府自らブロックするなどということをするとは思えません。
ただし、「制限なんて、やるはずないじゃん!」と
笑って一蹴するのは簡単。
インドネシア理解をするためには、
こういう動きも実際にあるということを抑えておく必要があると私は考えます。
というのは、一般市民のレベルで見ても、
性的犯罪に対する嫌悪感や、
ネットがもたらす悪影響への懸念は日本以上に強いという感覚が、
私がインドネシアで暮らしている限りでは、より実感するためです。
これに対してインドネシア社会がどう反応するか、
また、インドネシア政府がどのようなかじとりをするか。
「インドネシアのいま」を理解する上でも、
また、
「政府が今後のインドネシアに向けどう動くのか」を理解する上でも、
今回のニュースは、一つの参考材料となりそうです。

(参考:samsul.comブログから)
 
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サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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