ジャカルタのサリナデパート前の爆発テロ事件で流れた「同時多発」という誤報の謎

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ちょっとマニアックネタかもしれませんが、備忘録で。

今日のジャカルタ、サリナデパート前の爆破事件。
私はネットとテレビでずっと情報の推移をウォッチしていました。

本当に痛ましい事件で、
亡くなられた方々のことや、
近くで恐怖を感じられた方のことを思うと言葉がありません。

その後、現場に警察官などが集まって、
犯人の追跡に向けて活動する緊迫した様子は、
現場からの生中継映像を通じて、ひしひしと伝わってきました。

でも、そんな中で、私はひとつ気になったことがありました。

サリナデパート前の爆破事件の様子を伝える「kompas」の記事より
【写真:事件の様子を伝える「kompas」の記事より】


     □     □     □

テロの直後ともなれば、さまざまに情報が錯綜するもの。
犠牲者の数、犯行の様子、目撃者の証言・・・。

伝わってくる情報が、いろいろあって、
断片的に伝わってくる情報の真偽をはかるのは、それなりの難しさがあります。

例えばこれは、事件発生直後の
kompas-tvのニュースの様子。

2分41秒の短い映像ですが、キャスターが言葉を選びつつ、
でもかなり動揺しながら報じている様子がわかります。

[映像] Ledakan Terjadi di Kawasan Sarinah – Kompas TV

サリナデパート前の爆破事件の様子を伝える「kompas」の映像より
【写真:事件直後に放送された「kompas tv」の映像ページより】

     □     □     □

たしかにこういう緊迫した事情はわかるのですが、
私が気になったのは次のこと。

サリナデパート前の爆発事件なのに、
ソーシャルメディア等を見ていると
「複数のエリアで同時爆破テロ」という情報を見る機会が意外とあったのです。

え? 爆発が起きたのは、サリナだけなんじゃないの?

     □     □     □

ちなみに、これは、
サリナデパート近くで複数起きた爆発のうちの1つ。

事件の痛ましさは、これだけでも強く伝わってきます。

Ledakan Bom di Starbuck Sarinah Thamrin

Detik-detik meledaknya bom di Starbuck Sarinah ThamrinBREAKING NEWS: Ledakan Kuat Terjadi di Sarinah Thamrin http://kom.ps/AFu0Pj Sumber: social media

Posted by Kompas.com on 2016年1月13日

こうしたテロともなれば、情報が錯綜するのは当然かもしれません。
でも「1ヶ所の爆発事件」と「複数のエリアでの同時多発」とでは
明らかに事象のレベルが異なると思いませんか?

「情報ソースは、いったいどうなっているんだろう?」

私はすごく気になったのです。

今後の人生の中では、不確かな状況の中にあっても、
一定の情報をもとにして、瞬時に判断しなければいけない局面は
たくさんあるはず。

そのためにも、私はこの背景を知っておきたかったのです。

     □     □     □

今回の犯行グループは、一部が逮捕され、一部は亡くなりました。

テレビの報道で、警察の広報担当者が、
「この地域の安全は確保されました」とコメント。
事件解明はこれからですが、まずはいったん落ち着きました。

でも、「同時爆破」というニュースの件が、どうしても気になって、
その後もいろいろ調べていました。

その結果、これかな・・・という情報に行き着きました。

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やはりインドネシアの現地の人でも気にした人は少なくないようで、
「きっかけは、インドネシアテレビ局の”TV One”ではないか」という指摘。

tvOneは、サリナデパート以外にも、異なる3ヶ所の場所で爆破があったと伝えた。スリピとクニンガンとチキニの3つのエリアだ。爆発が起きたのはサリナだけだと警察の広報部がコメントしているにもかかわらず。

サリナ爆発に関係してデマを流したのは”TV One”だとネチズンからの非難
(Sebar hoax soal bom Sarinah, TV One dibully netizen)と題する記事。

同記事によれば、”TV One”が報じた「複数のエリアでの爆発テロ」とのニュース。

その後、ガーディアンやAP通信、BBCのような大手メディアまでが
このニュースを引用するようになり、
そこから英語記事等に広まってしまったのがきっかけとのこと。

     □     □     □

事件発生直後から、リアルタイムに私がチェックしていたのは
「インドネシアで信頼できるメディア」からの情報。

それらの情報源からは、私の記憶が正しければ
「複数のエリアでの同時爆発」というニュースは聞きませんでした。

(厳密に言えば・・・、
 複数エリアでの同時爆発を報じたのがTV-Oneだけだったのかどうか、は
 検証できていません)

11時前に起きた事件でしたが、12時台のニュースでも、
「爆発は1箇所だけだ」と強調する情報が何度も流れていました。

でも、ガーディアンやAP通信、BBCのような、
大手メディアでも「複数エリアでの爆発か」と流れてしまうと、
それが独り歩きしてしまうものなのでしょうかね・・・。

     □     □     □

“TV One”は、2014年7月の大統領選挙で
プラボウォ候補に対するあまりの偏向報道が有名で、
プラボウォ勝利を報じたことでも知られています。

それを差し置いても、
そもそもなぜ「複数箇所の爆破」と報じることになったのか、
そこに至る取材の経緯がどうだったのかは、ぜひ知りたいところです。

ちなみにその後、”TV One”は、
「爆発が起きたのはサリナだけです」というツイートを、
わざわざ警察の広報アカウントにメンションするかたちで発信しています。

事実上の訂正報道ということになりそうですね。

というわけで、
「1箇所爆破」なのに「複数エリアでの爆破」のニュースが流れたのは、
こうした事情が影響していそうです。

     □     □     □

今後の残り人生の中では、
おぼろげに不確かな状況の中にあっても、
一定の情報だけをもとにして、
判断や意思決定を瞬時に下さなければいけない局面はたくさんあるでしょう。

だからこそ、情報を見る目や、
判断・決断する時の自分なりのやり方というものは、
常に磨いていたいものです。

今回のブログは自戒を込めて、備忘録としてまとめてみました。

■追伸:
ちなみに本ブログの趣旨は、「TV-Oneけしからん!」ということではなくて、
報道内容を理解するためには二重三重に確認する等、
一定のリテラシーが欠かせませんね・・・ということです。念のため。

【1/15追記】
本日付のkompasの記事、
「デマを流し不適切な映像を流したとして、3つのテレビ局がインドネシア放送倫理委員会から制裁」(Tayangkan Berita “Hoax” dan Visual Tak Layak, 3 Stasiun TV Diberi Sanksi KPI)によると、
インドネシア放送倫理委員会は、この度、
今回の誤報は人々の不安を引き起こしたとして、
放送指針違反としての制裁(文書による厳重注意)を課す決定を下したそうです。

(参考:samsul.comブログから)
 
■2015年1月17日up
 ジャカルタのテロ事件「複数エリアでの爆発」は誤報と認定。TVOneなど厳重注意へ

サムスル
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