「10億ドル超のベンチャーを生み出す!」とのインドネシア政府の野心

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「デジタル産業で経済促進を目指す」という姿勢を見せるインドネシア。

現在のジョコウィ政権になってから、とりわけ昨年後半に入ってから目立つようになってきたメッセージです。

「2020年までに1000のスタートアップ企業を」というインドネシア政府の姿勢に呼応するかのように、Googleもまた、インドネシアで2020年までに10万人の開発者を養成する方針を打ち出しています。

インドネシアのグーグルの戦略|2020年までに10万人の開発者を養成へ
日本の方とインドネシアについての話をする時に、「インドネシアでは、エンジニアやプログラマが育つ土壌があるか」という話題を聞かれることがありま...

今回、インドネシア政府の次なるメッセージとして、「2016年中にGo-Jek級の企業を2社、新規創出させる!」という姿勢が明らかとなりました。今回はこれについてご紹介します。

インドネシア ベンチャー スタートアップ 支援 Kompasu記事【画像:「インドネシア政府は2016年中にGo-Jek級の企業を2社、新規創出させる意向」とのKompasu記事より】




ルディアンタラ通信情報相によるスピーチ

3月11日にジャカルタで開催されたイベントで、通信情報省のルディアンタラ(Rudiantara)大臣が、これに関する詳細を説明をしています。

インドネシアの代表メディアKompasが、次の記事で報じました。

「インドネシア政府は2016年中にGo-Jek級の企業を2社、新規創出させる意向」Pemerintah Ingin Cetak Dua “GoJek” Baru pada 2016 – Kompas.com(11 Maret 2016 | 16:55)

と題する記事、詳細は次の通りです。

「2020年までに1000のスタートアップ企業を」という長期的なプログラムを打ち上げた他にも、インドネシア政府は短期的な野心的な目標をもっている。

通信情報大臣のRudiantara氏によれば、2016年末までに、政府は2つのユニコーン(渡邉注:評価額10億ドル以上の非上場企業のこと)を目標としている。

「少なくとも、ユニコーンになる2つのスタートアップがある状態を今年中に。それはGo-Jekのような企業だ」と3月11日、ジャカルタで開催された「デジタル化の恩恵」というイベントで述べた。
すでに知られているように、ユニコーンという用語は、もともと小さかったのに巨大になるデジタル企業のことを指している。

ユニコーンになるためには、スタートアップ企業は日常生活の問題に対する解決策を真剣に用意して提供しなければいけない。

2つのユニコーン企業を生み出す他、政府は今年のデジタルビジネスの価値を250億ドル、つまり3240億ルピアに達成させようとしている。

この野心的な目標を達成させるため、政府はデジタルビジネスのエコシステムを成長させるための努力を継続的に行っている。

その一つは、インターネットのネットワークインフラを整備することで、固定されたブロードバンド(パラパ・リング計画)や、モバイルブロードバンド(4G, LTEネットワーク)を通じて推進している。
「もしネット接続がすでに良質であれば、チャンスはより広く開かれ、すべての人々によって実感できることになるだろう」と彼は語る。

Rudiantara大臣の語るところによれば、より詳細に言えば、インドネシア政府は毎年500のスタートアップ企業をインキュベートする(育成する)ことを目標にしている。その500のスタートアップ企業の中には、少なくとも200のスタートアップ企業が、「シード・ファンディング」(渡邉注:スタートアップ当初に受ける投資のこと)を受けられるレベルでなくてはいけない。

その後それらの200のスタートアップ企業は、シリーズA、シリーズBの資金調達まで集中的に指導されることになり、IPOの新規公開ができる状態に至るまでになる。

インキュベーションの段階の前には、通らなくてはいけない長い道のりがある。まず最初に少なくとも毎年8000人のスタートアップセミナー参加者が必要だ。

そのセミナーを通じて、4000人がワークショップに参加し、2000人がハッカソン(プログラマが集中的に作業を行うイベント)に参加し、1000人がブートキャンプ訓練に参加し、500人がインキュベーションの段階にまでいたり、200のスタートアップ企業が誕生し、そして2つのユニコーンが今年だけでも誕生するということだ。

急成長を続けるインドネシアの配車アプリ企業「Go-Jek」

Go-Jekは、インドネシアで有名なベンチャー企業。オジェックと呼ばれるインドネシアのバイク型タクシーを、スマホのアプリを使って予約が可能とするサービス。

2010年に、1984年生まれのNadiem Makarimが設立して以来、あっという間に急成長を遂げました。

同社のアプリは2016年1月時点で1000万ダウンロードを記録し、サービス提供エリアも急拡大。公式サイトによれば、ジャカルタのみならず、バリ、バンドゥン、スラバヤ、マカッサルなど・・・

(ちなみにwikipedeiaでは、上記エリアの他にメダン、パレンバン、スマラン、ジョグジャカルタ、バリクパパンでもサービスが提供されているとの記述があります)

例えば2年ぶりにジャカルタを訪問するという人がいれば、「Go-Jek」と書かれた緑のヘルメットのバイカーが激増していることに多くの人が驚くのではないでしょうか。

     □     □     □

既存のオジェック業者たちとの衝突から、昨年12月には、インドネシア運輸省がGo-Jekを禁止にするなどという騒動も、ありました。

これについては、ブログで紹介した通りですが、直後にジョコウィ大統領が介入し、結果として「禁止措置を解除させる」に至っています。

Go-Jek等のバイクタクシー配車アプリを政府が禁止、でも翌日また撤回というインドネシアの珍騒動
急成長する配車アプリ、そして商圏を脅かされつつある旧勢力とのせめぎあい・・・。 昨日、12月17日の夜、インドネシアで衝撃的なニュース...

この時点ですでにジョコウィ大統領の考えに、「Go-Jekのようなビジネスを増やす!」という決意があったのかどうかはわかりません。

ただ、デジタル産業による経済成長をとなえ、シリコンバレーを訪問してIT関連産業を訪問するなどのジョコウィ大統領の動きを見れば・・・、

ジョコウィ大統領がシリコンバレーへ|インドネシアIT産業への影響は?
インドネシアのジョコウィ大統領が、シリコンバレーを訪問し、IT関連企業の各CEOと面談をする予定であることが報道されました。今回の訪問は、1...

元々そういう考えがあったがゆえに、Go-jekのような「可能性あるビジネス」を断じてつぶすべきでない、と考えたのだとしても不思議ではありません。

注目される、インドネシア政府の真剣度

いずれにしても、「2020年までに1000のスタートアップ企業を」という考えと並行して、「2016年中に10億ドルを超えるベンチャーを2社生み出す!」という考えを打ち出していることを見ると、インドネシア政府の真剣さが、強く伝わってくるのではないでしょうか。

成長中の「eコマース」産業についても、インドネシア政府は、その発展計画の指針となる「ロードマップ」を策定しています。昨年には発表されるはずが、ずっと伸びていて、今年に入ってからも「もうすぐ」「もうすぐ」とのアナウンスが続くものの、まだ発表されるに至っていません。

しかしながら、報道によると策定に関与する関係団体が多く、省庁だけでも8省庁が関与しているようで、しかも145にも及ぶ規則の見直しを行ってきたとのこと。

インドネシア政府「eコマース・ロードマップ」を1月下旬には発表か
インドネシアの主要メディア「Kompas」が、 eコマース(電子商取引)に対するインドネシア政府の将来政策、 いわゆる「eコマース・ロー...

このあたりについては、組織を動かすことが難しいというインドネシアらしさはあれど、逆に言えば、それだけの関係機関を動員して実行に移そうという意志を感じさせるものと言えるのではないかと感じます。

デジタル立国を目指すインドネシア。躍動感でいっぱいです。
引き続き今後の動向は見逃せません。

サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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