ビックカメラの社名の由来「Bic」は本当にバリ島のスラングなのか?

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家電量販店大手のビックカメラ(BIC CAMERA)。「ビッグ」と間違われるケースを見ることもありますが、アルファベットでは「BIC」となっています。

「なぜビック?」「なぜ Big ではないの?」と気になる人も多いでしょうが、そもそも「ビックカメラ」という社名の由来、なんとインドネシアのバリ島に起因しているとの話。皆さん、ご存知でしたか?

同社のサイトに「バリ島のスラング(俗語)です」という説明があって。本当なの?と思って調べたところ、意外なことがわかりました・・・。

ビックカメラ ロゴ




創業者がバリの子どもたちの言葉に感銘を受けて社名にした

バリ島の子どもたち

ビックカメラのウェブサイトを調べてみると、株主や投資家向けに情報をまとめたコーナーがあり、そこにこんな記述がありました。

ビックカメラ 社名の由来

よくあるご質問│株式会社ビックカメラ:株主・投資家情報サイト
社名の由来をおしえてください

「Bic」はバリ島のスラング(俗語)です。「大きい(Big)」の意味を持つ一方、ただ大きいだけでなく中身を伴った大きさ、という意味もあります。「限りなく大きく、限りなく重く、限りなく広く、限りなく純粋に。ただの大きな石ではなく、小さくても光輝くダイヤモンドのような企業になりたい」という希望をこめて、「ビックカメラ」と命名しました。

また「ウィキペディア」を見ると、出典は明らかではないものの、創業者がバリ島を訪れた際に、現地の子供たちの言葉に感銘をうけた様子が取り上げられています。

ビックカメラ – Wikipedia
創業者の新井隆司は、バリ島を訪れた際に現地の子供たちが使っていた「ビック、ビック」という言葉に、「偉大な」という意味があると聞いて社名に使ったと述べている[要出典]。

まさに「へぇ・・・!!」という感じですよね。

「Bic」は本当にバリ島のスラングなのか?

バリ島の海岸

でも、気になったのです。「Bic」は本当にバリ島のスラングなんだろうか、と。

そこでバリの人に聞いてみました。私自身が日本とインドネシアのハーフということで、ためしに親戚のバリ人に聞いてみたところ・・・。

バリの言葉で bic なんて知らない。バリ語にはそんな言葉、無いわよ。

(Hi Hiroaki, saya tidak tau kata “bic” dalam bahasa Bali. tidak ada kata bic dalam bahasa bali.)

なんとバリ語には存在しない!

インドネシアにはたくさんの言語が存在しています。公用語は「インドネシア語」ですが、地域によってさまざまな言語があります。ジャワ島であれば「ジャワ語」があり、バリ島であれば「バリ語」がある・・・という具合です。

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まず「インドネシア語」について言うと、私の知る限りでは「Bic」もしくは「Bik」という言葉はありません。

仏僧を指して「Biku」(日本で言う「比丘」ですね)という語彙はありますが、圧倒的多数がヒンドゥー教徒であるバリ島において、子供たちが「仏僧」という意味で「ビック、ビック」と連呼するという状況は考えにくいです。しかも上記で説明されている「意味」ともつながりません。

バリ島のライステラス

一方で、「バリ島のスラングです」と説明されているので、「バリ語に限定せず、バリ島で使われている言語のスラング」に存在するのか・・・と思い、今度はジャワ人ですが、20年以上もバリに住んでいるという知人にも聞いてみました。

えっ、Bic? どんな文章の中で出てきたの? バリ人にも聞いてみたけどバリ語に無いって言ってるよ。

(Selamat pagi. Bic ? Ada kalimat yg lbh spesifik? Kata org Bali , ga ada bhs Bali ‘bic’)

と。本当はもっと広範に確認した方が良いのでしょうが、いったん調査は終了に。というわけで、ビックカメラ広報の「「Bic」はバリ島のスラング(俗語)です」は間違いらしい・・・。

アメリカの言語学者が、すでに分析していた!!

では、ビックカメラの創業者は、いったい何という言葉を聞き間違えたのか。やっぱり英語の「Big」なのでは・・・とも思いたくなりますよね。

と思っていたら、「科学技術のアネクドート」というブログにこんな説明を見つけました。

「ビックカメラ」社名の由来に「バイクバイク」説も | 科学技術のアネクドート
この件について、米国の言語学者で、オックスフォード大学出版の英語辞典の編集などに携わったことのあるベン・ジマー氏は、彼のブログでつぎのように推察しています。

そのベン・ジマー氏(Benjamin Zimmer)のブログがこちら。「Language Log: “Big” in Japan (and Bali)」というタイトルの英語記事です。

言語学者というのは、本当に細かく調べるものだな・・・と関心させられました。

・私はビックカメラの社名は、英語の「Big」の聞き間違えが原因ではないかと思っていた。
・でも、創業者がバリの子どもたちから聞いた言葉との説明を見てびっくりした。
・実際にバリ島の言語調査の中で、現地の子どもたちが話す時に、創業者の語る意味として「Bic」を連呼するのを聞いたことがない。
・バリ語の単語集を分析し、類似単語の存在や、発音の特徴を調査。最後のGの音がCに転換する傾向は無いはず。したがって、子どもたちが「Bic」と発音したはずはない。

ベン・ジマー氏はブログの中で、そう述べています。
(注意:急いで読んだので、私の誤訳があるかもしれません)

由来はインドネシア語の「Baik」か?

さらに続けて、彼は言います。

もし創業者の聞いた言葉が、英語の「Big」ではなく、「バリ島のスラング」だとするならば、いったい何という言葉を聞いたんだろうかと。
(だいぶ簡略化していますが、ニュアンスとして原文をお伝えすると以下の通り)

So what did Arai actually hear? Could the Balinese children have been saying big, big in mimicry of English, which was perceived by Arai himself as devoiced, thus yielding the company name BicCamera? That’s a possibility, but I think there’s a more likely source for Arai’s bic, and it has nothing to do with English.

彼の仮説は、インドネシア語の「Baik」です。「最新インドネシア語小辞典」では以下の通り。

■baik
1.良い、親切な、善良な、良好な、好ましい
2.しっかり、きちんと、よく、うまく
3.はい、承知しました、わかりました

■baik-baik
よくよく、しっかり、元気にしています、変わりなく過ごしています

ビックカメラが説明する「意味」とも、どことなくつながると。また、「Baik-baik」と連呼する用法もあるため、子どもたちが連呼したとの説明とも合致するのではないかと。

一方で、ビックカメラの説明によれば、「大きい(Big)」の意味を持つ一方、ただ大きいだけでなく中身を伴った大きさ、という意味もあります・・・と。

よくよく見ると、「baik」には大きいという意味は無いんですよね。もし「baik」が社名の語源だとするならば、おそらく創業者の方が「発音を聞き間違えた」ことと、「十分ではない説明から、自分なりに派生させて発想していった」ことが影響しているのかもしれません。

でも・・・これ、ホントに「ビック、ビック」って聞き間違えますかね? 音声を聞いてみて下さい。

グーグル翻訳:インドネシア語「baik-baik」

バリの子どもたちとの交流こそが、社名の由来になった?

バリ島の子どもたち

おそらくですが、創業者の方はバリ島に行って、ゆったりのんびりとした気分を満喫する中で、現地の子どもたちと交流する機会があって・・・。きっと、創業者の方が素晴らしい方で、おそらく子どもたちと「心と心の交流」をされたのだと思うんですよね。だから子どもたちから「いいね」「やさしいね」って声をかけてくれて。

「なんていう意味なの?」って聞いたときに、単に「良い」「親切な」という意味に加えて、「おじさんと一緒にいて楽しいよ」とか「おじさん。僕たちと遊んでくれて、ありがとう」というような気持ちが加わり、そういう大きな説明につながったのではないかな・・・なんて想像します。
(あくまでも私の想像にすぎませんが)

そんな素敵な交流が創業者の心にのこり、この時のイメージが「ビックカメラ」の社名を誕生させたのではないか。もしそうであるとするならば、「Bic」は本当にバリ島のスラングなのか? なんて問いはどうでもよくて・・・。

つまりは「創業者とバリの子どもたちとの交流」こそが、「ビックカメラ」の社名を生んだ由来なのかなと、そんなふうに私はとらえています。皆さんは、どうお考えでしょうか?

ビックカメラの創業者、新井隆司さんとは?

ビックカメラの創業者である新井隆司さん。ぜひお目にかかってみたい!! と思って調べてみると、ほとんど取材を受けない方なのだそう。でも、そんな新井社長の経営哲学に迫った書籍を見つけました。

2004年刊と古い本になりますが、ぜひ読んでみたいと思います。以下、ご参考までに。

サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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