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わからない世界を、わかるようになるには(ギャラリー「無境」塚田晴可さんから教わったこと)
ギャラリーやデパートの展示会に行くと、よく陶磁器が並んでいます。
土を練り固め、それを高温で焼いて作られる「焼物」の数々。
湯飲み茶碗だったり、大皿だったり、お酒のおちょこだったり。
展示物に目を向けると、びっくりすることがあります。
ちょっとしたお皿なのに、15万円、30万円、そんなものが
ざらにあるのです。
「なんで、この小さいおちょこ、5万円もするんだ!」
□ □ □
「えっ、どうして、そんなに高いの?」
「たしかに美しいことは美しい。けど・・・」そんな感じです。
この値段の高さは、何だろう?
どんなものが高くて、どんなものが安いのか。
素人目には、さっぱりわかりません。
群を抜いて美しいことだけはわかります。
□ □ □
価値のわからない世界。
わかるようになるには、どうしたら良いのだろう?
鑑識眼をもった人たちというのは、まさに畏敬の存在です。
どうしたらそんな世界に入れるのか。
そこに、はしごをかける方法を教えてくれて、
どことなく、芸術作品を親しみやすくしてくれたのが、
銀座のギャラリー「無境」の塚田晴可さんでした。
| ■ギャラリー「無境」 http://www.mukyo.com |
□ □ □
恥ずかしさをかなぐり捨てて、聞いてみました。
「これらの陶磁器。美しいことはわかるのですが、
どんなものが高いのか、まったくわかりません。
こうした美術品を理解するには、どうしたら良いのでしょうか?」
塚田さんは、こう教えてくれました。
| こういう美術品や芸術品を勉強しようとする時、 本や雑誌から学んでいこうとする方法もあります。 でも、それは違うと思います。 大事なことは、自分自身で、しっかり味わうことです。 器があったとして、 その思いをしっかり刻印することです。 自分が経験して感じたことを大事にしてみて下さい。 |
□ □ □
鑑識眼を身につけるには、経験の蓄積が大事だというのです。
自分で感じることを大事にして、
それを繰り返していくこと。
「感じる」ということを、日々意識して過ごすこと。
他人の評価を鵜呑みに知るのではなく、
まずは自分なりに感じたこと、自分の感覚で味わったこと、
それを素直に受け入れて大事にすること、
それが理解の近道だというのです。
□ □ □
実はこれ、
仕事と遊びとに関わらず、
何か新しいことを学んでいこうとする時や、
何か新しいことにチャレンジしていこうとする時に、
共通して言えることなのではないでしょうか。
「量は質に転化する」という言葉があります。
「百聞は一見にしかず」という言葉があります。
経験の量が、学びをもたらすということ。
体を通じて、鋭敏な感性のもとに学習したことこそが、身になるということ。
これはとても大事なことだと思うのです。
□ □ □
私はこれを聞いた時、
縁遠い存在だった陶磁器が、とても身近に感じられるようになりました。
陶磁器だけではありません。
美術品、歴史的遺物、あるいは日本酒、ワイン、焼酎。
深い世界は、本当にあちらこちらにあります。
そうした、価値のわかりにくい世界に対しても、
自分の経験を大事にすることが近道なのだとわかった途端、
どれもがいとおしく感じられるようになったのです。
理解しつくすには、まだまだ遠い世界かもしれません。
でも、親しみやすくなったことは事実です。
そしてこれこそが、何かを学んでいくことの王道のように思うのです。
□ □ □
未経験ゆえに、なかなか身に付かない。
新しい分野で興味がわかず、なかなか手に付かない。
そんな時には、ぜひ、
「自分の体で味わってみる」
「味わった経験を大事にしてみる」
「それを蓄積する」
このことを、心がけてみてほしいと思います。
なかなか理解できそうもない深遠な世界であっても、
急に身近に感じられるようになるはずです。
そして、そうなれば、理解はどんどん深まっていくはずです。
なぜなら、経験を蓄積していくことが、理解の早道だからです。
自ら体験すること、本当に大事です。
このコラムは、2009年1月31日に配信したメールマガジンを転載したものです。
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2009年2月2日 渡邉 裕晃

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