「 やる気にかけては日本に負けぬ!! 」 −バリで出会った経営者−<前編>

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受験勉強の戦略立案と実施は、経営における戦略立案と実施によく似ているのではないか。以前、メルマガ「 Samsul’s Choice 」でまとめたコラム「ベンチャー企業の成功と失敗を分けるもの 〜自主性と計画性〜」の中で、私はそういうお話をしました。ただ、受験勉強の戦略立案と実施は、経営の場合とは大きく異なる側面をもっていることも事実です。受験勉強の場合には、「大学に合格する」という最終目標が定まっています。ですからその分、合格するためには何をすべきか、ある程度の予想をすることができます。しかし経営の場合には、その最終目的は定まってはいません。もちろん、「売り上げが 100億円を達成できたら経営権を手放す」とか、「赤字会社の再建に成功したら経営権を譲渡する」とかの場合は別です。しかしほとんどの場合、経営の最終ゴールは所与のものではありませんから、経営者が自分で策定することになります。経営者の夢や希望といったものがそれにあたりますね。
論語に「学びて思わざれば則ちくらし」という言葉がありますが、どんなに努力をしても、自分が楽しいと思えて打ち込めるものでないと続けられないと思います。つらいことが多々あっても「でも、やっぱり楽しいんだよなぁ」とつくづく感じられるものである必要があるでしょう。そう考えたとき、私は三年前にバリで出会った青年経営者のことを思い出すのです。


三年前の春、二ヶ月ほどインドネシアのバリ島にいました。現地のアパート暮らしです。人付き合いがあまり得意でない私でも、さすがに二ヶ月も滞在していると、たくさんの方々とめぐり会うことになります。小学校入学前の子供から、ホテルのレストランで演奏する人、日本人女性のナンパに血道を上げるビーチボーイ、いくつもの美容院をもつ経営者……。
インドネシアの中でも特にバリ人は、大変な商売熱心ぶりで有名です。お店に近寄れば、たくさんの若い物売りが群がってきます。「これはいいぞ、買わないか」「これは安いぞ、どうだい?」と言ってきます。中流階級の青年は、旅行客をつかまえては、「この1日ツアーはいいぞ」「このホテルはおすすめだ」と言っては、代理店やホテルに案内し、コミッションをもらいます。コミッションだけで生活できる青年もいるそうです。ちょっとした資産をもつ青年は、その有効利用を考えて、たとえば土地があれば、レストランを開きたい人を見つけてきては賃貸契約を結ぶ、という具合です。
日本に帰るためにタクシーで空港に向かうとき、運転手と会話をしていたら「これから日本に帰るのか。そうか。実はおれはアパートをもっているんだ。今度バリに来たときに借りてくれよ。安くするよ。どうだい?」などと言ってきました。これから日本に帰るというのに、勧誘してくるのです。
金銭的な貧しさ故の知恵、ということなのでしょうか。中には非合法の金儲けに手を出す人もいます。たとえば賭博詐欺のおじさんは、「私は、インチキをして大金持ちになったやつが許せません。だから私は、1年に1度だけそういうやつらから賭博で金をふんだくることにしています。善良な人たちからお金を奪って悠々と暮らしている悪の金持ち野郎、そういう人たちから私は奪い取るのです。何か間違っていますか」などといきまいていました。
法律に触れるのは問題です。しかし他のいろいろな方と接していると、お金儲けに熱心になっている、その「すごく人間的な」雰囲気が伝わってきたように思います。もちろん、毎月の給料の低さに甘んじて細々と暮らす人もいました。ですが、偶然にも私が接してきた若い人たちは、「俺はこうしたいんだ」「ああしたいんだ」という自分なりの抱負をもっている場合が多かったように思います。理想と志に燃える人もいました。当たり前のことですが実にいろいろな方がいるものです。海岸で出会った、元雑誌記者の青年は「なぜクビになったのか、今でもわからないんだよなぁ」と言いつつ、「でもまたマスコミの現場にたずさわりたいんだよ」と熱っぽく語ってくれました。
日本には、高い志を持ってチャレンジ精神を発揮しようとする人が少ないと言われます。最近は徐々に増えてきているように思いますが、それでもまだまだというところではないでしょうか。日本アジア投資の今原禎治会長は、日本のある国立大学の同窓会長とお話をされたときのこと。同窓会長がこう言ってきたのだそうです。「最近の卒業生の中には、大企業を目指さない者がいる。これは実にけしからんことだ。青年よ、大志を抱け、という言葉を忘れたのだろうか」と。ここにあるのは「大志を抱く者は大企業を目指すはずだ」という考え方です。今原会長は、あきれてものも言えなかったとおっしゃっていました。
今原会長によると、昨年一年間で設立された会社は、日本では4万5000社であるのに対し、アメリカでは75万社だといいます。ベンチャー界で有名な慶応大学大学院の千本倖生氏によると、ハーバード大学の学生のうち、100人に90人は自分の会社をつくりたいと考えているそうです。また、アントレプレナーセンターの福島正伸社長は、アメリカの大学生の約65パーセントもの人々が創業を考えていると述べています。インドネシアでも、私の見る限りでは、中流以上の青年を中心に独立希望があり、また中流以下でも自分で生きていこうとする人々が多いように見受けられました。では、こうした状況の背景にあるものは何なのでしょうか。

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