アメリカのムスリム市場における「ハラル対応」の位置づけ(ハラルイベント第3講演)

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2013年7月、幕張で開催されたイベント、
「ハラル対応ホテル&レストラン 現地視察・セミナー」。
第1講演は「イスラム圏からの訪日旅行者」がテーマでした。
その後、第2講演ではマレーシアを事例に取り上げて、
「イスラミック・ツーリズム」がテーマとなりました。
そして第3講演では、アメリカの事例がテーマ。
アメリカのムスリム市場における「ハラル対応」の位置づけについての内容です。
2000年から2013年までに至る期間に注目し、
アメリカのハラル対応の変化がどのようなものなのか、
事例を中心にしながら、紹介されました。
講師は、アメリカのハラル認証団体「IFANCA」理事、
テキサスA&M大学の教授である、ナディーム・リアズさんです。
 
講師をつとめられたナディーム・リアズさん
【写真:講師をつとめられたナディーム・リアズさん】


 
 
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同氏は、ハラルや食品科学の分野で20年のキャリアをもつ存在。
25年前からアメリカに住んでいたものの、
当初は、ハラル食品を探すにも苦労したそうです。
それが今では、普通のスーパーで簡単にハラルフードが手に入り、
多くのファーストフード店でもハラル対応がされている・・・。
この近年のハラル対応の浸透は、
ご自身がハラル消費者であるという立場から見ても、
実に「劇的な変化」だと言います。
 
ファーストフード店も、こぞってハラル対応へ
【写真:ファーストフード店も、こぞってハラル対応へ】
 
北米エリアにおけるムスリム人口の増加に加え、
ハラルフードに対する彼らの需要が非常に大きく、
また大変強いものであったこと。
近年のアメリカのハラル環境の劇的な変化には、
そういった背景があると語られました。
 
 
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人口の増加については、
世界人口の増加の中で、ムスリムの増加割合が高いこと。
現在の71億と言われる世界人口の中で、
ムスリムは21億人、実に4人に1人がムスリムという状況。
アメリカにおけるムスリム人口も激増しており、
現在は、人口の3%弱の800万人。
それが1600万人へと倍増するのも時間の問題だと語ります。
 
アメリカンムスリムについての概要
【写真:アメリカンムスリムについての概要】
 
また、アメリカにおけるムスリムは、
医者やエンジニア、研究者といった専門職が多いこと。
1世帯あたりの人員が、非ムスリム世帯に比べると多く、
それだけ多くの巨大マーケットとしての潜在力があると
指摘されました。
 
 
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この十年ちょっとでのイスラム人口の増加。
ハラル対応への需要の高まりと、それに応えるだけのハラル対応の供給ぶり。
さらには今後の人口増加の予想など、
もはや「ハラル食品の増加」という単なる1つの「現象」として
とらえるステージを超えたと解説。
「ハラルエコノミーの時代に入った」というくらいの、
大きな認識をもつべきだと主張。
 
雑誌「タイム」の表紙を飾った「ハラルエコノミー」の文字
【写真:雑誌「タイム」の表紙を飾った「ハラルエコノミー」の文字】
 
 
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また、ハラルフードに認証を取るには、
原材料から製造過程に至るまで、
とても厳しい基準の審査をクリアしなければいけません。
健康への意識の高まり、オーガニックフードへの注目、
徹底して清潔な製造過程などもふまえると、
ヒンズー教やモルモン教など、ムスリム以外の宗教からも、
「ハラルフード」への注目が出てきているというのは、
実に面白い点でした。
良質な素材を、清潔な工程で処理されて作られているという
ハラルフードの特徴は、そうした異教徒にとっても、
次第に認知度を上げているといいます。
これらも踏まえると、ハラルエコノミーは、
すでに60兆円マーケットになったと推定されると解説されました。
 
 
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その他、具体例など、興味深く感じられた内容について、
いくつかのポイントでまとめてみると以下の通りです。

・ウォルマートのような一般スーパーでもハラルフードが入手可能に
 (以前は、エスニックショップや専門店に行かないと入手できなかった)
・アマゾンでもハラルフードがたくさん入手できる。
・レトルト食品にも、ハラルフードが出てきた(旅先にも便利)
・機内食や、軍隊・刑務所の食堂でもハラル対応が進んでいる。
・すでにアメリカの7つの州でハラル法が制定されている。
・すでにアメリカの20の大学の食堂でハラルフードが準備されている。
・大学院で、ハラルフードやその他の宗教食、エスニックフードに関する授業が人気
・雑誌や新聞など、メディアでもハラル関連の記事が増えてきた。
・化粧品、薬、サプリ、ビタミン剤でもハラル対応が進んでいる。
・ハラル認証を受けたものだけを扱う自販機も見かけるように。
・iPhoneアプリでも、ハラル食材をチェックできるものが出てきた。
・ハラル認定を受けた工場の機械で使用する潤滑油等もハラル製品が増えてきた。

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今回の講演をまとめると・・・、

・アメリカでのイスラムの存在感が、どんどん増している。
・需要の増大に伴い、供給の側も、どんどん整備が進んでいる。
・民間経済での大きな盛り上がりは「ハラルエコノミー」と呼ぶべきレベルに達している。
・刑務所や州の法制など、役所レベルでも対応が進んでいる。
・イスラムの存在感は今後も増すことが予想され、経済規模はさらに大きくなる。

といったことが言えそうです。
 
 
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911以降、アメリカではイスラムへの偏見が助長された側面は否めません。
その一方で、ハラルをはじめとするムスリム対応もまた、
着々と進んでいるということは、注目に値することではないでしょうか。
これは、アメリカの歴史を眺めてみてもそうですが、
アメリカ社会の懐の広さを改めて感じさせる点だと考えます。
 
 
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アメリカにおけるイスラム勢力は、衰退するどころか、
確実に存在感が増しているということ。
しかも、旅行者としてのムスリムではなく、
「アメリカ人」としての、
社会に根付くかたちでの「アメリカンムスリム」が台頭してきていること。
これに対応するシステムは、
一大経済を成す規模にまで成長し、
政府と民間を問わず、あらゆる点での整備が進んでいること。
これは注目に値することです。
今後、日本もさらなるグローバル化が求められる中、
イスラムの人たちが快適に過ごせる社会づくりは不可欠。
アメリカの事例は、日本のこれからの環境醸成にあたって、
大きなヒントを与えてくれると言えそうです。

(参考:samsul.comブログから)
 
■2013年7月4日up
 日本企業は「ハラル対応」をどう考えるべきか
■2013年7月4日up
 「イスラム圏からの訪日旅行者」にどう対応すべきか(ハラルイベント第1講演)
■2013年7月4日up
 「イスラミック・ツーリズム」観光立国マレーシアの取り組み(ハラルイベント第2講演)
■2013年7月4日up
 アメリカのムスリム市場における「ハラル対応」の位置づけ(ハラルイベント第3講演)
■2013年7月4日up
 ハラルフードの豪華試食会に行ってみた。
■2013年7月4日up
 ハラル認証を取得したホテルの客室を見学してみた。

 
 
サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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