英語のみの授業を違憲判断のインドネシアと、バイリンガル強化発表のシンガポール

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英語のみによる授業は憲法違反?

この度、インドネシアの憲法裁判所が、
英語のみによる授業を行う「国際コース」制度は
違憲だとする判断を下したとのニュースがありました。

インドネシアには、日本と同様、
「現地学校」と「インターナショナルスクール」があります。
そしてその「現地学校」には、「通常の学校」とは別に、
主に英語で授業を行う「ナショナルプラス」と呼ばれる学校もあります。
これは、2006年からスタートした新制度。

授業の多くを英語で行う。
私はこれを、非常に素晴らしい試みだと思っていました。
今回は、それが違憲であると判断されたとの残念なニュースです・・・。


 
 
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記事には、こう書かれています。
 

英語のみで授業行うコースは違憲…インドネシア : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
インドネシア憲法裁判所は、一部の学校で英語のみによる授業を行う「国際コース」制度は違憲だとする判断を下した。
 国際コース制度は2006年度から導入され、公私立合わせて全国約18万の小・中・高校の中から指定を受けた約1300校で英語による授業が行われている。授業料は通常課程より高額となる。このコースについて、市民活動家らが「教育の機会均等を妨げる」として違憲審査を求めていた。

ただ、これによって、
すぐに「ナショナルプラス」が無くなるということは無いでしょう。
まして、「ナショナルプラス」ではない普通の学校であったとしても、
「英語」の授業が無くなるということは考えにくいものです。
 
 
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インドネシアでは、加速する経済発展につれて、
グローバル経済を推進する中、英語の重要性は増しています。
 
20121113_tk
【写真:昨年訪問したジャワの現地系幼稚園。ここでは3ヶ国語で教育】
 
一方で、近年におけるインドネシア経済の原動力は、
「輸出」よりも「内需」によるところが大きいとされています。
輸出より内需。なら英語は不要?
いや、そうはなりませんね。
ビジネスにおける英語の重要性が低下するとは考えにくく、
インドネシアでますます加速化する英語強化の動きは、止められないでしょう。
 
 
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一方で、日経には、シンガポールに関する
こんなニュースがありました。
 

シンガポール、バイリンガル教育に60億円の基金 :日本経済新聞
シンガポール政府は子どものバイリンガル教育を推進するための1億シンガポールドル(約60億円)の基金を来年新設する。同国では1965年の建国以来、国際共通語である英語教育を重視。その結果、華人系であっても中国語を話せない国民が増えている。ビジネスなどで中国語を活用する機会が一段と増えることを想定。資金は未就学児の中国語教育の強化費などに充てる。

こちらは、逆に「強化する」という流れ。
ポイントは、
「中国語教育を強化するが、英語も引き続き重要だ」という姿勢が
流れていることですね。
記事は、このように結ばれています。
 

リー元首相は「バイリンガル教育は生まれてから数年が勝負」と指摘。幼児教育を徹底し英語と中国語双方が通じる都市国家として、競争優位に立つことを目指す。

 
 
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インドネシアの今回の憲法判断。
英語のみによる授業を行う「国際コース」制度が違憲と判断されたにせよ、
インドネシア政府としては、
今後の経済発展を維持させる意味でも、
英語強化のための施策を打ち出していく必要があるでしょうね。
憲法裁判所が違憲判断をしたとしても、
これによって英語教育が停滞していくことは考えられません。
 
 
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今回の違憲判断を紹介した記事には、こうあります。

8日の判決は、国際コース制度が児童・生徒の差別的待遇を助長するとして活動家らの主張を認めるとともに、外国語のみの授業は「愛国心や国民性を傷つける」と指摘した。
 裁判長のマーフッド憲法裁長官は、清廉な人物として国民的人気が高く、14年の大統領選出馬も取りざたされているが、ナショナリスト的傾向も指摘されている。

もしそのようなナショナリズムによる背景があるのだとしたら、
インドネシアのナショナリスト系の皆様には、もっと注目してほしい対象があります。
それは、インドネシアの地方言語。
インドネシアには、公用語である「インドネシア語」の他に、
300から500とも言われる「地方語」が存在します。
ジャワ語、バリ語、スンダ語・・・。
英語の強化を進めると共に、
そうした地方語の教育も強化していける流れができれば、
多言語、多民族というインドネシアの特異性を、
より鋭く世界にアピールしていけるのでは? と思います。
 
 
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しかしながら、今回のような違憲判断が出ると、
現場の先生たちが大変でしょうね・・・。
(あるは、全然気にしていないかもしれませんが)
先日、私はジャワのある地方都市で、現地系幼稚園を見学してきました。
そこでは、子供たちに3ヶ国語による教育を実施していました。
インドネシア語、英語、そしてマンダリン。
 
IMG_3173
【写真:幼稚園の廊下に掲示されていた標語。英語も併記】
 
学校に「国際コース」制度が無くても、
複数言語による教育環境はインドネシアでは普通です。
(地方語の存在があるため)
 
 
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近年のインドネシアでは、
特に若者を中心に地方語の存在が次第に薄れていると聞きます。
今こそ、英語に加えて地方語の存在を
もっともっと、インドネシアの発展の一手段として考えていくべきではないかと
私は思います。
シンガポールが、英語に続いて中国語も強化しようという動き。
これはとても素晴らしいチャレンジだと思います。
それだけに、今回の憲法判断のニュースは、残念なニュースでもありました。
 
 
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インドネシアは今こそ、英語に加えて地方語の存在に注目すべし!
たしかに、英語重視のシンガポールも、かつては反共の立場から、
中国語教育中心の大学を閉鎖に追い込んだこともあったようです。
そうした観点からすれば、成長するインドネシアも、
言語政策では、新たな強化策を打ち出していくはずと信じています。
今後の展開を見守りたいと思います。
 
 
サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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