(1)『有名講師・講演料500人情報』(日本実業出版、1997年)
(2)「有名人の講演テーマ」 『ダカーポ』 (1997年8月20日号)
今回ご紹介するのは2点。共通するテーマは「日本の講演会事情」です。
『有名講師・講演料500人情報』(日本実業出版、1997年)
(1)は、「評論家」「芸能人」といったジャンル別に、合計500人の講師たちを分類したものです。
講演時間や料金、講演テーマなどが一覧になっていて、誰もが講演依頼できるように、連絡先まで書かれています。講演料金には実に大きな開きがあり、驚かされます。交通手段として「指定席グリーン車に限る」などと書いてくる講師もいますが、なかでもびっくりしたのは「宿泊先は、その地域の最高級ホテル、あるいは日本旅館に限る」と指定してきた某大学教授。いくらなんでも、これはまずいでしょ。でも全体的に見ると「講演料金」は、講師の講演内容の質よりも、マスコミ露出度に比例するようです。
「有名人の講演テーマ」 『ダカーポ』 (1997年8月20日号)
(2)は、日本の講演会ブームを分析しつつ、有名講演者17人にインタビューした記事です。
講演会が多い理由として、自治体がつくったホールが眠ったままだとまずいから、なんていうのもありますが、中でも面白かったのは、企業のイメージアップだけでなく、節税対策にもなっているという点です。同じ社員旅行でも「講演会」を入れさえすれば、「社員研修」と称することができるというのです。あとは、話の内容よりもテレビ的な知名度が優先される結果、聴衆も、昔に比べるとあまり集中して話を聞かなくなった、との指摘が興味深く思いました。
日本の講演会事情、その実態とは?
今回ご紹介した二点を見て気づくのは、講演会が、話を聞くための勉強会としての本来の姿が失われ、もはやコンサートやお祭りのようなイベントになってしまっているということです。
私は講演会に参加するのが好きなので、よく行くのですが、やはりなかには「話の中身より、その人を見たい」ということで来る方をよく見かけます。実状はどうだったのかわかりませんが、昔の講演会では、もっと真剣に聞き入る人が多かったようですね。
それにしても、竹村健一の「講演料(90分):150万円、年間講演数:200回以上」というのには驚きました。他の講師にしても、どうしてこんなに高い値段でも成立するんですかね? これじゃ、講演を聞いてばかりではなく、自分で講演しないともったいなくなりますね。
ただ今までいろいろ聞いてきた結果、素直に「楽しかった、自分にプラスになった」と思えるような講演というものは、ビジネス的な講演会のなかではめぐりあえなかったような気がします。