「60歳のラブレター」。
この題名からすると、熟年夫婦のラブレターがテーマになりそうですが、内容としては、3組の熟年夫婦の過去現在未来を通じて、夫婦のあり方を描くというのが主題。その主題に対し、ラブレターというツールが付随してくるというような映画です。
というわけで、こんな書き出しでお気づきになるでしょうが(笑)、すみません、また辛口コメントになります・・・。
■「60歳のラブレター」公式サイト ( http://www.roku-love.com) |
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私はブログでそもそも批判的なコメントを書くのがあまり好きではありません。ただ、「?」と思ったものを、激賞するわけにもいかず、「だったら書くなよ」と言われそうですが(笑)、いろいろ思うところあって、書いてみる次第です。
この映画は、総括してふりかえってみると、ずばり、テーマを絞りきれなかったことが完成度を下げている、と私は感じました。
感動させようとするあまり、意図的な工作をちりばめすぎていて、訴えたいテーマがいくつもごった煮にされ過ぎている・・・。それが正直な感想でした。
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私は実はラブレターマニアで、まぁ、受け取って読むのが一番好きなのですが(笑)、書くのも好きで、でも、一番好きなのは、言葉に鋭敏であった過去の偉人などの残したものを読むことです。
(市井の人のものを読むのも面白いですが、あまりそう書くと気持ちわるがられるので・・・)
なぜ、ラブレターマニアなのか。
人は言葉で考える動物です。また、世界は、その人が意味づけたようにしか存在しないものです。
(面倒なので、このあたりの詳述は、はしょります)
したがって、生きる上で最も大事な「愛」を言葉で表現した存在としてのラブレターは、人間の人間たるゆえんの極致を見せてくれるものだと私は思うのです。
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そうしたラブレターマニアからしてみると、題名に「60歳のラブレター」と冠するこの作品。「看板に偽りあり」と言われても仕方が無い内容になっています。
マニアックに求めすぎだよと言われるかもしれません。でも、それを差し引いたとしても、まとまりに欠けていることは否めません。
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映画の前半は非常に良い展開をしていました。
「おっ、これ、なかなか良い映画かも」という期待があったことは事実。
ところが後半に入り、「あれ?」という場面が増えていきます。
「これ、話として、うますぎだよな・・・」
「ちょっとこれ、進め方が強引かも・・・」
そんな、リアリティーを疑わせる場面が出てきます。
そして次第に、冷めてきてしまい、感動させたいがための作為的なシーンや構成が、目立つように感じてきます。後味の悪い作品になってしまっていました。
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一方で評価したいのは、イッセー尾形さんの名演技。これはお見事でした。演技のプロ中のプロだけに、もう半端無いものでした。何と言うべきか・・・、「完成」という域を超えて、もう「出来上がっちゃっている」悟りの境地という感じです。
奥様役をつとめた綾戸智恵さんの演技とも相まって、このご夫婦の演技が、ピカイチに光っていました。
これは、これからこの映画をご覧になる方には、ぜひご注目いただきたい部分です。続いて、井上順さん、戸田恵子さんカップルの演技ですね。
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とにもかくにも、もったいないなぁという作品です。
せっかく良い主題を取り上げているのに。
また、全国から寄せられた、8万通を超えるラブレター作品を元に作られたわけですから、珠玉の作品はたくさんあったはず。もっと感動的な作品に仕上げることはできたはず! と思うと、残念でなりません。時間不足だったのでしょうか。これ、そのままテレビドラマで流したら、たぶん視聴率は取れないだろうなと思いました。
私自身のラブレターに対する思い入れが濃すぎるのでしょうかね・・・。
■(参考引用)解説: 熟年夫婦が互いへの感謝の言葉をはがきにつづり、これまでに8万通を超える応 募が寄せられた人気企画「60歳のラブレター」を映画化。監督は『真木栗ノ穴』 の深川栄洋が務め、脚本を『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの古沢良太が手掛 ける。出演は、中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸 智恵と豪華キャストが集結。さまざまな人生経験を積み重ねてきた登場人物たち が、夫婦のあり方や、これからの人生をどう生きるのか模索する姿が共感を誘う。 (シネマトゥデイ) ■(参考引用)あらすじ: |
2009年5月25日 渡邉 裕晃
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