今回ご紹介する小説は、『八日目の蝉』です。小さな子供をもつパパママなら必読の小説ですよ!
☆ 今回のポイント ☆ <簡単な内容紹介>
■出版社からの紹介コメント(アマゾンより) 逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか??理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。 ■内容(「BOOK」データベースより) |
【写真:書籍「八日目の蝉」】
■アマゾンで「八日目の蝉」を購入
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私にとってこの本は、「2011年に読んだ小説」でナンバーワンになることは、間違いありません。
まだ5月なので、半年超が残っていますが、おそらくナンバーワンになる本に違いないという確信をもって読み終えることができました。
爆笑問題の太田光さんは、絶賛して、こう言っているそうです。
「一生のうちでなかなか出会えないだろうっていうぐらい感動した。頂点ですよ、ここが。それぐらいに思う」 |
□ □ □
ここまでの深みに、さらっと誘ってくれる本は珍しく、
幅広い層にオススメしたい本。
とりわけ、小さな子供のいる夫婦には、
ぜひとも(というか、絶対)読んでいただきたい小説です。
しかも、読むと自然と映像が見えてしまい、
読み始めると、とまらなくなります。
□ □ □
「優しかったお母さんは、私を誘拐した人でした」 |
これは、本作品の映画で使われるコピーです。
誘拐犯罪の小説。
でも正直なところ、
私は日頃、こうした小説を読む機会がありません。
特に、大衆映画化されるような本を読むことはなく、
犯罪小説を読むこともありません。
【写真:無料配布の「八日目の蝉」パンフレット】
だから、しばらく手に取ることすらなかったのですが、
たまたま、この本を手に取った時、
文庫の後ろについている解説文を見て、
「あ、読まないと!」と思ったのです。
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作家の池澤夏樹さんの解説文の1行目。
「この小説を読むに際して、 まずは育児が快楽であることを再確認しておこう」 |
という一文。
3歳と2歳の子供をもつ私は、
これを読んだ時、もうレジに向かって歩き出していました。
本書を読み終えてみて、
「あぁ、そういうことなのか」と思うことができます。
だからこそ、
とりわけ、小さな子供のいる夫婦には、
ぜひとも読んでいただきたいのです。
□ □ □
ネタバレにならないように書きますが・・・、
【写真:パンフレットより(映画の一場面)】
本書には、様々なプロットが組み込まれていて、そのテーマの深遠性、テーマを切り取る角度の鋭さは、読み進めていくうちに、読者を自然と思考の中にいざないます。
それはそれは、もう見事と言うしかありません。
「同一場面の描写にあたり、複数の視点を移動させる」という、ある意味での「チャレンジ」には、もう、心のそこから脱帽という感じです。
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誘拐という犯罪人であるにもかかわらず、なぜか犯罪人として見ることができなくなっていきます。
【写真:逃亡の道のり(パンフレットより)】
幼少時の環境は、全ての礎になる・・・。
「三つ子の魂、百まで」。このことを、痛感させられます。
日々、子供と接する時間は、それこそ、一秒、一秒が、奇跡なのだということが、改めて思い知らされます。
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偽の親子が真の親子よりも強い親子性をもつ状況が描かれる中、
つまりそれは、
「出産や育児は結婚(という制度)に優先する」ということ、
「社会制度」と「動物としての支えあい」との葛藤が、
読む人に様々なことを考えさせてくれるはずです。
父親であることは、父親ごっこをすることではなく、
母親であることは、母親ごっこをすることではない。
そのことが、ずしりと響く一冊です。
【写真:パンフレットより(映画の一場面)】
小さな子供をもつ親御さんには、ぜひとも読んで欲しいです。
私は常日頃、「子供は所有物ではなく、お預かりものだ」と言っています。
単なる所有物としてつきあうのと、大事に育てて自立した人生に向けて羽ばたかせるお預かりものと見るのか、これによって、質において、大きな差異が生まれることも、再確認できました。
「軽薄な犯罪小説では決してない」と断言できます。
■追伸:
いま映画になっていますが、
これだけ深い作品がはたして映像化できるのか、不思議で仕方ありません。
ぜひ見てみたいです!
映画の感想はこちら。
2011年5月20日 渡邉 裕晃
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