(1)『一人で始めるサイバーベンチャー入門』
(土屋 晴仁著、中経出版、1997)
(2)「21世紀の中小企業 今日からネットワーカーに」
『合理化』((社)大阪府経営合理化協会) 97年6月号(大前 研一)
今回ご紹介するのは二点。両者に共通するテーマは「インターネットとベンチャービジネス」です。(1)は【1997年5月8日第一版】の本で、「少しのお金と少しのビジネスセンスがあれば誰でもできる」という、実に怪しげな副題がついています。従来のビジネススタイルはもちろんのこと、従来言われてきたようないわゆる「成功法則」も通用しない時代に突入した。これからの基本単位は個人だ。「儲けてやる!!」ではなく「夢や遊びに素直になるために」ぜひサイバーベンチャーをすすめたい。という内容になっています。
(2)は、大前研一さんが今年の3月に行った講演の記録です。インターネットを活用しなければ企業はやっていけなくなると発破をかけています。アメリカではSOHOが花盛りで、ここ数年の動きが、アメリカの産業と社会を激変させている。日本政府のビッグバンは本末転倒であり、例えば通信政策を一つとってみても、あまりにもお粗末。しっかりした通信政策の上に成立するのに、どうしようもない。だったらせめて自分に対する対策ぐらいはしておきなさい。自分が変わらなければ何も変わらないんですよ、といった内容です。
両者に共通するのは、時代の変化と、それに適応することの必要性を強く訴えているところです。それから、やる気のある人間にとっては楽しみの多い時代になるということもそうです。(1)も(2)も内容としては入門者向けだと思いますがやる気を喚起されます。ただ(1)は、超初心者でないと物足りないかな、という気がしました。自助努力の重視される時代、というのは、たしかにやる気のある人にとっては楽しみの多い時代なのでしょうが、でもそれは「強い人にとってのみが楽しい」という時代になりかねないということですよね。私はやる気がある方なので、今のところは楽しみに思っている方なのですが、「のんびり生活したい」という人にとっては実に迷惑な時代になっていくのかもしれませんね。