“I love you.” というせりふ。あなたなら、どう訳しますか?
直訳すれば、「私はあなたを愛しています」となります。でも、好きな人に向かって、面と向かって「私はあなたを愛しています」と言う人は少ないでしょう。あまりにも仰々しく、伝わる心も伝わらない気がしてきます。
おそらく、異なる表現をするはずではないでしょうか。
(あえてストレートに! というアプローチも、演出としてありですが)
あなたなら 「I love you」 をどう訳す?
ぜひ、ここで、あなたが相手の方に伝えた愛情表現を思い出してみて下さい。きっと、いろいろと異なる表現を使っていたはずです。
ただ、いろいろな表現形態があるにしても、例えば、これを「月が綺麗ですね」と訳すとしたら、びっくりしませんか?
現代において、「月が綺麗ですね」を「愛情の伝達手段」として理解してくれる人は、そうそういないはずです。ひょっとしたら、「何、言ってるの?」となりかねません。
(逆に、これで愛が伝わったとしたら、その文学的知識や文学的感覚としての奥ゆかしさを感じますよね)
「我、汝を愛す」の訳に意義をとなえた夏目漱石
さて、この「I love you.」という英語。明治の時代、これを「我、汝を愛す」と訳した青年に対し、「それはおかしい」と。そう言ったとされるのが、英語教師をしていた夏目漱石です。
「月が綺麗ですね、程度に言っておけば、まともな女性になら、伝わるはずだ」と。
この話を聞いた時、私は実に素敵だなと感じました。漱石の感性というよりも、その時代の感性を表しているように思いました。今となっては想像し難いことですが、当時、「愛する」という表現は無くて、「慕う」とか「焦がれる」という表現が主流だったようです。
「love」の日本語表現が難しかった時代、二葉亭四迷の訳は?
つまり「love」にあたる日本語は、そうそう簡単に見つかるものではなかったようなのです。
二葉亭四迷は、「I love you.」の翻訳に、非常な苦労をしたようで、こんな訳をあてています。「(あなたの為なら)死んでもいい」と。
現代の時代環境をふまえれば、これらの訳を見たところで、「なんじゃそりゃ?」と思うのも、無理はありません。でも、だからこそあえて、こうした表現の裏側にある「感性」に、もっともっと、注目すべきではないかと私は思うのです。
【このテーマ:次回につづく】
このコラムは、2009年7月1日に配信したメールマガジンを加筆・転載したものです。
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2009年7月7日 渡邉 裕晃
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