はやいことに、会社を創業してから3年が経過しました。私の場合、起業に向けた戦略や戦術を練る余裕もないままで、事業開始を迎えました。準備万端での船出ではなかったもので、右も左もわからない若造社長としてスタートを切りました。
試行錯誤をしていくうちに、会社というのはこんな見方がなされているらしいということを知りました。それは「創業してから1年目と3年目が最初の山だ」ということです。
はじめて聞いた時「3年とは、ずいぶんと先のことだなぁ」と途方にくれたことを覚えています。その3年があっという間に過ぎてしまいました。
でも、なぜ1年目と3年目が山だと見なされているのでしょうか。
まず資本金が300万円の有限会社の場合、たとえ社長が無給で働いて、社員を1人しか雇わない体制にしたとしても、売上がたたなければ、1年以内に会社のお金は底をつきます。銀行からお金を借りるにしても、決算書がなければ相手にされません。これが1年目の山です。
そして3年目の山。株式会社の最低資本金は1000万円です。しかし同様の体制で運営しても、売上不振が続けば3年でお金は尽きてしまいます。3年目までに利益が出せる会社になっていないと、銀行としても不安に思うようです。
他社から資本を受け入れた関連会社や子会社などの場合、親会社の後ろ盾があるので倒産する心配はあまりないかもしれません。ただ、3年やってだめな会社は、事業譲渡や会社売却、あるいは休眠などが選択されるケースが多いとのこと。帝国データバンクなどの会社信用調査機関でも、創業2〜3年程度の会社の場合、調査に行っていないケースが多いようです。会社の代表者が個人的に住宅ローンを申請する場合も、審査を受けるためには会社の決算書が3期分は必要だとされています。
つまり、簡単にまとめてしまうと、「3年たった会社でないと、会社ではない」と見なされているということです。まともに会社としての審査の対象にはならないということです。
もちろん、3年たたないとまともだと見なされない風潮は、非常に大きな将来性を秘めた若い会社の成長を阻害する要因にもなり得ます。しかし、それが良いことか悪いことかの評価は別として、実際にそうしたムードがある以上、新興企業の経営者には、それを乗り越えるための努力と工夫が必要になってくると思います。とりわけ「B2Bモデル」と呼ばれるような、法人のお客様を相手とする会社には重要です。
そういう意味でいくと、創業してから3年が経過したということは、ようやく会社としてのスタートを切ることができたということなのかもしれません。
今から7年ほど前に創業した会社のうち、いまでも生き残っている会社は、全体の半分以下しかないそうです。
「ひとつの会社として認められた」と喜び安住するのではなく、これからが会社組織としての歴史のスタートなのだという心構えを大事にしていきたいと思います。まだまだスタートしたばかり、いわば第二の創業期です。この3年間を支えてくださった様々な方々に感謝をしつつ、より一層気をひきしめて、本業に集中して頑張っていきたいと考えています。