京セラを創業した稲盛和夫名誉会長の私塾、「盛和塾」。全国の経営者が集う経営塾ですが、「どんなことが学べるんですか?」と聞かれることあります。
先日、久しぶりに「盛和塾」の勉強会に出席してきました。
稲盛和夫さんは、27歳という若さにして、京都セラミック株式会社(現・京セラ株式会社)を立ち上げ、その後、大変立派な企業にまで育て上げられた方です。そして1984年には、現在のKDDIの前身となる、第二電電(DDI)の創業ということまで成し遂げられています。
そんな稲盛和夫さんから、人としての生き方(人生哲学)や、経営者としての考え方(経営哲学)を学ぼうという、経営者のための勉強と思索の団体なのです。今回は、先日の勉強会で学んだことの一部をご紹介したいと思います。
目次
盛和塾に入塾をしたきっかけ
私は、2005年3月に「盛和塾」へ入塾をいたしました。今から2年前のことになります。
「ぜひ入って勉強すると良いよ。とても勉強になるから」
そう言って私に薦めてくれたのは、転職サイト業界のリーダー格存在である、エン・ジャパンの越智通勝社長でした。
越智通勝社長は私が大変尊敬している経営者。また、ありがたいことに、非常に長きに渡って、我が社、サムスルの成長に強い期待を寄せておられる方です。
エン・ジャパンの越智通勝社長がお薦めなら!とさっそく勉強し、入塾課題と面接をこなし、はれて入塾を許可されたのでした。
盛和塾での学びの内容は?
「盛和塾」に入塾するための課題を通じて得るものは多く、大変勉強になりました。稲盛和夫さんの著書もたくさん読みました。また「盛和塾」で稲盛和夫さんが講演された「講演録」も、冊子として定期的に届くため、これもよく拝読させていただきました。
ただその後2年近くもの間、仕事ばかりに没頭してしまい、ついつい「盛和塾」へ参加することがおろそかになっていました。2年が経過してやっと、盛和塾での勉強を再開する・・・という、誠に怠惰な塾生です。
さて、今日の「盛和塾」勉強会での内容から、特に心に留まった部分を引用抜粋してみましょう。
ものごとの結果は、心に何を描くかによって決まる
心が呼ばないものが自分に近づいてくることはないのであり、現在の自分の周囲に起こっているすべての現象は、自分の心の反映でしかありません。
ですから、私たちは、怒り、恨み、嫉妬心、猜疑心など否定的で暗いものを心に描くのではなく、常に夢を持ち、明るく、きれいなものを心に描かなければなりません。そうすることにより、実際の人生も素晴らしいものになるのです。
未来に向かって夢を描けるかどうか
成功は「行動の手段」より「その人の心の純粋さ」が影響する
謙虚な人だけが幸福になれる。意識して反省する習慣を
私は「謙のみ福を受く」という中国の古い言葉を引用することがありますが、謙虚な人だけが幸福になれるのです。謙虚な姿勢がなければ、ラッキーを呼び込めません。
忙しい日々をおくっている私たちは、つい自分を見失いがちですが、そうならないためにも、意識して反省する習慣をつけなければなりません。そうすることによって、自分の欠点を直し、自らを高めることができるのです。
基本を大事にすることが、人生を整える
いかがでしょう?
「宗教っぽくて、気持ち悪い」とか、「なぁんだ、そんなの当たり前じゃん・・・」と思う人もいるかもしれません。
でも私にとっては、当たり前のようでいて、とても深いなぁとも感じます。
当たり前=基本。
これは、どんなに些細で簡単なことであったとしても、決しておろそかにしてはいけない部分だと思うのです。
私は生来の怠け者。基本からきちんと自分で言い聞かせ、自分で自分を律しないといけません。また、人の何倍もの努力を重ねなければ、人並みのレベルには至れないとも自覚しています。
だからこそ、常に基本に立ち返り、人生の軌道(way of life)を、絶えず整えていく必要があると思うのです。そういう意味で「盛和塾」での学びは、簡単で当たり前のようでいて、とても意義深く、また深いものがあると感じています。
仕事を離れて「学ぶ」「考える」ということ
目の前の仕事ももちろん大事です。
でも、「学ぶ」「考える」ということをせず、目の前の日常業務ばかりをしていると、視野が狭くなり、心も狭くなり、自らで自らの可能性を閉ざしていく結果に陥ると思います。
本当に日々勉強ですね。 残り人生を恩返しにささげていくためにも、あらゆる努力に邁進し、成長を遂げていきたいと思います。
盛和塾は2019年末で解散、活動は終了へ
後日の追記です。稲盛和夫さんの経営哲学を学ぶ「盛和塾」ですが、2019年末をもって解散することが2018年12月に発表されました。「盛和塾」の発端は、1983年に誕生した自主勉強会がスタートですが、それから36年の時をもって終了することになります。
2018年10月の時点で、すでに13,832名もの会員数を誇る規模になっていますが、当初は稲盛和夫さんが80歳になる時期をもって終了する予定だったと聞いています。その後、塾生からの熱い要望があったこともあって、活動が継続。しかし2019年1月で87歳を迎える稲盛和夫さんにとって、体力的な問題もあったようです。
解散後は、盛和塾で学んだ塾生たちが、どう現場で活かしていくか、どう世の中に貢献していくかがますます問われてくるようになるはずです。多くの経営者を啓発してきた団体であるだけに解散は残念ですが、もともと予定されていたことでもありました。80歳を超えてもなお「盛和塾」の活動に尽力されていたこと自体が奇跡だったと言うべきなのかもしれません。
【参考】稲盛和夫さんの盛和塾での講演の記録
稲盛和夫さんの盛和塾での講演は、こちらの本にまとめられています。
【参考】盛和塾に関するブログ記事
盛和塾での活動に関するブログを集めました。こちらの記事も、ぜひどうぞ。