ハンドルさばきに体力を使う車を運転したことはありますか?
今から10年ちょっと前のこと。インドネシアのバリ島で、約60日弱、アパート暮らしをしたことがあります。その間、私が行動手段に使っていたのはレンタカー。スズキの「カタナ」という車でした。
スズキの「ジムニー」なのですが、現地生産の車で、そのような名称がついていました。
運転を始めて、びっくりしました。
「ハンドルが重い・・・」
ハンドルを切るにも、ものすごい力を要するのです。ハンドルなんて、片手でくるくる回るものだという認識があったので、余計にびっくりしました。
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日本で走っている車のほとんどには、「パワーステアリング」という機構がついています。車のカタログを見ると、必ずと言っていいほど、パワステがついている旨の記述が書いてあります。
よく書いてあるのですが、その意味を認識している人は、そう多くはないのではないでしょうか?
ハンドルは、軽くまわせるものというのが前提としてあって、それは補助があってこその軽さなのだと実感している人は、おそらく少ないのではないかと思います。
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時代と共に、車の運転はどんどん簡単なものになっています。
例えばマニュアルからオートマへのシフトは、その一つ。ややこしい操作は、ますます楽なものへと変化しつつあります。
面倒なことは機械がやってくれる・・・。
たしかに便利。ただこれに慣れてくると、そもそも面倒な作業が発生しているということの背景を忘れがちになります。
日頃、車を運転している人が、パワステの威力に感謝することは、あまりないと思います。でも、実際にパワステ無しの車を運転してみると、パワステのすごさに感心させられます。
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発展途上国では、パワステの無い車がまだ走っています。そのような機会があれば、ぜひチャレンジしてみることを強くおすすめします。
ハンドルをまわすという単調な作業。
でも、パワステ無しの車を運転すると、強く感じるのです。パワステという技術のすごさを。ハンドルを片手でくるくるまわせるということの奇跡を。
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人は、与えられた幸せを、そうは認識しないことがほとんどです。
でも、人知れず、陰ながら支援してくれている力があるということです。
マニュアル車を運転して、オートマという技術のすごさを感じるのと同様、
パワステについても、それが無い車を運転してみて始めて、
パワステが偉大な発明であることを知らされるのだと私は思います。
そうして考えてみると、
こうしたことは、まだまだたくさんあるということに気づくのです。
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自分に与えられた境遇を悲観するのは簡単です。
でも、自分に与えられた境遇の裏にある幸せを実感するのは
なかなか難しいことです。
今の自分の位置づけ。そこにはどんな幸せがあるのか。
どんなありがたさに支えられているのか。
そうしたことを考えてみることは、新たな奮起を促す意味でも、とても重要なことだと思います。だからこそ、過去の人が味わってきたはずの苦労をあえて体験してみるということは、とても有益です。
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約2ヶ月弱、パワステの無い車を運転したことは、
私にとっては、衝撃的で貴重な経験でした。
昔の人が味わったであろう苦労を追体験すること。
本当に貴重な経験になるはずです。
そうでなければ、ありがたさを感じにくいこと。
そうでなければ、感謝の念が沸いてこないこと。
そうした経験は、たくさんあると思うのです。
やって初めてわかること、とても多いですよね。
ありがたきことをありがたきこととして実感できること。
支えてくれている存在に対して、常に感謝の念をもつこと。
そうしたスタンスで行動することが、ひいては、自分を支えてくれている方々からの信任をさらに強めることにもつながるはずです。
このコラムは、2007年7月8日に配信したメールマガジンを転載したものです。
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2007年7月21日 渡邉 裕晃
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