いやぁ、こんな方もいるんだな・・・と驚きの方に出会いました。なんと、200年前のグラスでワインを飲み、500年前の器でアイスを食べてみるという経験をさせていただいたのです。
アンティーク食器、あるいはヴィンテージ食器とも言われますね。こうした古い食器は、集めて飾って楽しむというのが一般的ですが、「普段使い」といって、日常の中で使ってこそ楽しめる・・・という考え方。今回はじめて実際に使わせていただいて、「あぁ、本当に素晴らしい世界だな」と心の底から感じることができました。
今回は、アンティーク食器を普段使いすることの楽しみについて、書いてみます。
目次
アンティーク食器を「普段使い」する楽しみ!!
もともとのきっかけは、ある社長から「この人に会うといいですよ」と言われたこと。「善は急げ」で、その翌日にお会いすることになりました。場所は銀座にある不老庵。
こういうものは、私の経験則的には、あたかも、媚びへつらっているかのごとく思われてしまうくらいに、ありえないくらいに、超ハイスピードで、すぐさま実行した方が、良い結果が出せ、また、想定外の驚きに出会えることが多いのです。
結論。
お・ど・ろ・き!
いやぁ、こんな人もいるんですなぁ。世界というのは、実に広いものです。すごいおじさまでした。
200年前のイギリスのミニグラスでいただくシャンパン
なにしろ・・・まず最初にいただいたシャンパンは、200年前のイギリスのミニグラスで。
200年前って、江戸時代ですよ・・・。
【写真:おそらくドンペリニョン(シャンパン)。絵柄が実に美しい】
どうして、こんなに美しいものが、江戸時代に創れたのでしょうか・・・。
「きみ、名前は何だっけ?」
「誰の紹介だったっけねぇ・・・」
「あぁ、臼井さんね」
こんな展開で、進みます。
緊張感ありあり。
アンティーク食器でいただく美味の数々
【写真:絶品のお刺身でしたが、器の美しさに注目を。明治時代です】
【写真:たまらなくおいしい蓴菜(じゅんさい)をグラスで一気に飲む。これも明治】
器の解説、料理の素材の解説いろいろ聞かせていただきつつ、ぜひ、いろいろと勉強させて下さいと、ダメ元でお願いしてみます。
(こういうアタックには、慣れました)
「ん・・・。僕は渡邉くんに、何を教えてあげればよいのかな?」
おそろしい、緊迫感・・・。
いやあ、ダメかな・・・と思いつつ、反面で、この大物ぶりに、すごい期待が膨らみます(笑)。
【写真:トマト。でも実はトマトは脇役。スープが主役。うそぉ・・・と思ったものの、飲んでびっくり。写真ではわからないかもしれませんが、トマトの周りにある「スープ」が断然の主役でした。恐ろしい味。ちなみにこれも明治】
【写真:お食事。ありえないおいしさ。器は江戸から明治時代のもの】
アンティーク食器を普段使いするご主人が醸し出す魅力
次から次へと出てくるアンティーク食器。
それぞれの器について、いろいろ教わりつつ、
「僕から何を教わりたい?」
「僕はね、ビジネスは教えられないですよ」
「だってね、この約50年、僕はビジネスをしたことないから」
ますます、やばいくらいの緊張感と期待感。
【写真:しつこいようですが、刺身は絶品ですが、器に注目。どうしてこんなに美しい器が明治時代につくれたのでしょうか? そして今つくれないのは、なぜ?】
【写真:これも200年前のイギリスのワイングラス。赤ワインは、おそらくCh. Lafite Rothschild 。彫り込みの美しさに唖然】
「僕はね、生まれてこのかた、ずっと道楽人生だからね」
「文化とか、カルチャーね、これしか教えてあげられないんだよ」
ありえない。
好きだなぁ、こういう方(笑)
【写真:アイス。なんと器は500年以上前のもの。江戸時代より前ですよ!!】
もう圧巻。だって、500年ですよ。
良いんですか、私が割ってしまっても(笑)。
歴史の中に生かされていることを自覚
人生の中で、江戸時代よりも前の器で食事をすることがあるだなんて、まったく想像もしておりませんでした。
正直なところ、最初は「アンティーク食器」の楽しみがわかりませんでした。だって、単に古い食器で食べるということですよね? ものすごい貴重なものなんだから、日常使いをしたらもったいない! って思いました。大事にして、飾って鑑賞するためにあるんじゃないの? って。
でも、実際に使わせていただいて、おいしいお食事とお酒をいただいて・・・。アンティーク食器を日常使いするということは、まさに歴史の中に生かされていることを自覚させてくれるものだなって思いました。
こんな経験をさせてくれるだなんて、本当に考えられません。
しかも、500年の時空を超える経験ができるだなんて・・・。
もう、「ありがたや、ありがたや・・・」で、言葉がありません。
江戸時代、明治時代、大正時代、昭和時代、そして平成。
この500年の人々の歴史の集積は実に重い。
こんな深みを味わわせていただけて、自分の小ささに、申し訳なく思うやら、恥ずかしく思うやら。
500年も昔の方に感謝したくなる・・・だなんて
だって、500年以上もの前の人たちにお世話になってしまったんですよ。
どうやって、お返ししたら良いのか・・・。
もっともっと、人間として大きな存在にならなくてはと、つくづく思うわけです。
【写真:最後にいただいたお茶。これも明治時代のもの】
根っからの文化人という感じなのですが、京都、嵐山の●●寺から●00坪もの広大な土地を譲り受け、某氏から譲り受けた某所の別荘(築90年超!!)をそっくり移築し、自分で、自宅として住んでいるそうです。
つまり、お寺の中に自宅があるとのことでした。
ありえない!!
他にも、ありえない話をうかがったのですが、あとは、内緒にしておきます(笑)。
ちなみに、今回の美味を演出してくれた料理人の方は2名。大阪吉兆出身者と、タイユバン経由でフォーシーズンズ丸の内のフレンチ料理長を経た方。
ありえん!!!
本当においしくて、驚きました。
表現が陳腐ですみません。
時空を超えるアンティーク食器の魅力、そしてオーナーの魅力
速攻で、勝手に、私の中の「お師匠さんリスト」に加えさせていただきました。
いやぁ、素晴らしき出会いに感謝。
「縁」って、すごいですね。
つくづく思いますが、人の縁には、本当に感謝しかありません。そして、すごい人にお会いしていつも思うのは、「相手をしていただくためには、自分が相応の人間にならなくてはいけない」ということ。まだまだ精進ですなぁ・・・。
世界の広さと深さに、日々恐れ入るばかりです。
これからどんな出会いがあるか楽しみ。
人生は長いようで、短い、短い!
面白いことがたくさん満ち溢れているのにねぇ。
人生、何事をも為さぬには、あまりにも長いが、何事かを為すには、あまりにも短い。
さぁ、仕事に遊びに頑張ろう。
■追伸:
数々のアンティーク食器やヴィンテージ食器を堪能させていただいたわけですが、その後、そんな骨董品の楽しみ方を教えていただいたのが、ギャラリーギャラリー無境の塚田晴可さんでした。こちらもどうぞ。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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