今回は、前回ブログの続きです。「第2回」を迎えた「産業振興基本条例に関する懇談会」の様子をご紹介しています。今回の懇談会の主眼は、「産業振興・中小企業振興条例」を知ることでした。
目次
植田浩史教授の勉強会「中小企業振興基本条例について」
【写真:第1回懇談会の風景】
今回は、懇談会の会長である、慶應義塾大学(経済学部)の植田浩史教授による勉強会も行われました。
これから新宿区で制定していく条例が、いかなる意味をもつものか、イメージを共有することからのスタートです。
【写真:植田浩史教授による勉強会資料「中小企業振興基本条例について」】
様々な自治体で制定されている、「中小企業振興基本条例」や「産業振興基本条例」を参考に、こうした条例の背景や役割、必要性などをお話いただきました。
条例の背景や役割、必要性など、非常にわかりやすい!
・・・というと、なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、これがまた、非常にわかりやすい!ずばり、植田先生の生徒さんたちが羨ましくなりました(笑)
複数の資料を使いながら、短い時間で端的に説明され、論理一貫、無駄がなく、非常にわかりやすい説明にびっくりでした。
いただいたレポートも、過不足なく、かいつまんで要点がまとめられていて、正直驚きました・・・。あえて表現すると「美しさ」すら感じられるものでした。
今まで漠然としていた条例に対する理解が、ものすごーく、クリアになりました。植田先生、すごい。
産業振興条例は、経営におけるビジョンやクレドと同じ!
紹介したい話がたくさんあるものの、長くなってしまうので、端折りますが・・・、
これ、結論から言うと、会社経営で言うところの、ビジョンやクレド、それと全く同じ背景や意味、役割をもっているのだとわかりました。
「ビジョナリー・カンパニー2」で言うところの、「時を告げる」のではなく「時計を作る」作業ですね。
「自治体の条例づくり」となると、私の専門外のイメージもあったのですが、経営と同じだとわかれば、私でも貢献できるところがあると実感できました。
「産業振興基本条例に関する懇談会」でのコメント内容
私が発言したのは、以下の通りです。
・今回の勉強会を踏まえ、 基本条例に対する意見を述べるとすると、私としては、 中小企業の経営者という立場にひきつけての意見しか言えない。 ・勉強会の内容を総括すると、 ビジョンの策定、ビジョンの浸透という点において、また それを業績にどう結びつけていくかという点において、 「経営」の世界と非常に似通っているのを実感した。 ・墨田区、八尾市、千葉県、帯広市、釧路市などの条例の背景や内容を 総括してみると、この条例の意義として、 自治体、企業、大学、住民、その他いろいろな活動主体の意味づけ、 役割を明確化していくことの学習効果、 そして、策定と共有を通じての信頼関係の強化という効果が 見受けられる。 ・したがって今回の条例は、 「作って終わり」ではなく、「作ることを通じて効果を生み、 作った後の実効化作業を通じて、さらなる効果を生み出す」という 性格をもつべきだ。それを通じて、 各主体の相互貢献体制を創ることまでが大事な役目なのではないか。 ・これにひきつけて言えば、冒頭の坂本先生の自己紹介スピーチは、 まさに素晴らしい点で、私は大いに共感。 (注:詳細は前回ブログを参照。でもこの点、実は議論白熱しました) それは、いたずらに中小を守るのではなく、 正しい経営を行う中小企業が増えていくようにしていくこと。 ・実感値として、私の周りの20代、30代の「創業経営者」に限定して 言うと、自治体に何かを望む声はない。依存するどころか、 「何も期待しない」「何もしないでくれ」という声すら多い。 自治体が「中小企業を伸ばしたいと真剣に考えている」ということは、 おそらく思ってもいないことなのではないか。 ・すると逆に言えば、自治体によりかかりがちな企業の一方で、 まったく寄りかからない無関心な若い企業も多いわけで、 もし相互貢献体制の中に彼らを引き込むことができれば、 それはまさに、新宿の産業を盛り上げていく、新たな力を 生み出すことにつながるのではないか。 |
ベラベラしゃべってしまったので、上記のことをそのまま発言したというよりも、そういう思いを伝えるべく、お話をしたという次第です。
どれだけうまく伝わったかはわかりませんが・・・。
「日本でいちばん大切にしたい会社」坂本光司先生の指摘内容は?
今回、いろいろな委員が、いろいろな立場からコメントされましたが、今後の方向性に、大きな示唆を与えているなぁと思ったのは、ベストセラー「日本でいちばん大切にしたい会社」でおなじみの、坂本光司先生の、さらっとしたひとことでした。
・新宿は大都市として、企業活動の活発なところが顕著。 ・教育や福祉も大事だが、 それを支えているのは結局のところは税収だ。 ・したがって産業の強い新宿が存在感を出すには、 税収を増やすべく産業を支援していく姿勢が大事と思う。 ・そうして税収を伸ばすことができれば、 教育や福祉などの拡充を進める力になる。 ・新宿区は、そういう背景を見越した上で、 条例名にあえて「産業」の2文字を入れているのでは? |
坂本光司先生は、いとも簡単にさらっとお話しされましたが、私はこれを聞いた時に、「これは深い!」と思い、それこそまさに、鳥肌の立つ思いでした・・・。
なお坂本光司先生の著書は、こちらが有名ですね。
坂本光司先生、そして、スピーチされた植田先生。本当に素晴らしい内容で、感銘を受けっぱなしでした。
「新宿区の産業振興」に向けた格闘は、これからも続きます!
他の委員の皆様のコメントも、いろいろな立場こそあれ、非常に示唆に富むものばかり。素晴らしい方々で、「新宿を良くしたい!」という大変な熱意の持ち主がそろっています。素晴らしい環境を与えてくださって、感謝に絶えません。
勉強させていただくことは、会社経営にも多くの示唆を与えてくださっています。ご期待に沿うべく、頑張ります。
【おわり】