インドネシアの手食文化|手で食べる「手食」の魅力は日本でも広まるか

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皆さんは、手を使ってご飯を食べてみたことはありますか? 私の暮らすインドネシアでは、スプーンやフォークを使わずに、手を使ってご飯を食べるケースがあります。いわゆる「手食」と呼ばれる食べ方です。今回のブログでは、この「手食」の魅力について書いてみたいと思います。




「手食」に対する注目が日本でも

「手食」を含めた触感の魅力を取り上げた、2015年7月27日付「日経MJ」の記事より
【画像:「手食」を含めた触感の魅力を取り上げた、2015年7月27日付「日経MJ」の記事より】

もっとも近年では、フォークとスプーンを使って食べることが増え、インドネシアにおいても「手食」の文化はだんだん廃れてきている様子。

でも先日、地元、東ジャワの高校で開催されたイベントを訪ねてみると、その後の懇親会で、みんなが床に座りながら食事を手で食べる機会がありました。夜のモスクで行われた食事会でも、みんなで手を使って食事を楽しみました。

「手食文化」は依然として、インドネシアの大事な伝統文化です。そして日本でも、この「手食」に注目する動きが起きているようですよ。

手食だからこその、とっても不思議な美味!

ハンバーガー 手食

私は今インドネシアに住んでいますが、ときどき、日本の知り合いを案内することがあります。手で食べるのに適した店に日本人を連れて行く時、私は「手食」を大いに薦めています。

最初は「えっ」と躊躇する人もいます。「手で食べる=ちょっと汚らしい」と感じるのでしょうか、嫌がる人も少なくありません。

でも、実際にチャレンジしてみた人の多くは、「おぉ、おいしい!」と喜んでくれることが多いです。「手で食べるだけで、なぜか余計に美味しく感じるんだけど、これなんだろう?」と。

手食ゆえに享受できる不思議な美味。私は少しでも多くの人に味わってほしいと思っています。

触感の魔力 携帯・食…「リアル」が人気・・・と日経MJ

先日の「日経MJ」(2015年7月27日付)で、「触感の魔力 携帯・食…「リアル」が人気」と題する記事が掲載されていました。触ったときの感触や感性を重視する消費者が現れるようなっていて、手づかみで食べる、手食も、人気になってきている、という記事です。

触感の魔力 携帯・食…「リアル」が人気  :日本経済新聞

押す、触れる、握る。「触感」がマーケティングの分野で注目されている。情報があふれる中で、消費者はものやサービスを選ぶときに無意識のうちに触ったときの感触や感性を重視するようになってきた。新世代の携帯電話「ガラホ」や手づかみレストラン、万年筆……。ヒット商品から時代が求める触感を探ってみた。

私は、先程も書いたように手食の礼賛派。

手で食べることのおいしさと喜び、みんなで手で食べるということの幸せを、より多くの人に味わってほしいと思っています。

そんな中で、手食の素晴らしさを実感している人が増えていること。少なくとも、マーケティング戦略の一貫として「手食」という考え方が考慮されているという点は、とても嬉しく思いました。

手で直接ものを掴んで食事をする手食文化は世界の約44%!!

手食文化 手で食べる

「手で食べる=ちょっと汚らしい」と感じますか?

wikipediaで調べてみると、北岡正三郎さんの著書 『物語 食の文化 – 美味い話、味な知識』 の227ページ記載のデータとして、次のような数字が紹介されています。

手食文化 – Wikipedia

現代ではアフリカ、中近東、インド、東南アジア、オセアニアなどを中心に、世界の約44%の人が主に手で直接ものを掴んで食事を行っている[1]。

実際に日本でも、寿司やお稲荷さんなど、手で食べるケースもありますよね。

私はインドネシアで日本人に手で食べることを勧める時、もし「えっ?」と嫌な反応をされた時、寿司や、サンドイッチ、ハンバーガーなどの話をします。

すると「あ、そういえばそうだね」と、急に食べ始める人もいます。「手で食べる=ちょっと汚らしい」というマインドが無くなって、伝統文化としての位置づけを思い出すようなのです。

日本の郷土料理の中にも、手で食べるものはいろいろ。例えば、和歌山・熊野地方の郷土料理「めはり寿司」もその一つですね。

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手で食べるということは、決して貧しい人たちによる汚らしい食べ方などではありません。

インドネシアにおける「手食」の現場

実際、インドネシアでも、手で食べる場所では、必ず手を洗うフィンガーボールがあります。伝統的な集まりで食事の機会があると、手で食べるのは普通です。

夜のモスクで食事をいただいた時も、全員、きちんと手を洗った上で、おいしく手食で食事を味わっていました。つまりは、清潔な食べ方なのです。

きちんと自分で洗浄した、自分の手で食べるのか。あるいは、きちんと洗浄したかどうか確認できないようなスプーンとフォークで食べるのか。ということです。

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口で味わい、手で味わうという2度の楽しみ!!

さらには・・・、
手で食べることには、口で味わう楽しみの前に、手で味わうこともできるという、2度の楽しみがあります。手でつかんで、その暖かさを味わうこと。これ、とても大事なんですよね。

人間の脳も刺激され、「感じる」という点において、非常に大切なインパクトを与えているのではないかと思うのです。

「日経MJ」の記事にあるようなレストランが増えるかどうかはわかりません。でも、「手食」の良さを理解する人は、これからきっと増えていくはずだと思います。

     □     □     □

日経MJの記事は、手食のみを扱ったものではありませんが、「手食」に関する部分を抜粋してみます。

「手食」を広める「日本手食協会」のコメントも添えながら、次のように書かれています。

触感の魔力 携帯・食…「リアル」が人気:日本経済新聞

指で触れたり押したりして「何かをやった」という実感を得る――。こうした意識は「食」の世界にも求められている。 東京・新宿のシーフードレストラン「ダンシングクラブ」。テーブルに敷かれた白い紙の上に、店員が熱々のムール貝やエビ、カニなどをビニールの中から出す。待ってましたとばかりに女性たちが手づかみでかぶりつく。

友人らと訪れた東京都練馬区に住む内田怜奈さん(20)は「野性的でおいしい。『生き物を食べてる』と指先で実感できるのも刺激的なの」と興奮気味。机の上の魚介はあっという間になくなった。

同店は昨年10月にオープン。デザートなど一部を除くほとんどのメニューを手で食べる同店には「リアルな触感」を求め予約が殺到する。運営するミールワークス(東京・港)によると、最初はお皿で提供していたサラダも客が勝手に手で食べ始めたため、手づかみ方式にした。

「手食」を広める「日本手食協会」(東京・世田谷)理事長の佐谷恭さんによると「香りをかいで味わうのと同じように、触覚でも料理の温度や味も感じられる。手で触れながら味わうことで、感覚が1つ増える」。

インドやスリランカ料理の専門店でも、素手で食べられる店は増加中。五感で味わうと昔からいうが、これまで影をひそめていた触感がにわかに台頭してきた。

この記事では、新宿のシーフードレストラン、「ダンシングクラブ」が紹介されていますが、手食を積極的に推進するレストランとしては、日本手食協会の理事長、佐谷恭さんが経堂で経営するレストラン、「パクチーハウス」も非常に有名です。

またネットで調べたところでは、福島県 郡山市にあるレストラン「手食屋・掌(たなごころ)」も、「手食」をキーワードにしているお店のようです。

ウェブサイトには、こうあります。
「定食屋ではなく「手」食屋。手でつまみ食いしてもOKな店です」

広がってほしい手食という文化

このように、飲食店のマーケティング領域にまで広がりつつある「手食」という考え方。手を使って食べることは、スプーンやナイフ、フォークや箸を使って食べることに比べると、多いに感性を刺激してくれるはずです。

そして何よりも楽しい! 仲間と手で食べることの楽しさと言ったら、なんとも言えません。インドネシアでも、経済成長と近代化にともなって、手で食べることが、次第に廃れている気配を感じます。この「手食」の魅力、ぜひ無くなってほしくないです。

そして日本でも、手食がさらに注目されることを祈っています。皆さん、ぜひ「手食」を広めましょう!

【参考】手食に関するブログ記事

手食を取り上げたブログ記事です。こちらもぜひどうぞ。

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サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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