今回はインドネシアのLGBTに関する話題です。「LGBT」という言葉をご存知ですか?「レズビアン・ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー」のこと。
インターネット社会でも「表現の自由」というのはよくテーマになります。インドネシアは欧米社会に比べると、宗教的な価値観や伝統的な価値観が重視される傾向にあり、「表現の自由」についても、同じような傾向が見受けられます。
今回、現地メディア「Kompas」の報道で、コミュニケーションアプリ「LINE」についての話題がありました。いわゆる「LGBT」を啓発しているようなLINEステッカーがあって、政府の指導によって、LINE側が削除の決定をすることになったという内容です。詳しくご紹介します。
なお、インドネシアのLINEの状況については、こちらの記事をどうぞ。
インドネシアLINEがLGBTのステッカーを削除へ
【画像:「LINEはインドネシアから “LGBT” ステッカーを取り消しへ」とのKompas記事より】
「LINEはインドネシアから “LGBT” ステッカーを取り消しへ」Line Cabut Stiker “LGBT” dari Indonesia – Kompas.com(11 Februari 2016 | 09:48) |
という題名の記事。
私自身、お恥ずかしいことに「LGBT」という単語は、初めて知りました。調べてみたところ、これはインドネシア語ではなくて、世界的に共通する略語として広まりつつあるもののようです。
■お役立ち情報 テーマ:LGBT – NHK福祉ポータル ハートネット
L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー。順番に、女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、生まれたときに法律的/社会的に割り当てられた性別とは異なる性別を生きる人のことを言います。トランスジェンダーは、心の性別と体の性別が一致しない人のことを指す医学上の診断名「性同一性障害」よりも広い概念で、当事者が自分達の生き方にプライドを持ち、名乗るときに好んで使われることが多い言葉です。 |
性的な少数派を差別することなく、対等に取り扱っていくべきだという考えからくるのでしょうか。インドネシアのメディアでも、普通に「LGBT」で通じるのだなぁ・・・と初めて知った次第です。
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さて、内容は次のとおりです。
コミュニケーションアプリ「LINE」において、ゲイのニュアンスをもつステッカーは、インドネシアではもやはアクセスできないようになる。この問題は、通信情報省の広報担当であるIsmail Cawidu氏によって伝えられた。
「現在は、すでにLINE側によってフィルターされている」と、2月10日夜に語った。Ismail氏によれば、LINE側は政府からの進言に対して充分に協力的でという。 彼が言うには、一方ではLINEは、インドネシアを含むいかなる場所のクリエイターたちによるって作成された創作物に対して尊重をしている。しかし他方では、LINEもまた、インドネシアにおける規範や慣習、宗教を理解している。 これによって、通信情報省はインドネシアにおけるLINEが、ゲイのニュアンスをもつステッカーに端を発する論争に対して対処したことを評価している。 「特に子供たちに対するお母様方の心配は、そうしたLGBTの類のステッカーの流通によるネガティブな影響の存在だ」と語る。 すでに知られているように、数日前LINEのステッカーに、2人が仲睦まじくしていることを示す男性カップルの絵が出現した。 この絵の出現は、ネット社会で論争の引き金を引いた。なぜなら、若者が多いLINEの利用者に対して、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の活動をキャンペーンしているものだと考えられたからだ。 LINEに加えて、WhatsAppの絵文字についても同類の兆候を見せている。女性と女性、男性と男性が一緒に親密にしている姿を描いたステッカーが複数存在している。 通信情報省は、すぐにWhatsApp側に連絡を取る予定だと約束した。なぜならLINEにかぎらず、すべてのソーシャルメディアもまた、社会がもつ価値や規範に従わなくてはいけないからだ。 「私たちは、すぐにWhatsApp側に連絡を取る予定だ。同じ問題に対処するために」と語った。 |
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冒頭に書いたように、欧米社会に比べると、インドネシアでは、まだまだ宗教的な価値観だったり、伝統的な価値観といったものが重視される傾向にあります。
例えば最近であれば、「バレンタインは禁止すべき」という運動があったり、「バレンタインデーを祝ってはいけない」という学校通達があったりしたことなどが話題になりました。
「表現の自由」についても、同じような傾向が見受けられます。
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今回のケースは、インドネシア政府が強制的に削除させたというわけではありません。他の記事によれば、ユーザーからのクレームが引き金になっているようです。
でも、「政府が進言するというかたちをとってLINE側に検討させ、削除という結果になった」という今回の流れ。欧米社会であれば、「政府が進言した」というところについては、表現の自由をめぐって波紋を呼び起こしかねない部分ですよね。
インドネシアではこの手のことは、すんなり受け入れられているようで、特に何の問題も起きていないようです。
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LGBTを社会がどう受け止めるかというのは難しい問題で、私にも正解はありません。私の知人にも、LGBTに属する人はいます。
また調べてみたところ、日本でも、人口の7.6%がLGBTであると推定されているようですね。
■お役立ち情報 テーマ:LGBT – NHK福祉ポータル ハートネット
電通ダイバーシティ・ラボが2015年4月に行った調査によると、日本の人口の7.6%にあたる人たちがLGBTであるという調査結果が出ています。13人に1人というこの数字は、学校や職場の仲間として、あるいは家族として、当たり前に存在していることを示しています。しかし、差別や偏見を恐れてカミングアウトしていない人も多く、なかなか可視化されていないのが実情です。 |
ただ、私が思うに、そういう相手を差別せずに認めるということは良いでしょう。でも、今回のステッカーのように「啓発、奨励する」かに受け取られるものは、少なくとも、子供たちを対象とするものとしては、やはり一定の規制があってしかるべきではないかという気がします。
他の国では、どのように受け止められているでしょうか?
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今回、LINE INDONESIAは、Facebookで次のようなコメントを出しています。
LINE menyesalkan kejadian beberapa stiker yang dianggap sensitif oleh banyak orang telah menyebabkan timbul rasa kurang…
Posted by LINE Indonesia on 2016年2月10日
LINEは、多くの人たちからセンシティブだととらえれ、多くの利用者から不快の念を生じさせた、いくつかのステッカーの問題について、遺憾の意を表します。
私たちがご理解を求めたいことは、現在私たちはこの問題を収束させるべく努力をしている最中であるという、特にそうしたステッカーの削除の過程にあるということです。 LINEにおいては、私たちはセンシティブなコンテンツに対するフィルターについてローカル文化の視点から考えるようにしています。LINEは、私たちの製品や新機能について、利用者や関係者からのすべての進言を尊重しています。そして、この問題がいかにセンシティブかを理解し、こうした問題が二度と引き起こされないよう強く努力します。 LINEはすてべの関係者からの引き続きの支持をお待ちしています。ありがとうございます。 |
というわけで、今回は、LINEステッカーでLGBT関連のものが削除されたというインドネシアの話題についてご紹介しました。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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