ジャカルタ大規模デモ|インドネシア民主主義の定着と深化が試される

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本日の午後からジャカルタ中心部で予定されている大規模デモ。今のところ、参加者数は6万人にも及ぶ可能性があるとのことですが、またひとつ、インドネシアの民主主義の定着と深化が試されているなと、そんな気がして、私はなりません。

ジャカルタに住む日本の方々の中には、本日のデモを心配されている方が少なくないと思います。そこで、簡単ではありますが、取り急ぎ、私なりの見立てを書いてみたいと思います。




インドネシアの民主主義が次なるステージに入るための試金石

ジャカルタ デモ予定を報じる新聞記事 Kompas【写真:デモ予定を報じる現地主要紙「Kompas」より】

本日のデモは、従前のデモと同様に、平和裏に終わることが期待されています。

ただし、あまりにも大勢になることから、たとえ主催者に暴力的な意図が無かったとしても、統制がとれなくなるような事態になるのでは・・・そんな懸念の声も出ています。

「あれは、インドネシアの民主主義が次なるステージに入るための大事な試金石になったね」
結果として、そうなるよう、私は祈っています。

確実に深化しつつあるインドネシアの民主主義

ジャカルタのビル街

そもそも「インドネシアの民主主義」は、それなりの時間をかけて熟成してきたもの。そして世界的に見れば、インドネシアは、イスラム国家の中で最も進んだ民主主義を実現させている、との声もあります。

「こういう時はデマが流れやすいから、情報はしっかり確認しような」

これは今回のジャカルタでもに当たって、私の携帯に流れてきた、あるインドネシアの人からのメッセージ。

「冷静に行動しよう」
「きちんと判断しよう」
「安易に流されないようにしよう」
「情報の確実さを見極めよう」

一市民の立場から、そういう話が自然に流れてくるのは素晴らしいなと改めて思います。過去のいくつかの出来事は、大事な教材として確実に活きているなと、そう感じる場面もあります。

迂闊なことは言えませんが、報道を見ていると、指導者たちの行動や声明を見ても、知恵の発露が散見されることもあり、きっと大丈夫だと私は信じています。

ジャカルタ大規模デモに向けた日本大使館からのメッセージ

ちなみに天気予報を見れば、雷混じりの雨とのこと。安易に変な暴動に発展する可能性を低めるものではないかなと。天気もまた味方しているかなと、そんな気がします。

中長期的なインドネシアの未来は、私は非常に楽観的です。「あれは、インドネシアの民主主義が次なるステージに入るための大事な試金石になったね・・・」と、結果としてそうなるよう、私は祈っています。

このブログを読んで、「何のことを言っているのかよくわからない・・・」という方もいるかもしれませんので、下に、昨晩流れてきた「日本大使館からのメッセージ」を添付しておきます。

以上、本日の大規模デモを目前にして、不安の声を多く聞く中での、取り急ぎの私の感想です。

【参考】ジャカルタのテロ事件、フェイクニュースやデマが拡散する背景

ちなみに、デマが拡散しやすい・・・という点では、今年1月に書いた以下のブログが意外なほどに好評でした。参考までにどうぞ。

ジャカルタのテロ事件|インドネシアで流れた「同時多発」の誤報の謎
2016年1月14日に発生したジャカルタのテロ事件。ジャカルタの中心地である「サリナデパート」周辺で発生したものですが、複数の爆発と銃撃戦に...

また、デマやフェイクニュースがソーシャルメディアで拡散するのを防ぐ取り組みも行われています。詳しくはこちらの記事を御覧ください。

インドネシアのデマ拡散の防止策|ソーシャルメディア利用4指針とは
フェイクニュースやデマの拡散をいかに防ぐかは、インドネシアで関心の高いテーマです。テロやデモ事件の報道で話題になるのがニセ情報(Hoax)の拡散問題です。「インドネシア・デジタル協会」のソーシャルメディア利用の4指針を取り上げてみます。

上記は民間の取り組みを紹介したものですが、インドネシア政府としても様々な取り組みが進められています。例えばインドネシア通信情報省は、フェイクニュース対策を目的とする人工知能のAI機器を2017年末に導入しています。専門のチームが24時間体制で監視を行っているようです。なおこの機器には2000億ルピア(約15億円)が投じられていると言われます。

さらに、2018年9月からは、フェイクニュースを毎週1回公表するとの方針が発表されています。特徴は、フェイクニュースを公表するだけでなく、その事実関係も含めて発表する点です。これらの様々な取り組みによって、インドネシアのメディアリテラシーは確実に底上げされていくはずです。

【参考】ジャカルタのデモに関する日本大使館からのメッセージ

ジャカルタにある日本大使館からのメッセージは、以下のとおりです。

インドネシアにお住まいの皆様および旅行者の皆様へ
平成28年11月3日(大16第47号)
在インドネシア大使館

1 11月4日午後にジャカルタ中心部で予定されている大規模デモに参加するため、地方からの参加者が集結し始めており、デモ参加者は約6万人に上るものと予想されております。

2 デモ参加者は、4日昼の金曜礼拝を終えた後、イスティクラル・モスク(インドネシア最大のイスラム教礼拝堂)を出発し、大統領宮殿へと移動する予定ですが、その後、タムリン通り、スディルマン通り、スマンギ交差点を経て国会まで移動する可能性が生じている由です。その場合、モナス地域以外のより広い範囲で交通規制が敷かれる可能性があり、より広範囲にわたって激しい渋滞が発生する可能性があります。

3 報道によると、11月2日、ティト国家警察長官は、今回のデモにISIL支持者が参加する計画があり、彼らはこの状況を利用しようとしている旨述べており、警備に従事する警察官等を標的としたテロの可能性も懸念しています。

4 つきましては、11月4日、インドネシアに渡航・滞在される方は、デモが行われるジャカルタ中心部のイスティクラル・モスク(インドネシア最大のイスラム教礼拝堂)、大統領宮殿、ジャカルタ州庁舎など、モナス(独立記念塔広場)周辺には近づくようなことはせず、デモの範囲が拡大する可能性にも十分にご注意ください。また、最新の関連情報の入手に努めるとともに、抗議デモや集会等、人が集まっている場所からは速やかに離れるなど身の安全を確保してくだざい。また、広い範囲で交通規制が敷かれ、激しい交通渋滞が発生する可能性がありますので、外出する際には十分にご注意ください。

在インドネシア日本国大使館

サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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