私はインドネシアの東ジャワ、マラン(Malang)という都市に住んでいます。
昨日は、その自宅から東ジャワのスラバヤまで約100キロの移動を。4〜5人の乗客が乗ればいっぱいになるサイズの乗り合いミニバス「トラベル」に乗って。
成長を続けるアジア。インドネシアも例外ではありません。躍動感あふれる中にあって、実に印象的な会話を聞くことができました。今回は、そんな「躍動アジア」の一側面をご紹介したいと思います。
【写真:スラバヤのGubeng駅にて】
就職試験を受けようと、緊張混じりの青年が
50代くらいのおしゃべりな運転手。そして私を含めて3人の乗客。その中に、1人だけ若い青年がいました。
運転手のおじさんは、ジャワ語混じりの少しぶっきらぼうなインドネシア語で、青年に語りかけます。
運転手「きみは、スラバヤに何の用事で行くの?」 青年 「はい。就職試験があってスラバヤに行くんですよ」 |
きれいなインドネシア語を話す青年。ジャワ語は「聞けばわかるけど、うまく話せない」というようで、ジャワ語で話しかけられてもインドネシア語で返していきます。
運転手「どんな会社を受けるんだい?」 青年 「銀行なんです。初めてのテストなんですよ」 運転手「そうか。君は大学では何を勉強したの?」 青年 「経営とマネジメントです」 運転手「おぉ。じゃ、銀行はピッタリだねぇ」 青年 「うまくいくといいんですが」 |
という、よくありがちな雑談。
きれいなインドネシア語を話す青年の影響か、運転手さんは意識してジャワ語を減らそうとチューニングしていきます。
運転手はその若者に、将来の「起業」を促した
しばらくすると、急に思いついたかのように、運転手が青年に言いました。
運転手「就職も良いけどさ。自分で会社をつくる。独立することは考えないの?」 青年 「まだですねぇ。いつかできたらいいですね・・・」 運転手「あのね。もし君が<できる>人間なのだったら、できれば起業を目指した方がいい」 青年 「そうですか・・・」 運転手「もしできるのであれば、人に使われるのではなく、自分で会社を経営すべきだ。その方がいい暮らしになるさ」 青年 「はい・・・」 運転手「最初の資本金なんて少なくてもいい。少額でも始められるんだ。工夫することだ。大事なのはカネじゃない。関心と情熱の強さなんだ。君は経営とマネジメントを学んだんだろう? 起業した方がいい人生になるはずだよ、きっと」 |
という具合。
「大事なのはカネじゃない。関心と情熱の強さなんだ」
かっこいいなぁ・・・と思って、思わずメモ。
いいか。自分で会社をやる。モノを売るだろう? 値段は自分でつける。売りに行く。売れる。そうしたら利益は君のものだ。いいだろう?
お金をためて、銀行とつきあって、お金を調達して、そうやって売るモノを増やし、工場をつくり、少しずつ大きくしていくんだ。銀行だって、つきあいは増えていく。だんだん大きくなってくんだ。起業家を目指すことを考えたほうが人生はよくなるぞ・・・ |
って。
スラバヤに到着するなり、青年が受験する銀行に到着。
運転手は「がんばれよ!」と。
「はい! ありがとうございます!」と青年。
一緒に乗っていた乗客(おばさま)も、「あんた、がんばりなさいよ!成功を祈ってるわ」と。
可能性しか感じられない、これからのインドネシア!
スラバヤまで100キロの移動。
ほんわかとする、本当に良い時間でした。
話によれば、午前9:30から2時間の試験だそう。
ぜひとも成功してほしいな・・・。
前向きなオーラにみちあふれたインドネシア。経済成長が本格化し、将来への明るい姿が見えてきて、しかも平均年齢20代という若さ。イキイキしたポジティブな雰囲気の背景には、そんなインドネシアの現状も、大きく影響している気がします。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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