『博物館はマーケット』レビュー「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」館長が語る個人経営ミュージアム成功の秘訣!

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今回ご紹介する書籍は、『博物館はマーケット(個人経営ミュージアムの集客と黒字経営のしくみ)』というもの。群馬県北群馬郡吉岡町にある「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」。その館長、横田正弘さんが、設立までの道のりと博物館経営について語ったものです。

「個人で博物館を立ち上げる!」というのは実に珍しいケース。非常に興味深く読むことができました。

立ち上げのきっかけや、きちんと黒字で経営ができている背景には何があるのでしょうか。「博物館の個人経営」に興味がある人は、ぜひチェックしてみて下さい。




「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」の館長が語る博物館経営!!

個人でミュージアムを経営する・・・。そんな夢みたいな話を現実のものにした男性の話が本書の内容です。

しかも単なる趣味ではなくて、それ自体をビジネスとして運営し・・・、さらには、なんと!14年間も連続で黒字運営をなしとげるという快挙。すごいと思いませんか?

「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」を立ち上げた館長、横田正弘さんが著した待望の著書です。

■内容紹介(アマゾン「BOOK」データベースより)

地方温泉街のはずれで、14年間黒字経営を続ける、「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」の「サスティナブル経営」の秘訣とは!?館長・横田正弘が明かす設立までの道のりと経営。ミュージアム設立までの道のりを読みながらお客様がまた行きたくなる施設のつくりかた、経営がわかる。春日出版 (2009年03月発行)

自分のコレクションを公開するために創ったのではなくて、ミュージアムを運営する決意をした上で、収蔵品を集める。つまりこれ、完全にビジネスとしてやっていらっしゃるのです。

私自身、横田さんにお目にかかったことがあって、知人を通じて知り合ったのですが、初めてお見かけした時から、「あっ、この人すごい人だ!」と直感で思いました。

それ以来、私にとって注目すべき人物で、それだけに、本が出ると知った時には、もう待望の著書という感じ。本当に嬉しい一冊です。

本書の構成は、

(1)横田さんの半生
(2)自ら運営する博物館の紹介
(3)体験を通じて編み出された、ミュージアム経営学

という3部からなっています。

横田さんのミュージアム、「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」。ぜひ一人でも多くの方に訪問してほしい場所です。

「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」とは?

「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」があるのは群馬県。高速道路では、関越自動車道の「渋川・伊香保IC」が最寄り。電車の場合、JR上越線渋川駅からタクシーで約16分の場所にあります。

「どんなミュージアムなのか?」は、ぜひ、「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」の公式ホームページをご覧ください。

抜粋すると、こうなります。
 

懐かしいおもちゃやお人形、テディベアをテーマ別に展示。昭和の街並みを再現した駄菓子屋横丁。クラシックカー、往年の名車を展示した自動車博物館。ワインやチョコレート博物館。リス園など充実した人気のテーマパーク。このほど昭和スターロマン館がオープン。

カップル、家族連れからご年配の方まで、大満足いただける大型複合ミュージアムです!!

「経営」の原則が徹底された博物館

実際にミュージアムを見学すると、本当に細かいところまで、絶妙な設計がなされていて、「なるほど!」という部分が盛り沢山。

・組織を運営する。
・ハードを整える。
・お客様の満足を考える。

その他、経営における基本事項が、実によく学べる施設になっているのです。
(経営に関するミュージアムというわけではないのですが)

ミュージアムを見学した上で、本書を読んでみると、「おおっ」と思えるところがたくさんあるはずです。

館長の横田正弘さんが見せる執念とパワー

横田さんは、高卒の起業家。
(ご自身は、「高校には、仕事の傍ら夜間で通学したから中卒だ」と謙遜されますが)

仕事をする、人に仕える、期待に応える、自ら成長する・・・、

そうした点にかけては、すさまじいほどの執念とパワーがあって、それらは本書の随所で、強烈に伝わってきます。自らの経験を通じて学んだことばかりなので、一言ひとことに、強い説得力があるのです。

「売る側の論理でなく、買う側の論理」。
それが商売の基本であると繰り返し書かれています。

「そんなの当たり前だろ!」と言われるような内容なのに、横田さんが書かれると、すごく深いのです。

経営の原則を徹底する!!

ミュージアムだけでなく、飲食とか、小売とか、いろいろな業種の人にとって、非常に参考になるヒントが満載という気がしました。社会人になりたての人たちにも、刺激になるところが多いはずです。

お客様を集め、リピートしてもらう。
そこにかけて、万事の基礎徹底が、これほど強烈に実践できているところ。

これが、おそらく14年の黒字経営という快挙に直結していることが、非常によくわかります。本書を読んで、横田さんのすごさを、改めて思い知らされました。

「ホンモノ」の人間、「プロ」の人間。こういう人は、本当に強いですね・・・。私は本書を読んで、横田さんの魅力が倍増しました。ぜひおすすめの一冊です。ミュージアムにも、ぜひ!

【参考】館長の横田正弘さんを特集したテレビインタビュー映像

群馬テレビ「ニュースeye8」の「リーダーズアイ」で取り上げられた時のYouTube映像があります。

興味のある方は、こちらもぜひチェックしてみて下さい。

■追伸:
ちなみに、ミュージアムの名前に「自動車」とありますが、この横田さん、実は日本有数のクラシックカー保有台数を誇る方です。車好きには、たまらないミュージアムですよ!

なお、車のミュージアムといえば、これが3大博物館でしょうね。しかも全部個人というのが、すごすぎます・・・。起業家の情熱たるや、すさまじき。

■「日本自動車博物館」(富山)
 http://mmj-car.com
■「WAKUI MUSEUM」(埼玉)
 http://www.wakuimuseum.com
■伊香保おもちゃと人形自動車博物館
 http://www.ikaho-omocha.jp

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
横田 正弘

「伊香保おもちゃと人形自動車博物館」館長。有限会社ドーリー代表取締役。職人を経て建設業で独立し、後に起業。年商10億の会社をたたみ博物館設立を決意。1994年に同館をオープン。以後今日まで黒字経営を続ける。群馬経済新聞でコラムの連載も。1953年群馬県高崎市生まれ。
(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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