不況でも勝てる経営|出井伸之、吉野浩行、宗雪雅幸の3社長に学ぶ!

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今回取り上げるのは、「大不況をどう生き延びるか」というテーマで行われたインタビュー集の雑誌記事です。(城山三郎編、文芸春秋、1998年 9月特別号)

【追記】このインタビュー内容は、その後、「勝つ経営」と題して書籍化されています。




不況の中で好業績を出す社長の特徴は?

不況と言われる時代の中にあって、好調な成績を見せる会社の経営者に注目。三社の社長に的を絞り、その成功の秘密に迫っています。インタビュアーは、作家の城山三郎氏。なかなか面白い対談になっています。

ここで取り上げられているのは、ソニー、ホンダ、富士フイルムの三社です。それぞれ、出井伸之氏(ソニー社長)の項は「ルールブレイカーは大歓迎」、吉野浩行氏(ホンダ社長)の項は「大きさより個性だ」、そして宗雪雅幸氏(富士フイルム社長)の項は「子会社への移籍がチャンスでした」という副題が付けられています。

出井伸之氏(ソニー社長)の場合

出井社長の対談では、「社長とは何か」「コミュニケーションの重要性」「過去の成功体験を捨てて、新しい成功体験をつくる必要」などの話が登場します。全体として、大変な学び好きであること。思考スタイルが、非常に戦略的であることを感じました。

この対談を読むと、発言が理路整然としていることに驚きます。面白いのは、子会社へ出向した際にも落ち込まず、積極的に社外での人脈づくりに邁進され、それが今日の礎を形作っていること。

そして社長になる以前から、自分の部署のことよりも会社全体のことを考える癖があり、レポートを書いては上司に進言していたこと。社長よりも事業部長時代の方が仕事が楽しかったと告白されていること、などです。

出井さんについては、こちらもどうぞ。

出井伸之が語る|組織は命令では動かない。本音を引き出すのは不可能
ソニー元CEO、出井伸之さんの講演会に出席することができました。 出井伸之さんと言えば、10年間もの長きに渡って、ソニーの代表をつとめ...

吉野浩行氏(ホンダ社長)の場合

吉野社長の対談では、創業者である本田宗一郎氏に関するエピソードが数多く登場します。ほほえましい話もあって、本田さんへの親しみがわきます。

ホンダのもつ特有の自由闊達なムードへの感謝とともに、自社の将来に向けた戦略構想への強い自信をうかがわせます。

宗雪雅幸氏(富士フイルム社長)の場合

宗雪社長は、コダックとの「日米フイルム戦争」を題材に引きながら、「コミュニケーションの重要性」「勇猛果敢に挑戦すること」「グローバルスタンダードとは何か」といったお話をされています。子会社と親会社との違いを、上下ではなく「機能の違い」と認識され、子会社の経営者時代の自身の陣頭指揮ぶりと戦略発揮の実際を語られます。このときの方が楽しかったと言われているのは、出井社長と共通しています。

ルールブレイカーということ

対談を読み終えて気づいたのは、この三社長とも全て「順風満帆に出世してきたわけではない」という共通点があるということです。副題の通り、三氏とも、ある意味での「ルールブレイカー」であり「個性」の人であること。三氏のうち二氏が子会社への左遷を経験しており、それらを皆「チャンス」と受け止め、楽観的、積極的に行動してきたらしいこと。

在来型の人事法則から見ると、意外性のある社長昇進であったこと。これらは、新しい世代(タイプ)の経営者の登場を意味するだけでなく、「成功する経営者」のタイプが変わったことをも物語るものであると言えそうです。

言い古されたことですが、確実に時代は変わりつつありますね。

☆ インタビューゲスト略歴 ☆ 

[ 出井伸之氏 ]
1937年生まれ。1960年、早稲田大学第一政経学部卒。ソニー入社。現在、同社社長。

[ 吉野浩行氏 ]
1939年生まれ。1963年、東京大学工学部卒。本田技研工業入社。現在、同社社長。

[ 宗雪雅幸氏 ]
1935年生まれ。1959年、京都大学経済学部卒。富士写真フイルム入社。現在、同社社長。 

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