ここ数年で、不動産投資をする人が増えていますが、同時にまた「これから不動産投資を始めてみたい!」という潜在層も増えています。私の周りでも、一棟モノのアパートを所有したり、マンションを購入したりという人が出ています。「少しずつ勉強しているんですよ」なんて人も。
不動産の投資対象には、「一棟モノ」のアパートやマンションもあれば、個別のマンションのような、一部屋単位での「区分所有」もあるわけですが、私は新築の「投資用マンション」特に、新築のワンルームマンションへの投資はオススメしていません。
目次
新築投資用マンションへの不動産投資をおすすめしない理由!
「投資用マンション」を専門につくる業者があり、その多くは「将来の年金のために」とか「気軽に少額で不動産オーナーに!」というアピールをしています。
投資家向けに専門に販売しているので、難しい知識のない人でも簡単に投資ができそうなものですが、なぜ私がオススメしないのか、今回は4つほど理由を説明してみたいと思います。
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(1)その投資用マンション物件の値段、相場相応ですか?
新築の「投資用マンション」って、ホント営業がうまいんですよね。不動産や金融商品に詳しくない人だったら、コロッと言ってしまう気持ちもわかります。実際、私も20年くらい前に、興味本位で資料請求したり、説明会に行ったりしたことがあります。
でもその物件。すごく魅力的に感じるかもしれませんし、デメリットが存在しないような気すらしてくるかもしれないのですが・・・、よくよく考えてみてほしいのです。その物件の値段、相場相応ですか? と。
新築のマンションだから高くて当たり前?
「新築だから高くて当たり前」と思うかもしれません。「これから発生するメリットを考えれば、多少高くてもいいんじゃないの?」とか・・・。そう、そこが問題なのです。大金を投じる不動産投資です。「買うな」と言っているのではありません。「高くてもいいんじゃん?」ではなくて、きちんと冷静に分析しましょう、ということ。
調べようと思えば、その物件が割高かどうかはわかります。周辺物件の値段はどうですか? 類似物件の値段は? 似たような物件で、中古のものはいくらくらいで売りに出ているでしょうか? あるいは、ここ1年間の類似物件の成約実績を調べてみましたか? 築年数3年が経過した類似物件はいくらで成約していますか? 5年ものは? 10年ものは?
営業担当の声を信用する前に、自分で調べよう
「新築なんだから高くて当然」「古いものが安いものは当たり前じゃん」と思うかもしれません。でも、あなたが購入する物件も、数年後にそうした値段にまで下がる可能性が高いということでもあるんです。それも踏まえてきちんと物件の値段を検討しましたか? という話。
業者の人に「高くないですよ」と言われたから信じる・・・ではなく、ちゃんと自分で調べましょうね、ということです。きちんと自分なりに分析をして、それでもOK!!ということであれば、そこで初めて購入の検討をすれば良いでしょう。
現物も見ないで、周辺相場の分析もしないで、業者から言われたことを信じて買っちゃう投資家さん、意外といるような気がするのです。高い買い物なのに・・・。「頭金ゼロでも買えちゃう」という段階で、「高い買い物」であることを忘れてしまうのかもしれません。まさに投資用マンション業者のセールステクニックですね。
(2)業者が語る、数々の「投資メリット」は本当?
「投資用マンション」の業者は、立派なパンフレットも作成して、さまざまな資料を駆使しながらセミナーも開催して。「わー、これで私もマンションオーナーになれるんだ!」って舞い上がるだけのステージが用意されていることは私も感じています。
その新築マンション投資のメリットは本当か?
この物件を買えば、こんなメリットがあるのかー!って、いろいろな説明を受けていると、「買っても損はない」って思っちゃいますよ。私も昔、実際に資料を拝見して、セミナーにも足を運んで、「これは儲かりそうだな・・・」って思いましたから。
でも、業者が語る数々のメリット。そのまま鵜呑みにするのではなくて「それって本当なのかな?」と、いったん疑ってみること。自分の頭で考えること。実際に計算してみること。そういう分析をすることは、とても大事だと思います。
不動産投資が生命保険の代わりになる?
ローンをかかえることで「団体信用生命保険」がついてくるから、購入されたご主人様が、急にお亡くなりになった際は、ローンがチャラになって奥様のものになりますよ・・・って。ほぉ、帳消しになるのか! それはすごい・・・と思うかも。でも・・・、そういうメリットを狙っている人ほど予想外に長生きしちゃったりするものなのですよね。
それでローンを完済した頃には、築年数の観点から物件価格がとんでもなく下落していたり(もともとの購入価格が高すぎて)、とんでもなく下落しているので、その下落損失分を、家賃収入だけではカバーできていなかったり。つまり買わない方がよかったじゃん!なんて展開も。だったら掛け捨ての生命保険に入っていた方がよかったのでは?なんて計算になる可能性も大いにあります。
空室リスクの備え、対策は考えていますか?
「家賃収入が入ってくるから定年後の年金に良いですよ!」って。ほぉ、たしかに。毎月の副収入があれば安心だな・・・と思うかもしれません。でも、所有物件がずーっと入居しているとは限りません。買ったばかりの頃は入居者はつきやすいですよ。だって新築なんですから。
でも築年数が経るにつれて、周辺にはより魅力的な物件も増えてくるでしょうし、経年ゆえに家賃設定をさげないと入居者が集まらないという事態も考えられます。空室期間が発生すれば、家賃収入はゼロ。でも毎月の管理費は出ていきますし、年に一度の固定資産税の負担もあります。その分の赤字発生のリスク、収支シュミレーションに入っていますか?
さらには、もし入居者がチェンジすれば、その際は部屋のクリーニングが必要になったり、時にはリフォーム代が出ていったりもするんです。
(3)意外とあなどれない「マンション物件の管理」の問題
意外と見逃されがちな「穴」だと思うのが、物件の「管理」の問題です。投資用マンションの場合、多くのケースでは、その業者の関連する管理会社が管理を請け負っているもの。「だから管理費が高いよ!」ということが言いたいのではありません。
その不動産物件の管理は、しっかりしているか
築年数が経過していても、古くなっていても、良質に保たれたマンションってありますよね? そのマンションに共通する特徴は何でしょうか? もちろんいろいろな要因があって、理由は1つだけではありません。でも大きな要因となっている1つは「管理がしっかりしている」ということ。
「投資用マンションの場合、管理会社はしっかりしていないよ」と言いたいのではありません。管理がしっかりしている=よく物件が保持されている=つまり、その物件が大事にされているということ。なぜそんなに大事にされているかというと、オーナー自らが住んでいるからです。
自分が所有する物件で、そこに自分や大事な家族が住んでいる。人生がそこにあるわけです。だから大事にしたいし、他の入居者にも、大事に扱って欲しいと思うもの。きれいに維持したいとか、ルールを破る人があれば何とかしたい。そういう、いわば経済合理性を欠くほどのこだわりや、特別な思い入れが発生するんですよね。
投資用マンションの管理状態は?
それに対して「投資用マンション」の場合、所有者がそこに住むことはめったにありません。だって投資用なんですよ。自分が住むために物件を選んでいたら、それがたまたま投資用マンションだった、しかも新築の・・・というケースは、まずまず考えにくいです。
もし投資用マンションの購入を検討されたことがある方ならわかると思いますが、そこに自分が住みたいと思いますか? 家族と一緒に住みたいと思いますか? 息子さんや娘さんをひとり暮らしさせたいと思いますか? っていうことなんです。
オーナーが住んでいないということは、特別な思い入れも起きにくいということ。もちろん投資目的で購入された方々ばかりなので、物件価格を毀損するようなことがあれば立ち上がる人たちです。でも・・・、それ以上の思い入れは起きにくいはず。ましてや購入時に物件を見てもいなくて、営業マン任せで買ってしまったような人であれば、なおさらです。
小規模な投資用マンションは管理費が高くなる傾向も
また「投資用マンション」の場合は、小規模マンションになりがち。小規模ゆえに管理費が高くつく傾向があります。ここは、不動産投資において意外と見逃されがちな点です。
また、空室が続いて赤字状態になれば、管理費や修繕積立金の未収も起きそうですね。自分で住んでいないのだから「多少の期間は目をつぶってくれよ」って思いやすい傾向もあるのかなと。自分で住んでいれば、周りのからの目を気にすることから、未納を続けるにはそれなりの覚悟がないとできないですよね。
(4)不動産業者が銀行融資を斡旋してくれるから安心?
新築の「投資用マンション」の場合、業者が銀行融資の斡旋をしてくれるケースがあります。業者だって、たくさん販売したいですからね。
新築の「投資用マンション」のお客様は、不動産投資の初心者が多いもの。不動産投資の初心者であれば、何から何までわからない・・・というケースがあり、「銀行に融資を申し込む」ということ一つとっても怖くなる人も当然いるわけです。
不動産業者が斡旋する投資用ローンは便利?
1000万円を超える買い物ですし、そもそも1000万円以上もの借金の申請をするということ。一生懸命に書類を用意して、それで申請して断られたら時間ももったいないし・・・。そもそも計算してあることも、よくわからないというケースも充分に考えられます。
そこへきて「銀行融資の斡旋もしますよ」「無理なお手間は取らせません。弊社にお任せ下さい」って言われれば・・・、はい、営業マンゆえの親切な対応ぶりの人です、断ってくるような怖い銀行マンに相談に行くよりも、そういう人にお願いした方が楽ですよね。
この「楽をできる」というところが盲点なのです。「自分で考える」とか「自分で行動してみる」とか、何か新しい分野に進んでいこうとか、新しい経験をして学ぼうとする時に、一番邪魔になるのが「楽をする」ということ。そうですよね?
区分所有ローンがあると、新規ローン審査が不利になる場合も
また、一般論ですが、私が見たり聞いたりしてきた経験上では、新築の「投資用マンション」のローン残高がある人には、次に新たな物件を購入しようとする時に、銀行融資を断られたり難色を示されるケースがあるように感じます。だってそういう物件を買う投資家さんですよ。しかも今後に損失の発生が見込まれる可能性がある物件であるわけです。
私の知る限りでは「おもちの投資用マンションを処分された後であれば、新規の融資を検討できますが・・・」と銀行から言われたというケースがあります。また、業者が斡旋したローンで「投資用マンション」を購入した人は、2軒目以降のチャレンジをする時に、また業者が斡旋したローンでしか借り入れができなくなるというケースもあるようです。つまり、公開市場に出ている一般の不動産物件への投資が難しくなるわけですね。
これは、絶対にそうなるというわけではなくて、そういうケースがあるよ、という話です。不動産投資を本格的にやりたいという人であれば、1軒で終わらせるのではなく、きちんとした「事業」として発展させていく覚悟でやってほしいもの。だから将来の発展性にも目配せしてほしいなと思うのです。
魅力的なはずの投資用マンション、なぜ短期投げ売り物件が?
というわけで、私が新築の「投資用マンション」をオススメしない理由について、4つほどご紹介してきました。
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もちろん、「新築の投資用マンションは絶対に失敗するぞ」とか、「絶対に損をするぞ」とか、「絶対に手を出すな」ということが言いたいのではありません。
投資の原則は、人任せにしないこと
全体的な傾向として、きちんとした分析もせずに、安易に他人任せにした投資は危険ですよ・・・という、「投資」全般に共通する一般常識を、不動産投資という文脈に乗せて語ってみただけに過ぎません。
だから、投資用マンションだって、きちんと考えて分析していけば、勝機を見いだせるようなケースもあるかもしれません。そこまで私は否定するつもりはありません。
「魅力的」と説明されるマンション投資、なぜ投げ売り?
でも、実際に市場で分析していくと、「魅力的なはず」の投資用マンションなのに、なぜか短期で投げ売りされている物件が目立つのです。わずか3年くらいしか経過していないのに、とんでもない安値で販売されていたりして。しかも、販売されているだけでなく、実際に「成約実績」で検索しても、ずいぶん安い値段で売買が成立していたりして。
これ、新築で買った投資家さんからすれば、明らかに大赤字。どんな事情があったのか知りませんが、そういう物件もあるわけで、逆に言えば、そういう築浅の物件を中古で買えば、新築で買うよりも高い利回りで回せるよね・・・まだ新しい状態なのに、という見方も可能ですよね。
営業マンに任せずに、営業マンと議論しよう
最後に書いておきたいこと。それは、前述の通り。ちゃんと自分で考えて、自分で調査して、自分で分析して、自分で足を運んで現場を見て・・・。そういう一連の「あたりまえ」のことをきちんとやってから決断しましょうよ、ということ。
不動産業者はウソをついている?
業者が言う通りのことを信じないこと。いや「業者が嘘をついている」と言うつもりはありません。言っていることが本当なのかどうか、安易に信じるのではなく、自分で確認しましょうよ、ということです。
もっと言えば、営業マンから何でも教わる・・・ということではなくて、自分なりに不動産のこと、投資のこと、そして不動産投資に特有のこと、そういったことをしっかり学んで、経験を重ねて、そうやって「武装」した上で、担当の営業マンと議論してみましょう!ということです。
営業マンを「先生」にしてはいけない
任せきりにして、営業マンを先生にしてしまったら、危険は増えます。なぜなら自分なりの分析を通じた納得が無いからです。そういうところから起きるんですよね。「営業マンは、こう言っていたのに」とか、「業者はこう説明していたのに」とか。
今までのニュースを見てもそう。不動産でトラブルを起こしているケースの多くに共通していませんか? 「入居者を集めてくれると言っていたのに」とか、「家賃は保証してくれると聞いていたのに」とか。
真にお客様思いの営業マンなら、「勉強家」とこそ取引したいはず
「営業マンと議論しよう」と聞くと、「え? それは営業マンに失礼では?」と思いますか? そんなことは無いはずですよ。本当にお客様にメリットをもたらしたいと思っている営業マンであれば。
お客様思いの不動産営業マンの場合
なぜなら、不動産投資で成功する人は、安易に人任せにしたりせず、常に自分で考え、きちんと学び続ける人。議論してくるような真剣な人であれば、本当にお客様思いの営業マンであれば、喜んで対応してくれるはず。だってそうやってこそ成功に近づけるし、そういう人であってこそ、物件を購入しても失敗するケースが低くなるからです。
自分の営業成績ありきの不動産営業マンの場合
でも「とにかく売りつけたい」という営業マンであれば、変に知識がある人だったり、変に議論してくるような人ではなく、できれば信じてくれて、そのまま印鑑を押してくれるようなお客さんの方がありがたいでしょう・・・。
というわけで、新築「投資用マンション」の業者さんから怒られそうなブログになりましたが、皆さん、このブログに書いてあること自体も「盲信」するのではなくて、ちゃんと自分なりに考えて取り入れてくださいね。何らかのヒントがあれば幸いです。
勝てる不動産投資を勉強するためには?
では、不動産投資で勝つにはどうしたらいいか・・・という話になりますが、私はやはり「勉強」することをオススメしています。やはり王道は、きちんと勉強し、きちんと考えること。関連するブログ記事としては、こちら。
また、今回は「投資用マンション」を話題にしましたが、「ワンルームは負債・アパートは資産」と銘打って、無料のセミナーを展開している不動産会社を見つけました。こうした会社のセミナーに足を運んでみるというのも、一つの方法ですね。
【参考】投資用ワンルームマンションについてのブログ記事
投資用ワンルームマンションについて書いたブログ記事をまとめてみました。こちらもどうぞ。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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