今回は、作家・立松和平さんの小説「日光」のご紹介です。
この本は、立松和平さんの小説『二荒(ふたら)』が盗作騒動を受けて絶版になったことから、修正と再構成がなされて、再出版となった作品です。
立松和平の小説『二荒(ふたら)』復刊に!!
私は、小説『二荒(ふたら)』が大好きで、私にとって同書は、「2007年に読んだ小説部門、ナンバーワン」でもありました。このあたりについては、以前、上記のブログに書いた通りです。それだけに絶版の処分になったことはとても残念でした。それが復刊されたと知り、実に楽しみに拝読しました。
『日光』
(立松 和平 著、勉誠出版(2008年12月19日発行) → アマゾンで購入する!
☆ 今回のポイント ☆ <簡単な内容紹介>
■内容紹介(「アマゾン」より) 生きよという声が響いてきた― 日光の山河を舞台に、古代の勝道上人から現代まで、自然とともに生きる人々の姿を鮮やかに描く。 生命と自然への讃歌を高らかに歌い上げる、立松文学の結晶。 |
日光
立松和平 勉誠出版 2008-12-19
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ちなみに今回復刊された書籍、「日光」については、出版社さんから、献本にていただきました。
(が、宣伝で書いているつもりは全くありません)
小説『二荒(ふたら)』は立松和平文学の金字塔!!
私は、今回の再出版を歓迎しています。なぜなら、元々の作品である『二荒(ふたら)』は、私にとって、相当なまでに衝撃を与えてくれた作品だからです。
ところが、この作品、私が見るに、残念ながら、あまり多くの人に読まれていないように感じています。だからこそ、ぜひ推薦したい作品です。
私は『二荒(ふたら)』を2度も読んでしまいました。
そして今回、再出版バージョンである『日光』をあらためて拝読したので、もう、3回も読んでしまったことになります。それでも、大変興味深く、読みきってしまいました。
私は、かつて立松和平さんの作品を読んだことがありません。
それでもあえて「立松文学の金字塔」だと表現したいと思います。
前作である『二荒(ふたら)』との違いは?
主な感想については以前書いた小説『二荒』の書評ブログを見ていただくとして・・・、
今回、構成も大幅に変わり、細かな修正も施されています。
前作を読んだ者としては、やはりそれなりの一長一短も感じます。
この作品は3つの時代を行ったり来たりすることに特徴があったのですが、それが無くなってしまったこと。わかりやすくなった反面で、逆に言えば、3つの短編集のように矮小化されてしまった印象はぬぐえません。
(私の好きな場面がいくつか消えてしまっていたのも残念・・・)
ただ、読みやすさが向上したという点は、より広く読まれてほしいという願いからすれば、良いことなのかもしれません。
□ □ □
一方、今回再読して、改めて感動をもって受け止めたのが、本書がもつ最大の魅力である、自然描写の美しさ、そして、生に対するあたたかな眼差し。
植物にしろ、動物にしろ、「生きる」ということの奇跡が、本当に、あたかも肌感覚に迫るかのごとく伝わってくる点は、本当にお見事だと言わざるを得ません。
読んでいくことを通じて、
・自分自身が生きることの意味
・生きていることの奇跡、
・生きなければいけない使命感、
そうしたことを、いろいろと考えさせられる作品なのだと感じます。
そうした意味でも、ぜひおすすめの一冊です。
□ □ □
ところで、今回の復刊劇ですが、最初、私は「復刊しても厳しいだろうなぁ」と感じていました。
前作の題名が「ニ洗(ふたら)」という味のあるコピーであるのに対し、今回は、あまりにありきたりの、「日光」での勝負。単純すぎて、「どうなのだろうか?」というのが正直な感想でした。
でも、装丁を拝見し、また題名の直球さも逆に手伝って、「本書の再刊を果たす」ということ自体が、本書のテーマでもある、「死と隣り合わせの生にこだわる」に則ったチャレンジなのだろうなと感じました。
本書の背景をふまえ、そうしたところまで読み解くと、実に深い味わいのある作品です。
□ □ □
私のとっては、盗作があってもなくても、この作品自体、「2007年に読んだ小説ナンバーワン」。
ビジネス書ばかり読んでいると、こうした本、なかなか読み進むのに難儀するのですが、ぜひ幅広く読んでいただきたい作品です。
後述しますが、日光に慣れ親しんでおいたり、山歩きを体験しておくと、本当によく読めます。
そして深いです。
再刊されて良かった! 私はそう思っています。
じわじわと時間をかけて売れてほしい、そんな作品です。
□ □ □
■本書を楽しむための、主なおすすめ施設、ウェブ、書籍
・日光東照宮
・日光金谷ホテル
・ホテル湖上苑
・イタリア大使別荘記念公園
・西六番別荘公園
・ボートハウス記念公園
・堯心亭
・低公害バス運行(赤沼車庫?小田代原?千手ヶ浜)コースのウォーキング
・乙次郎橋と元クラブハウス
・ウェブ「在りし日の範多農園を訪ねて」連載記事
2009年1月18日 渡邉 裕晃
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