『キズナのマーケティング』レビュー|ソーシャル時代のメディア運用術

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キズナのマーケティング(ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代)
 池田 紀行 著、アスキー・メディアワークス (2010/4/9)
☆ 今回のポイント ☆ <簡単な内容紹介>

■内容紹介(アマゾンより)
ソーシャルメディアマーケティングは、目的ではなく、手段である。
ソーシャルメディアマーケティングは「キズナ」づくり。
つまり、「現実社会での人間関係づくり」と同じです。
ソーシャルメディアマーケティングは、魔法の杖ではありません。
本書は、ソーシャルメディアマーケティングを煽るのではなく、その実態を理解した上での取り組み、つまり消費者との中長期的な「キズナ」をつくり、「明日の売上」につなげる施策を解説します。巻末には、いち早くソーシャルメディアマーケティングに取り組んだ企業6社のキーパーソンと著者とのインタビューを掲載。考え方や注意点、喜びや苦労など、担当者の生の声が伝わってきます。
ソーシャルメディアは「流行」ではありません。
いまこそその本質を理解し、御社のマーケティング施策に取り入れてください。
 
 
■内容(アマゾン「BOOK」データベースより)
ソーシャルメディアマーケティングは、魔法の杖ではない!本書は、ソーシャルメディアマーケティングを煽るのではなく、その実態を理解した上での取り組み、つまり消費者との中長期的な「キズナ」をつくり、「明日の売上」につなげる施策を解説する。そろそろ、ソーシャルメディアマーケティングの本質を語ろう。

 


 
 
     □     □     □
 
 
アスキー新書のソーシャルマーケティング本の一つ。4月9日に出たものです。大変遅くなりましたが、「献本」としていただいて、ようやく読了したところです。

同社からは、ここ数年、ウェブマーケティングに関する本が、立て続けに出版されていますが、今回の『キズナのマーケティング』、一言で言うと、「ソーシャルメディアマーケティングを押さえるための教科書」として、位置付けることができると思いました。

何か新しい可能性を示したり、応用技を説くものと言うよりは、あくまでも教科書として、あるいはマニュアルとして、もっと言えば「入門の事典」という感じです。
 
 
     □     □     □
 
 
この本の書評としては、
Z会の寺西隆行さんのブログが秀逸です。

■『キズナのマーケティング』(池田紀行/アスキー新書)書評
 (前)http://www.zkaiblog.com/histaff/archive/1247
 (中)http://www.zkaiblog.com/histaff/archive/1248
 (後)http://www.zkaiblog.com/histaff/archive/1249

3回に渡るほど内容が豊富で、
本質を突いていらっしゃる点が多く、示唆に富んでいます。
ただ、業界の前線にいらっしゃる方に向けて書かれている書評なので、
私はもうちょっと視線を落として、
初心者の方向けに、紹介と感想を書いてみたいと思います。
 
 
     □     □     □
 
 
私が本書をオススメしたいのは、「ソーシャルメディアを使ったプロモーションをこれから考えていこうとする方々」。

潤沢な広告予算をもつ大企業の担当者だけでなく、小さな予算で戦わなくてはいけない中小企業の担当者(経営者)、さらには、予算ゼロでなんとかしないといけない零細ベンチャーの方。

また、これからこの業界に行こうとする学生さんであれば、就職活動の前に、この程度の範囲はおさえておいた方が良いと思います。
(最終章の「社内調整」の部分はイメージしづらいかもしれませんが)
 
 
     □     □     □
 
 
その理由は2つあります。

第一に、
ソーシャルメディアまわりのことについて、
おさえておくべき基礎知識が、
きちんと分類して説明してあるからです。

基礎をおさえる教科書として最適。
丁寧すぎるくらいに丁寧で、
同じことが何度も繰り返し出てくるので、
読み進めながら、自然と復習までできてしまうのです。

したがって、
読者は本書を読んでいくことによって、
ソーシャルメディア関連について、
自分がどこまで基礎を理解できているかを確認することができます。

(ただし、実際に自分自身でソーシャルメディアを使ってからの方が、
 「あぁ、そうそう!」「わかる!わかる!」と、整理・理解がしやすくなるはず。
 受信するだけでなく、たくさん発信して、ユーザーとのコミュニケーションを体感しながら)
 
 
     □     □     □
 
 
第二には、
ソーシャルメディア以外のプロモーション手法にも共通して言える、
大事なルールが学習できるということ。

「キズナのマーケティング」という題名からもわかるように、
プロモーション活動を進める際の基本的なスタンス、
ユーザーとのコミュニケーション活動における理想的な立ち位置、
そうしたことを丁寧に守る著者のスタンスゆえに、自然と学べてしまうこと。
だからこそ、初心者の方にはオススメしたい本です。

例えば
「ソーシャルメディアを使うと何でもできる!」
「低コストで簡単にすごい効果が出せる!」
ということが、間違いであることが自然とわかるはずです。
 
 
     □     □     □
 
 
私は、1999年に創業して以来、
ネットのプロモーションを展開する上で大事なことは「縁」だと
考えてきました。
「ネット広告は安い!」という言葉が独り歩きした結果、
「ユーザー獲得」「ユーザー刈り取り」という即効性偏重がありますが、
(=「今日のクリック」を追求するスタンス)
私は創業時から、そうした行き過ぎた姿勢には「?」と思っていました。
(もちろん、予算などの諸事情により、
 そういうスタンスを取るべきステージもあるとは思います)
企業とユーザーとの間の「縁」を創り、
それを大きくしていくマーケティング活動こそが、
プロモーションの本質だと考えてきたからです。
(=「明日のクリック」を追求するスタンス)
企業理念を「成長縁(R)」とし、それで商標登録まで行ったのは、
これこそが本質だと思っているからです。
したがって、著者が「キズナのマーケティング」
(本書でいえば、「アドボカシー型のマーケティング」)を大事に!
と指摘しているところは、私も賛成です。
 
 
     □     □     □
 
 
ただ、それには長い時間がかかります。
真摯な努力が不可欠です。
ユーザーとのコミュニケーションの蓄積によるものだからです。

それはある意味で、誰にでもできるようなことだったりします。
ユーザーに正しい情報を届ける、とか、
質問が来たら丁寧に対応する・・・とか。

「当たり前じゃん」
「誰にでもできることでしょ」

と思うかもしれません。
 
 
     □     □     □
 
 
でも私は思うのです。

今までに、いろいろな企業の方とお付き合いし、
様々なネットプロモーションに携わってきたゆえの私の感想。

それは、
「誰でもできそうなことを、誰にもできないくらい本気でやること」
これこそが、ネットを活かしたプロモーション展開における、
成功法則の一つなのだということ。(担当者レベルでも)

これについては、以前、月刊「経営者会報」という雑誌に
「本気で取り組むネットビジネス」という記事を書いたことがあります。
PDFで全文を公開しておりますので、
もしお時間があれば、ご笑覧いただければ幸いです。
 

(参考:過去ブログ記事)
■2009年5月 1日
【本日発売:経営者会報5月号】「本気で取り組むネットビジネス」全文公開
「本気で取り組むネットビジネス」全文公開(月刊「経営者会報」2009年5月号)
「本気で取り組むネットビジネス」という記事を執筆しました。月刊誌「経営者会報」(日本実業出版社)の5月号です。いよいよ本日発売になります。 ...

 
雑誌「経営者会報」5月号の表紙
【画像:雑誌「経営者会報」5月号の表紙】
 
 
     □     □     □
 
 
というわけで、長くなりましたが・・・、

・これからソーシャルメディアを理解したい方
・ソーシャルメディアの基礎をおさえたい方
には、オススメの一冊です。

マニュアルというか、事典のような内容なので、
途中で読み進めるのが大変に思うこともあるかもしれませんが、
基礎を押さえるための体力作りと思えば大丈夫です(きっと)。

読み進める度に、よくここまできちんと丁寧に
まとめていらっしゃるなと感心したくらいです。

これだけの丁寧さをもって体系的に整理されたものは、この分野では珍しいのではないでしょうか?
(ベタ褒めだと言われるかもしれませんが・・・)

ただし、「事典」として、何かあった場合にいつでも参照できるよう、目次やインデックスを強化してあると、もっと良い本になったはずです。「こういう時は、ここを読めばOK!」というように。
 
 
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総じてまとめると・・・、

「twitterでなんでもできる!」
「ソーシャルメディアで何でもできる!」
という安易な理解を推し進める本ではなくて、

ソーシャルメディアを活かしたマーケティングは、
リアルの対人関係と同じことであり・・・、
日々の努力の継続と蓄積、
言わば「生身のホンモノさ」がキーワードで・・・、
誰にでもできる当たり前のことを
誰にでもできないくらいにやることが成功ポイントだな!
ということが改めて伝わってくる本だと、私は思います。

安易に結果をコントロールしようとするのではなく、
プロセスを丁寧にマネジメントする営為こそが大事、ということですね。
それは、私に言わせれば「成長縁の創出と極大化のマネジメント」なのです。
 
 
■追伸:
なお、最後に収められている付録、
「特別インタビュー:6社のキーパーソンから学ぶ」の部分は、
ソーシャルメディアマーケティングの、
まさに最前線で活躍する担当責任者の生の声として、
非常に読み応えがあります。
本当は、ここの部分を拡張して本にすれば、
とっても面白い本になるはずなのですが・・・。
 
 
 
 2010年5月11日             渡邉 裕晃
 
 
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