先日の選挙は、自民党の歴史的大敗という結果を招きました。
選挙期間中に指摘されたことの一つに、安倍首相の演説下手という点がありました。
皆さんは、どうお感じになりましたか?
総裁選、安倍、谷垣、麻生の三氏の街頭演説を比較してみる
前回の総裁選の演説会では、安倍、谷垣、麻生の三氏がそれぞれ演説を行いました。
上記の映像は街頭演説です。
ここでも特徴の一端として、心をつかめているか否かという点に注目すると、いろいろなものが垣間見えると思います。
総裁選の公式演説会での話し振りを見た限りでは、 自らの感情を込めて、
自分の言葉として正々堂々と語ったのが麻生さん。
だからこそ問題発言が出やすくなるわけですが(笑)、本音が出ていることがきちんと伝わるがゆえに、人心をつかむことができているのだと感じました。
一方、谷垣さんは、優等生が演説テクニックを学んだ上で、自分の言葉もまじえてこなすという秀才タイプ。
きちんと、内容ある持論を織り込んで進めていきます。
そして安倍さんは、優等生が、演説テクニックを学んだ上で、ぎこちないけど一生懸命に取り組んだというタイプ。
内容よりもテクニック。そんなふうに映りました。田中角栄さんのような、天賦の才に基づく演説の天才とは異なり、安倍首相は、どちらかといえば、習熟を重ねて上達していくタイプの演説をされた方だと思います。
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そもそも演説というのは、人の心に訴えて、感情的にも共感をしてもらうということが目的のはずです。
人の心をつかむには、本音で語っている必死さが伝わる必要があります。
そういう意味で考えるなら、田中角栄さんは、本当にすごい演説をする方だったのだとつくづく感じます。たとえばこれを見ると、田中角栄さんの演説に見られる人心掌握能力には、びっくりさせられます。(1分半ほど見ると登場します)
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今回の選挙は民主党の大勝に終わりましたが、かといって、小沢さんの演説がすごかったと言うつもりはありません。
小沢さんも、演説は苦手だと言われます。
小沢さんはご本人の演説下手を承知の上で、選挙演説の回数を、安倍首相の四分の一以下におさられました。そして、ご本人の得意領域に力を入れることによって、勝負をされたのだと思います。
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演説にしろ、スピーチにしろ、人の心をつかむということが本当に大事で、心をつかむには、話し手自身が、心エネルギーを全開にして伝達しなければいけないということなのでしょう。
安倍さんの演説は、いわば演説マニュアル教科書に則った点で優秀であっただけに、本音や心が伝わらなかったのではないでしょうか。
難しいことですが、でも、政治家であれ、経営者であれ、そして、一般企業の上司であれ、想いを伝えるということは、ますます大事になってきているように思うのです。
(メールとか電話とか、機械を介する伝達手段が多様化したからこそ、かえって、声で伝えるということが、より重要になるのですね)
松村邦洋さんのモノマネ、小泉純一郎、麻生太郎、安倍晋三の比較
これを見てください。タレントの松村邦洋さんの物真似映像です。
小泉純一郎さん、麻生太郎さん、安倍晋三さんの3人。
物真似は、本人の特徴を誇張することに力点がおかれます。
安倍さんの物真似で誇張されている点は、「感情がこもっていない」というところかと思います。つくられている主張なのですね。そうでないとしても、そう感じさせてしまうしゃべりをすれば、受け取り手は、そう感じてしまうものです。
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今回の大敗で、「安倍さんは首相になるのが早過ぎたんだよ」という声があります。
こうしてみると、ひょっとしたら、そうなのかもしれません。
人に伝える。
人を説得する。
話すことで相手にパワーを与える。
とっても、とっても難しいことです。
でも、時間をかけてでも、チャレンジする価値のある領域なのではないかなと思います。
心を伝えなければいけない。
だからこそ、小手先のテクニックだけでなく、全人格が問われてくるようにも思います。
想いを伝える・・・。
難しいけど大事な行為ですよね。
2007年7月31日 渡邉 裕晃
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