インドネシアの代表的メディア「コンパス(Kompas)で、インドネシアにおける若者の住宅事情の雰囲気が伝わってくる記事がありました。都市部の若者の不動産購入事情です。
先日の記事(インドネシア住宅事情|現地の若者は「家の購入」をどう考えているか?)に引き続いての関連記事ですが、インドネシアの不動産事情や住宅事情について、大まかな傾向をつかむのにわかりやすい表現があると感じました。そこで、私なりの見解も含めてご紹介します。
目次
「ジャカルタの郊外に家を求める傾向に」あるとの指摘
今回の記事は以下の内容です。
Generasi Milenial Cenderung Ingin Membeli Rumah di Pinggiran Jakarta(Kompas.com – 10/04/2018, DANI PRABOWO)
前回のブログで紹介した調査に基づいた記事になっています。
昨年の4月7日から4月11日にかけて実施された「不動産購入に関するアンケート」で、対象は、「インドネシアの7大都市に住むミレニアル世代(一般的には1980年代から2000年代に生まれた人々)300人」です。
それによれば、73パーセントの人たちは、将来自分の家を買える可能性について楽観的な態度を示していると。しかしながら、インドネシア現地の不動産市況をみれば価格の上昇が大きいというのが実態。
そこで「みんな本当に買えるの? 買えるとしたら、どの辺のエリアになるの?」というのが今回の記事の大枠になります。
(アンケートの詳細がわからないので、数字関係の細かいところが微妙なのですが・・・。例えば同社の別記事では「25歳から35歳の人たちのうち、住宅を所有しているのは39%しかいなかった」と指摘)
現在のインドネシアの若者の所得からして、どのエリアなら買えるのか?
同記事によれば、今回の調査対象者はインドネシアの「7大都市」に住む若者、つまり「アーバン・ミレニアル」としての偏りがあるということを前提とした上で、購入可能な不動産物件の価格帯は、1億ルピアから3億ルピア(最近のレートで換算すると、80万円から240万円くらい)であるとしています。
(記事では、これが58パーセントと記載していますが、何が58パーセントなのかは不明)
17〜37歳の層は人口の35%近くにもなり、購入熱の高さは、彼らの所得に合わせた住宅市場ののポテンシャルの高さを示してはいる、と。でも、それはあくまでも「所得に合わせた住宅市場」であって、1億ルピアから3億ルピアとなると、どの程度だろうかと問題提起。
そもそも給与の上昇率が5パーセントから7パーセントに対し、住宅は20パーセントから30パーセントの上昇をしていることから、すでにインドネシアの都心部では購入できない時代になっており、都心から離れたところで探さないといけない。ということで、ジャカルタであれば・・・、ブカシ、カラワン、デポック、タンゲラン、ボゴールのエリアになると。
1億5000万ルピア台(約120万円台)のジャカルタ新築物件、2つの事例
具体的な事例としては、1億5000万ルピア台(約120万円台)の新築物件として、次の2つのエリアが紹介されていました。ボゴールとタンゲランです。イメージがつかみやすいと思うので、地図と「画像検索」のリンク先もあわせてご紹介します。
アンバール・テラガ住宅地3(ボゴール)
perumahan Ambar Telaga 3
Desa Bungur, Kabupaten Bogor
・土地面積:60平方メートル
・建物面積:29平方メートル
・価格:1億4100万ルピア台
・アンバール・テラガ住宅地3(ボゴール)の画像検索の結果
アルゴ・スブル公園エリア(タンゲラン)
Taman Argo Subur
・土地面積:60平方メートル
・建物面積:30平方メートル
・価格:1億4100万ルピア台
・アルゴ・スブル公園エリア(タンゲラン)の画像検索の結果
ジャカルタの中心地からすると、だいぶ遠い場所。しかも画像検索で見ていただくとわかるとおり、だいぶ狭い家です。でも、この価格帯でジャカルタで家を探すと、こうなってしまうんですよね。通勤の厳しさもうかがえます。
「そこまでしてほしいのか」という側面もあるでしょうが「そこまでして買っておきたい」という人がそれだけいるということでもあるんですよね。
これが不動産購入の全体的な傾向というわけではないはず
ただ前回ブログでも指摘したのですが、2億6000万の人口をかかえるインドネシア。その傾向を理解するのに、わずか300人のアンケートで何がわかるのか・・・という問題も。
また、インドネシアは日本以上に格差が激しく、所得による違いもあれば、エリアによる違いもあって。一概に全体傾向として、こうだと言い切れないところが多いのがインドネシアの特徴です。
例えば私の住むマラン(Malang)は東ジャワにある地方都市ですが、最近開発されている住宅地の新築建売は、「6億ルピアから買えますよ!」という打ち出し。今回紹介した「1億5000万ルピア」の物件からすれば、4倍もするわけですが、それでも売れるわけです。
ただ、ジャカルタで1億から3億ルピア台の新築物件を探すとなると本当に大変だ、ということは事実ですね。これについては、以前にもブログで紹介をしたことがありますので、ご関心のある方は、こちらもチェックしてみてください。3億ルピア前後の住宅地やマンション物件を取り上げたものです。
(そもそも1億ルピア台の家を探すということ事態が厳しいんです)
というわけで、今回はインドネシアでの住宅事情、不動産購入事情の一側面について、ご紹介してみました。
なお余談ながら・・・、今回は割愛しますが、それぞれの土地ごとの不動産事情を見ていくと、そのエリアの意外な断面が見えてきたりするのが、不動産を見ることの面白さの一つだったりします。もし海外に長期で行く機会があれば、その地域の不動産市場を見てみると、意外な発見があるはずですよ。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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