今回ご紹介するのはインドネシアの鉄道事情。新しく始まったサービスが、国内のソーシャルメディアで賛否両論を招いているようです。
いったいどんな新サービスが?と思って調べたところ、これまた、なかなか素晴らしいサービスなのです。今回はインドネシアの鉄道会社が採用した、ある新サービスについてご紹介します。
目次
インドネシアの鉄道会社、新サービスの内容をyoutubeで見てみると
新たなサービスの内容を報じているのは現地の代表的メディア「コンパス」(Kompas)です。10月22日付けのニュースとして、「出発前の鉄道に敬意を表するジェスチャーが招いた賛否両論、鉄道会社の反応は?」と題した記事を出しています。
この「出発前の鉄道に敬意を表するジェスチャー」がどういうものか、気になりますよね?
記事によれば、出発前に鉄道職員が並んで整列。鉄道が動き始めると、胸に手を当てておじぎをするというもの。このおじきが電車が去るまで続きます。鉄道職員だけでなく、ポーターや警備員も含めて。
冒頭の写真は、6月11日付で紹介されているもの。現地メディア「Metronews」による映像はこちら(2分55秒)。これを見て、皆さんはどうお感じになりますか?
■出発時に見せる鉄道職員の敬礼ポーズ、人々の反応は?
Reaksi Warga Melihat Gestur Hormat Petugas KAI Saat Kereta Berangkat
インドネシアで賛否両論の反応、そして鉄道会社の反応は?
インドネシア国内、とくにソーシャルメディアの中では、これに対して賛否両論が起きているそうです。
賛成意見としては、とてもいい!と。いろいろな意見が出ているようですが、同記事によれば「乗客に対する謙遜の印象を与える」との意見が紹介されています。
1976年から毎年インドネシアを訪れている私としては、インドネシアでこれほどまでのサービスが提供されるだなんて、夢みたいです・・・。
となると、反対意見の存在が気になるところ。同記事によれば、こんな反応が寄せられているそう。いわく、「やりすぎだ」「インドネシアの文化に合わないのでは」と。
記事によれば、一見すると、日本のおじぎを思い起こさせるとして、次の映像を紹介していました。たしかに「日本を真似た」と言われても仕方がないところはありますよね。悪い意味ではなくて、良い意味で。
こうした様々な反響に対し、インドネシアの鉄道会社は、こう反応しています。
「賛否両論が起きるのは当たり前ですよね。どうぞ、引き続きご意見をいただければという思いです。特定の国の文化を真似したわけではありません。明白なのは、私たちは1つのサービスとしてこれを提供しているというだけです。ご意見をいただけることはありがたく、すべてのアドバイスを受け入れます。賛同してくれている証拠だと思い感謝しています。今後も引き続き続けるつもりでおり、変更の予定はまだありません。引き続きモニタリングと検証を続ける予定です」とのこと。
新サービスの目的、実施されている場所は?
この映像は、ジャカルタの中心部、Senen駅で6/11に撮影されたものだそう。場所はこちらです。
鉄道会社の広報担当、アグス・コマルディンさん(Agus Komaruddin)によれば、「2018年8月14日付で発令された指示で開始しました。まずはジャカルタ第一区間でスタート。お客様に対する敬意や感謝を伝えるのが目的です。サービス向上のための一環ですね」と。
また「すべての駅でやっているわけではありません。長距離列車の駅のみで行っています」とのこと。
インドネシアの鉄道の旅の魅力とは?
この記事を見て、私は「ぜひこの光景を見てみたい!」と思いました。私自身、インドネシアの長距離移動で鉄道を利用したことは何度もありますが、こうした「おじぎのサービス」を見たことはありません。
「インドネシアの鉄道って、どうなの?」と思われるでしょうが、一定期間の滞在が可能であれば、私はインドネシアの鉄道を体験することをオススメしています。
インドネシアに駐在している日本人ビジネスマンに聞くと、「会社の指示で、乗ってはいけないと言われているんです」なんて声もあり、「なんて、もったいない!」と私は思います。
本当に魅力的なんですよ、インドネシアの鉄道の旅! 私は鉄道マニアではありません。それでも推奨するのはなぜか? というところまで推し量っていただければと・・・。
インドネシアの鉄道会社、どんどん進歩している!
インドネシアの鉄道をめぐる日本の報道を見ていて残念なのは、遅れている・・・という見下した姿勢です。いわく、中国に騙されているとか、時間を守れないとか、きたないとか、その他もろもろ。
たしかに仕方のない側面はあります。だって実際のところ、日本の鉄道技術よりも遅れているのですから。ハード面での整備もそう。ソフト面での運用もそう。日本に比べたら大幅に遅れています。「インドネシアの鉄道には乗るな」と駐在員に指示を出す。そんな「事なかれ主義」の日本の大企業のスタンスも、わからないではありません。
でも私自身、この5年間に渡ってインドネシアに住んでいて驚嘆するのは、インドネシアの鉄道をめぐる環境が、もうおそろしいくらいに急激に進歩していること。日本の高度経済成長というのは、こういう環境だったんだろうな・・・と思うくらいに激変しています。値段も時間も環境も。オンラインでチケットを予約するにも数年前なら「2日前までに予約を」となっていたのが、今や「3時間前までに予約を」ですよ。
まだまだ足りていないでしょう。でも逆に言えば、どんどん取り入れるし、どんどん朝令暮改ということなんです。だから今回の新サービスが、たとえば日本をまねたと言われようと、いいじゃないですか。顧客満足度の向上につながるのであれば。
というわけで、今回は近年のインドネシアの鉄道事情の一側面をご紹介しました。インドネシアに来る機会があれば、ぜひ鉄道の旅にチャレンジしていただきたいなと思います!
なおインドネシアの鉄道に関心のある方は、こちらの本をどうぞ!
また最近では「無人運転車両」の運行もスタートしています。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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