「生活レベルが上がると肥満が増える」というのはよく言われることです。経済成長のスピード著しいインドネシアにおいても、それは例外ではないようです。
共同通信の配信記事で、面白いニュースがありましたので、ご紹介します。ジャカルタのタンゲラン市警本部が、肥満警察官を対象に、減量プログラムを実施することになったというのです。
太り過ぎの肥満警察官に減量プログラムを課すという、ある意味で「びっくり」な施策ですが、このインドネシア警察の試み、どうなるのでしょうか?
目次
警官の肥満を撲滅させるための減量プログラムとは
ジャカルタのタンゲラン市(Tangerang)は、こちらです。
いくつかのメディアで記事が紹介されていますが、日経では、このように書かれています。
■肥満警官に減量計画 インドネシア :日本経済新聞
インドネシアの首都ジャカルタ近郊のタンゲラン市警本部がこのほど、肥満の警官を対象にした減量プログラムを導入した。経済成長で生活レベルが向上する同国では肥満の割合が急増、首都の警察の一部でも同様のプログラムが始まり、導入の動きが広がりつつある。 |
インドネシアの警察機構については、実は、日本政府が、2001年より、その改革に向けた支援を続けています。今回の取り組みが日本の助言によるものかどうかはわかりませんが、「運動を通じて己を律する」というのは、よいことですね。
エクササイズで体を律する肥満撲滅は、不正の撲滅にも
肥満の警官を対象にした減量プログラムを導入したとの今回のニュース。経済成長で肥満が急増したことが背景のようですが、「減量」に限らず、「生活習慣を律する」ということは、とても大事なことだと思います。
仕事においても遊びにおいても、人生のあらゆる面で、きっとプラスが生まれるはずなのです。私自身、日々のジョギングを続けていて、その効果をつくづく実感させられます。
激増するインドネシアのファーストフード店
この数年で、インドネシアではファーストフード店やコンビニが急増。ファーストフード店は、現地の物価からすれば、そう安いお店ではありません。それでも、昼には行列をつくる店があり・・・、
私自身、昨年11月にジャカルタを訪問した際にも、牛丼チェーン店や、ハンバーガーチェーン店のランチ行列を何度か目撃しています。
【写真:ジャカルタのショッピングモール、「ペッパーランチ」の昼の行列風景(2012年11月)】
インドネシアの経済成長と「太り過ぎ」問題
こうした傾向は、やはり、健康に影響しますよね。今回の日経記事でも、以下のようなデータが紹介されています。
保健省によると1997年の調査で、同省の基準で太りすぎと判定された成人は全体の4.7%だったが、2010年には21.7%と4倍超に急増。経済成長による購買力向上や、ファストフードの普及などによる食生活の変化が背景にある。 |
警察官は、一般人以上の正義感が求められるはず。「自己を律する」ことが、必要以上に要求されてきます。特にインドネシアは、まだまだ構造的な汚職が広く残っており、「律する」ことの必要性は非常に大きいと私は考えています。
単なる減量とは言え、継続的に取り組むことで、おそらく大きな成果につながっていくはず。単なる三日坊主の減量作戦に終わらせず、生活習慣を律するための一手段となることを期待したいものです。
【追記】東ジャワ警察によるダイエットの取り組み(映像あり)
追記ですが、2019年になっても「インドネシア警官のダイエット問題」は解決できていないようです。相変わらず肥満の警察官が多く、その後も現地メディア等で何度か取り上げられています。
エクササイズの様子を取り上げる映像があったのでご紹介します。今回のプログラムは東ジャワにある国立モジョケルト警察学校(Sekolah Polisi Negara Mojokerto)が主催したものです。
開催期間は7月15日から7月26日まで行われたもので、参加したのは、肥満の警察官で約50人。エアロビクス、水泳、ジョギングを組み合わせたプログラムのようです。また実践だけでなく、栄養士による食事療法も含まれるとのこと。
7月22日現在の途中結果としては、太り過ぎの状態の警察官は、残すところあと3名のようです。わずか10日間という短期間にも関わらず、その途中段階において既に47人もの警官の体重が改善されたとはすごいことです。警官によるものの、0.5kgから5.5kgの体重減が達成できたようです。
警察官の職務遂行にあたっても、肥満は邪魔になるものです。これらのプログラムはまだ試験段階にあるようですが、肥満が急増するインドネシアにあって、ぜひ今度も改善しながら継続が望まれるプログラムと言えそうです。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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