スラバヤ連続爆破テロ|キリスト教系の学校が作成した「親御さん向けの手紙」が実に印象的!

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5月13日と14日に発生したスラバヤの連続爆破テロ。子連れの1家族が3ヶ所の教会で自爆するというショッキングさ。

それに加えて、警戒中だった翌日朝にも、よりによって警察署の入口で自爆が起きる・・・ということもあり、インドネシア中を震撼とさせた出来事です。

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【画像:事件を伝えるインドネシア主要メデイアKompasより】




テロ事件で心配される、子どもたちへの心理的な影響

「子どもたちに与える影響」も心配されるところですが、インドネシア教育文化省は「学校の教師向け」「親御さん向け」それぞれに向けて「指針」を発表。

なかなかよくまとまった内容だったので、先日ブログで紹介したところ、意外なほどの大きな反響があり驚きました。

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そんな中、スラバヤにあるキリスト教系列の学校(幼稚園から中学校まであり)が、早くもテロ2日目の時点で作成したという「親御さん向けの手紙」があり、話題になっています。

大きな事件にたじろぐことなく、大急ぎで先生方がまとめた手紙。このスピード感はすごいなと思うとともに、内容的にも印象的だったのでご紹介したいと思います。

テロ事件をきっかけとする「親御さん向けの手紙」、その内容は?

手紙の内容は次の通りです。

保護者の皆様へ

先日と今日の出来事は、スラバヤの市民を緊迫させました。

私たちは、爆弾とテロリストのことについて、子どもたちに簡単な説明を伝えました。子どもたちがトラウマや恐怖に陥らないよう、記事や写真の取り扱いには気をつけましょう。

私たちみんなで、率先して子供たちに説明をするようにしましょう。また、子どもたちがこの状況を的確に理解して、祈りとともに一つにまとまるように誘いましょう。

Q:テロリストって、どんな人?
A:テロリストは、恐怖心を引き起こすために暴力を行使する人たちのことです。

Q:なぜテロリストは爆弾を使うのですか?
A:爆弾は、大きな破壊を引き起こすために、爆発物が詰め込まれた弾丸のようなかたちをした武器です。先日、テロリスト一家はほぼ同時に3つの教会を破壊するために爆弾を使いました。

Q:皆さん、教会を破壊しても良いと思いますか?
A:もちろんダメですよね。私たちは、誰か別の人が所有している場所は尊重しなければいけませんし、ましてや、お祈りをし、また神様の家でもある教会ならなおさらです。

Q:なぜ彼らはテロリストになったのでしょうか?
A:人間が引き起こすことはなんでも、2つのことが影響しています。
(1)学んだ知識
(2)それらの知識を学んだ後に起きた思考や感情
テロリストたちが、自爆テロを引き起こすだけの勇気をいだいてしまったのは、彼らにとってそれが正しいことだと信じてしまったからです。

Q:どうして正しいと信じたのでしょう?自分自身や他人を不幸に陥れる行動は、間違った行動ではありませんか?
A:きちんと物事が認識できる人、そして、宗教の教えを正しく理解できている人は、正しいことと誤ったことをいつでも明白に区別することができます。

私たちが、朝と夜を区別することができるように。朝はいつでも太陽が輝いています。夜は星の輝きとともに、また時には月が照らす中で、暗い空になります。

だから、私たちは熱心にお祈りをしなければいけません。私たちの感情や思考が、常に透き通っていて神聖であるように。邪悪な出来事によって簡単に汚されることのないよう、また、常に神のご加護があり、心清らかな人間であり続けることができるように。

知識は、思考をつくります。
思考は、行動を決定づけます。
行動(言動と行動)は、実績を生み出します。
実績や結果が、良いものになるか、悪いものになるか。皆さんが試験を受ける時のように、いい成績が取りたいですか?悪い成績が取りたいですか?
良い成績ですよね?
みんな、良い実績や良い点数を取りたいはずです。だから、毎日の生活の中で、私たちは常に良い(心清らかな)状態でなくてはいけないのです。

良い(心清らかな)子供になること
良い(心清らかな)兄弟になること
良い(心清らかな)友人になること
良い(心清らかな)生徒になること
それは、みんなから親切・好意・善を得ることにつながります。

皆さん、先日の出来事が怖いですか?
はい、そうですよね。
私たちみんなが恐怖を感じています。その出来事が私たちに降りかかるならば。
私たちは怒っています。そんなことを平気で実行したテロリスト家族たちに。
これこそが、本来あるべき人間の基本的な感情なのです。
私たちは恐怖から逃れ、勇気をもつべきです。自分自身の中でも、また周りの人たちに対しても、常に善意を高めづつけるのです。

肌の色や宗教の違いに関係なく、常に全ての人を尊重しましょう。
全ての人は兄弟なのです。

全ての人は、神様の創造物です。

どうか神様がいつも私たちのことをお守りくださって、インドネシアを守ってくださって、世界を守ってくださいますように。

常に自分を律し続ける必要があるとのメッセージ

一家が自爆するという凄惨な事件・・・。

子どもたちを巻き添えにした事件ということもあり、学校関係者の心配の大きさたるや、いかばかりだったでしょうか?

子どもたちのことを考えれば、先生方は「子どもたちとどう接するべきか」、大いに議論になったことと思います。やむにやまれず大急ぎで作成したという事情はあるでしょうが、それにしてもテロ2日目の当日に、

  • きちんと子どもたちと授業の中で対話をし、
  • これだけの手紙を準備してご両親に配布する・・・、

実に立派なことだと私は思います。

内容については、人によって思うところがいろいろあるでしょうが、とりわけ私が素晴らしいと思ったのは・・・、

明白に書かれているとは言い難く、あくまでも含意されているところを読み取れば、という話ですが、良い人と悪い人がいるというわけではなく、どんな人でも常に転落する可能性があると。

だからこそ、常に自分を律し続ける必要があると。

知識も大事だが、思考や感情も大事で、過ちをおかさないようにするためには、透明で清らかな心が維持できるように、日々の努力が欠かせないのだと。

日常の中でもあてはまる「自分を常に律することの重要性」

この視点は、この手紙の中で必ずも明白にメッセージされているとは言い切れず、あくまでも文脈から読み取れるというメッセージ・・・かもしれません。

でも、自分を常に律することの重要性は、テロや犯罪だけでなく、日常の仕事や家庭、プライベートの側面でも言えることなのではないかな? と私は思います。

というわけで、いろいろな意味でインパクトのある手紙だなと思い、ご紹介しました。

これが、「インドネシア教育文化省がまとめた指針」に触発されて作成されたものかどうかはわかりません。でも、「テロはひどいね」「あんなことするなんて、考えられないね」はい、おわり! で片付けるのではなく、学校の中においても、また、家庭においても子どもたちとの対話を呼びかけようとする姿勢は素敵だと思います。

サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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