『運が開ける3行ハガキ 』−大人のポストカード教室−

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(中谷彰宏著、PHP研究所、1998年 5月21日発行)
☆ 今回のポイント ☆<簡単な内容紹介>
今回取り上げるのは、ハガキの効用に関する本です。説教じみた本や、がちがちのマナー本、あるいは定型フォームのオンパレード、といった、いわゆる「実用書」なら数多くあります。それに対してこの本は、とにかく行動しようと。そしてこれは実に簡単で楽しいことなんだ、という点が強調されているところが特徴です。


以前、高城剛さん(ハイパー・メディア・クリエイター)がこんなことをおっしゃっていました。
「久しぶりに友人に会うときに、『あ、そういえば俺、インターネット始めたんだよ。メールアドレス教えるからさ、ぜひ送ってみてよ』とか言うんです。それでメールが届いたら、わざと毛筆書きの葉書で返事を送るんです。すると、相手はびっくりしますよ」と。
インターネットを使っていると、お礼を言うにもついついメールで済ませがちです。それだからこそ、手書きの葉書のインパクトは大きくなります。
心がなごむ。思いが伝わる。感謝の気持ちをわかってくれる……。たった一枚の葉書でも、実にいろいろな効用があります。自分の気持ちを静めたり、考えを整理するという役目を果たすこともありますね。
だからこそ、もっともっと気軽に葉書を書きましょうよ、というのがこの本です。書き方がうまいので、この本を読むと、用もないのについつい葉書を書きたくなってしまいます。(^_^) この点は、著者の力量のなせる技、という気がします。
まだ二十年かそこらしか生きていない若造の私も、今まで何人かの方から葉書をいただいています。とりわけ私の印象に残っているものの一つは、永六輔さんからいただいた絵葉書です。永さんにお手紙をお送りすると、必ずお返事がいただけます(こんなこと言ったら、叱られるかな?)。文章は長くありません。言葉は少ないのですが、でも非常に味のある筆運びが実に印象的で、感動させられました。
(宮澤元首相からいただいた、素っ気ない首相就任御礼の葉書とは大違いでした。当たり前と言えば当たり前ですが)
つまり心の通う葉書、心を揺さぶる葉書というものは、文章の長短によらないということです。短くても良いわけです。
私はインターネットの魅力にすっかりはまってしまった人間です。電子メールの無い生活など、もはや考えられなくなってしまったわけですが、そんな私でも、きちんと葉書でお礼状を出すことを心がけています。
はじめの頃は何を書いたら良いものか、悩んだものですが、今ではすっかりすらすらと書けるようになりました。短くても、とにかくお礼の気持ちが伝わるようにすれば良い。そう思ったときに気持ちが楽になり、難なく書けるようになったのだと思います。
この本は、文章も少なくて、大変読みやすいので、1時間ちょっとで読み終わります。葉書を書くのがおっくうな方は、ぜひ読んでみるといいと思います。
デジタル世界が進んだ今日でも、「メールだけでは、ちょっとねぇ」という方は結構いらっしゃいます。インターネット系ベンチャー企業の若手経営者の中にも、「ここだけの話なんだけどね……」と言って、手紙の大切さを語られた方がいました。デジタルはアナログと連動してこそ意味を持つ。そのことを再確認させられた次第です。
<おすすめ関連書籍>
★『第一生命教育部長からの手紙』
      (永六輔、下保進著、講談社文庫、1996年2月15日)
第一生命教育部長の下保さんと永六輔さんとの往復書簡集です。仕事ばかりでなく、豊かな人生を送るべく、日常の風景からのいろいろな思いや感動が述べられています。いわゆる「良い感じ」の絶妙なやりとりが展開されていて、のどかに楽しく生きていく達人のような感じを覚えました。
☆ 著者略歴 ☆
1959年、大阪府堺市生まれ。早稲田大学文学部演劇科卒。博報堂で、8年間CMプランナーの後、株式会社中谷彰宏事務所設立。俳優としては、ドラマ『あなたには抱かれたい』、舞台『長い間違い電話』他。( http://www.nakatani-akihiro.co.jp )

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