『五島昇・大恐慌に一番強い経営者』を読んでみた!

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五島昇・大恐慌に一番強い経営者
 新井 喜美夫 著、講談社 (2009/8/11)
☆ 今回のポイント ☆ <簡単な内容紹介>

■内容紹介(アマゾンより)
側近が間近で見た事業再編の名手のロマン!
大恐慌の今こそ経営者に求められる真の哲学とは? 最盛期に、グループ会社400社、8万人の従業員を抱えた名経営者が、日本経済の未来に差し示す復活への道程
■内容(アマゾン「BOOK」データベースより)
財界人を嫌い、総理大臣を叱り、リストラを憎んだダンディズム!東急グループを400社8万人に!戦後経済界の全裏面史。

 


 
 
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東急グループの二代目社長、五島昇さんの伝記。
渋谷109の命名者でもありますね・・・。
昨年末に、尊敬する先輩の一人から、この本をプレゼントされて、
さっそく拝読しました。
つくづく昭和の実業家には、スケールの大きな面白い人物が
多かったのだなぁと改めて実感しました。
人種の違いすら感じてしまう程です・・・。
 
ちなみに著者は、
永年に 渡って五島さんの側近として活躍され、
東急エージェンシーの社長でもあった方。
本書 を拝読し、ぜひ著者にお目にかかりたいと思いました。
 
 
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私はいつも、
尊敬する方から無言でいただく本には、
それなりに深い意味があるのだろうと思って、
それこそ、自分の次なるステップに向けた課題だと受け止めて、
じっくりと読むようにしています。
本書を読んでみての結論。
「あぁ、本当にありがたい贈り物だなぁ」と実感させられました。
そして、五島さんへの親近感がわいたことはもちろんのこと。
さらには、五島さんの側近として活躍されたも著者とも、
ぜひともお会いしてみたい!と思いました。
次へのステップを模索する経営者、
あるいは、幸せの倍増体現を目指すビジネスマンの皆さんに
ぜひおすすめしたい一冊です。
 
 
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五島昇さんと言えば、
経営者として、もう、大変な有名人です。
東急グループの二代目経営者。
評伝やら伝記やら、あちらこちらで見受けられます。
それでも本書には、
今までの評伝とは異なる魅力があると感じました。
 
 
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それは、長年に渡って側近として活動した著者が、
ほぼ生の体験だけ!に基づいて書いているということ。
また、五島昇さんの歴史を忠実に描くのではく、
五島さんとのやり取りを通じて、見たこと、感じたことを中心に、
それこそ著者の自伝的様相をもって、
五島さんの人物像を描いていること。
それを通じて、
五島さんが次世代の人たちに託したかったであろうメッセージを
あぶりだすという、
現代的意義にまで踏み込んだ作品に仕上がっているということです。
 
 
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したがって、題名こそ、
「五島昇・大恐慌に一番強い経営者」となっているものの、
よくありがちな記述、
例えば
「山田太郎は●●年に、●●を営む父●●と、●●という母のもとに生まれた」
みたいな記述すらないのです。
こうして伝記を読み終わったのに、
幼少時代がどうだったのかすら、わからない(笑)。
側近による「関係史」という雰囲気。
関係性を読み進めていくことによって、
読者自身が、五島さん像を描いていくという作業が求められます。
そして、これがまた実に楽しい営為になっているのです。
 
 
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詳しい内容は本書を読んでいただくとして、
本書で面白いのは、
著者の大変優れた実績が、何箇所かで披瀝されるということ。
(五島昇さんの伝記であるにもかかわらず!)
伝記なのに、
著者自身の過去の実績や自慢話が開陳されるのって、
普通なら、あり得ないですよね?(笑)
 
 
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例えば、日本生命の営業マン時代に創った、
年間契約高の記録は、今でも破られていないということ。
(その背景にどんな努力をしたかも書いてあります)
例えば、東急が決断した重要なポイントのいくつかに、
著者本人が大きく影響させたということ。
中曽根臨調の時に、瀬島龍三さんをサポートした点で
大きく寄与したという点、などなど。
 
 
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伝記モノの本としては、著者の業績が披瀝されるのは珍しく、
読み手によっては、「なんだ、自慢かよ」と思う人もいるかもしれません。
でも私が思うに、これを自慢話ととらえるのは間違えで、
こういう実績を創ってきた人物だからこそ、
五島さんが重用したということ。
そういう人物が描いている「五島昇」像ゆえのバイアスがあるにせよ、
単なる側近秘書ではなく、
そうした実績を伴った人が秘書的役割を担ったという事実こそが
注目すべき大事なポイントなのだと感じました。
 
 
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後藤さんが、
彼のそうした実績ゆえに重用したのではなく、
その程度の実績(ものすごい実績なのですが)を出すのは当たり前であって、
それにプラスして見るべき点があるからこそ重用した、
という背景が透けて見えるのです。
実際どうかわかりませんが、
本書を読んでの五島さん像から類推するに、
そう判断されたはず!と思えました。
 
 
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本ブログの冒頭で、
「つくづく昭和の実業家には、スケールの大きな面白い人物が
 多かったのだなぁ」と書きました。
本書を読むと、
五島さんが、優れて骨太なジェネラリストだったことが
伝わってきます。
その骨太で荒削りな、偉大なるジェネラリストに対し、
それゆえに抜け落ちる細かいところを、
絶妙なまでに、側近たちがうまくサポートしていたこともわかります。
これが当時の東急の強さでもあったのですね。
 
 
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これは現代の中小企業経営にも大きなヒントになるべき点。
経営者なり、上長のリーダーシップも大事ですが、
完璧な人というのは、あり得ません。
上に立つ人間にも欠点はあります。
上の人間の欠点を補って活躍できる部下。
それは、「リーダーシップ」に対するところの
「フォロワーシップ」とでも言うべきものですが、
それが大事なんですよね・・・。
 
 
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本書は、東急という一グループの歴史を越えて、
まさに、昭和の裏面史が見えてくるものとして、
非常に面白く読むことができます。
中でも、中曽根臨調の際の実名での人物批判には、
正直言って、ハラハラさせられました。
「あぁ、背景にはそんなことがあったのか!」と、
びっくりさせられることも・・・。
 
 
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中には、
「最近の若者はけしからん!」の声も散見されます。
「良くありがちな若者批判か・・・」と思う人もいるでしょうが、
それでも、中曽根臨調時代の著者のバックグラウンドを考えると、
そうも思えなくなります。
というのは、
「次世代を創る若者には、そうあってほしくない!」という、
昔の実態(とりわけ悪しき部分)を熟知するがゆえに生まれる切なる願いが、
そこには込められているのだなぁということが、
非常に強く伝わってくるからです。
本当にお会いして、教えを乞いたい!(笑)
 
 
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総括して言えば、
「五島昇さんの歴史」というよりも、
「五島昇さんを通じて描く、著者の自伝」という側面が濃いです。
2人の生き様を見て、
「あぁ、もっと大きく生きなくては!」と思いました。
私の尊敬する社長は、会話の端々で、
「ちっさい、ちっさい・・・」とおっしゃるのですが、
本当に、そう思いました。
視野が広がる一冊です。
 
 
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次へのステップを模索する経営者、
あるいは、幸せの倍増体現を目指すビジネスマンの皆さんには、
ぜひとも、おすすめしたい一冊です。
隙間時間に何度かに分けて読むのではなくて、
ゆっくりできる日にまとめて読むのをおすすめします!
 
 
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■追伸:
「経済人の最大の条件は、経営手腕によるよりも人格にある」という
くだりが印象的でした(同書163ページ)。
これは、
日清紡績、国策パルプ、大日本麦酒などの経営を歴任された、
昭和の経営者、宮島清次郎さんの言葉です。
吉田茂は彼を蔵相にしたがったようですが、彼は固辞。
それゆえに池田勇人が蔵相になりました。
一年生議員だったのに・・・。
これが、池田さんを首相に近づけたのだそうです。
世の中のめぐり合わせは、つくづく神秘的です・・・。
 
 
 
 2010年1月5日             渡邉 裕晃
 
 
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