作家・立松和平さん、62歳での急逝。
昨日、2月8日に亡くなられたとの報道に触れ、正直言って、大変びっくりしました。まだ62歳という若さ! 本当にショッキングです。
立松和平さんについてはかつて、何度かブログで書いてきました。
立松さん逝去の報道から数時間。そう、わずか数時間にもかかわらず、私が以前書いた立松和平さんに関するブログ記事にはアクセスが殺到しました。改めて、立松さんファンの多さを思い知らされた次第です。
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私が読んだ立松さんの作品は、小説『二荒(ふたら)』。
日光の中禅寺湖を舞台にして、「自然」と「生」とを描き尽くした幻の名作です。
盗作騒動で絶版になってしまいましたが、私にとっては、「2006年に読んだ小説部門、ナンバーワン」となりました。誠に美しい、自然美にあふれた作品です。
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そして、絶版後に、修正されて再刊された改訂版が、『日光』。
日光
立松和平 勉誠出版 2008-12-19
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ブログに書いた通り、実は元の作品の方が素晴らしいのですが、
それにしても・・・、
一度、絶版となった本が、たとえ若干の修正が加えられたにしても、こうして再度世に出たということは、非常に喜ばしいことでした。それくらいに、質の高い、実に素晴らしい作品なのです。
私は数ある立松文学のうち、その2作品しか読んでいないですが、それでも、私はこの2作は、「生」を見つめ尽くす美しき立松文学の金字塔だと言いたいです。
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今となっては「立松さんの晩年」になりますが、私はこの数年、書店で立松さんの書籍が次々と刊行されるご活躍を拝見して、「どうして、こんなに大部な作品を、立て続けに出し続けるのだろう? まるで生き急ぐかのように・・・」と思っていました。
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「歴史もの」の名作も多く出版され、「こんなに難しいテーマを、矢継ぎ早に出されるのは、常人を超えている!」とすら思うほどでした。
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いま思えば・・・、もしかしたら立松さんご自身の中で、「感覚としての死期」を、あるいは「人生の終幕の時期」を、悟られていたのかもしれません。
「盗作騒動」によって、活躍の幅が狭められたにもかかわらず、精力的に、最後の最後まで、「大事なもの」を世に輩出し続けたい! と覚悟されていたのだろうな・・・、という印象です。
私は立松和平さんの膨大な数の作品郡と比べてしまうと、「ほどんと読んでいない読者」でしかないわけですが、それでも、この『二荒(ふたら)』と、『日光』という2作品だけでも、非常に大事なことを教えてくださいました。
いつかお目にかかりたい人物の一人だったのですが、思わぬかたちで、かなわぬことになり、残念でなりません。
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実は、この作品・・・。私の遠戚の関わった事業について、長々と取り上げてくださり、それを、ありありとイメージできるように描いていただいたことには、いつかお礼を申し上げたいと思っていたところでした。
(ちなみに、同事業を現代によみがえるように描いてくださったのは、真山仁さんの『ハゲタカ』原作本です)
ご冥福をお祈り申し上げます。立松和平さん、どうも、ありがとうございました。
■追伸:
ブログで明言しなかったのですが、実はこの記事も、立松和平さんの本について書いたものでした。
2010年2月9日 渡邉 裕晃
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