インドネシアで急成長するeコマースのビジネス。
今月下旬には、今後のeコマース市場についての政府の指針、
「eコマース・ロードマップ」が発表になる見込み。
どのような施策が出てくるのか、
外資企業に対する緩和はどの程度になりそうか等、注目の分野になっています。
外資の制限を強めるべきか、弱めるべきかの議論がある一方、
海外企業との競争が発生するのは食い止められない時間の問題だ、という見方も。
これについてインドネシアeコマース協会(IdEA)はどう考えているのか。
「eコマース・ロードマップ」の策定にもかかわる同団体の代表が
一定の見解をコメントした記事を見つけました。
今回、kompasが報じたのは、次の記事です。
「海外のeコマースの攻勢について、これがインドネシアeコマース協会の見解だ」Gempuran E-commerce Asing, Ini Tanggapan Asosiasi – Kompas.com(23 Januari 2016 | 07:31) |
【写真:「海外のeコマースの攻勢について、これがインドネシアeコマース協会の見解だ」というKompasの記事より】
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インドネシアのeコマース市場についての政府の指針、
いわゆる「eコマース・ロードマップ」は今月下旬には発表される予定です。
どのような施策が出てくるのか、
外資企業に対する緩和はどの程度か、など、注目の分野になっていますが、
これについては、先日のブログでもまとめた通りです。
(参考:samsul.comブログから) ■2016年1月16日up 「インドネシアがeコマース産業で外資100%の参入を許可」は本当か? ■2016年1月19日up ■2016年1月20日up |
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外資の受け入れがどの程度になるのか。
インドネシアのローカル中小企業は、どこまで保護されるべきか。
そうした議論がある一方、企業がとるべきスタンスを考えれば、
それら「保護」に安住することなく、
自ら生き残っていくための自助努力を進めていくということも、また重要。
「健全な企業の発展」という観点からすれば、自助努力は欠かせません。
インドネシアeコマース協会は、
「ロードマップ」策定の話し合いに関わっている団体ですが、
今回のコメントを見ていると、政府の保護うんぬんというよりも、
企業経営者の自助努力の大切さを唱え、経営の視点を高め、
そのために政府ができる最低限のことがコメントされています。
この観点は重要ですね。記事は次のように展開されています。
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海外のeコマースサービスが続々とインドネシアに入ってくる。LazadaやAliexpress以外に、巨竜であるeBayも、インドネシアへの勢力拡大をはかってくるはずだ。
この現象について、インドネシアeコマース協会(IdEA)は当然のことだと考えている。なぜならeコマースは、インターネット上で構築されるプラットフォームだからだ。 「インターネットの哲学は自由(フリーダム)ですよね。海外企業の進出を制限することはできないですよ。もし抵抗することができるとしても、いったいいつまで可能だっていうんでしょう?」と、インドネシアeコマース協会の代表であるDaniel Tumiwa氏は、1月22日にジャカルタのメリディアンホテルで語った。 そうした状況ではあるものの、インドネシアeコマース協会が外資勢力に対して、ただ何もせずにいるというわけではない。代表であるDaniel氏によれば、海外のeコマースがインドネシアに流入してくることに対する最善の策は、対抗することではなくて、むしろ同様の努力をすることだ。つまりインドネシアのローカルeコマースが海外へ進出することだ。 (対抗するのではなくて、同様の努力をすることが大事な理由は、)もし最初の段階から外資の攻勢を「反抗」として受け止めるならば、ローカルのeコマースプレイヤーが海外市場で収益をあげようとする時に同じ困難に直面するはずだからだ。「例えば、Blibliが中国に出ていこうとしても、もし我々が中国企業に対して制限を課していたとしたら、我々もまた同じようにして進出を阻まれるはずです」と、語る。 Daniel氏によれば、外資の攻勢を受け止めるために具体的に実行可能なことが2つある。 第一に、ローカルプレイヤーは、競争力の高い商品を生み出すためのインセンティブによって支援されるべきだ。 第二に、インドネシアでビジネスを行う外資eコマースのために外交ルートを選択すること。「最初の1年目は、インドネシアでの活動にいったん目をつぶりましょう。その後、次の年には彼らのビジネスはすでにはるかに大きなものになっているはず。そこで、インドネシアに現地法人を準備して活動するように命じればいいのです」と彼は説明する。 もし外資プレイヤーがインドネシアで現地法人を設立することを拒むならば、別の代替方法があるとDaniel氏は言う。つまり、現地のローカル企業とのパートナーシップを決めるように求めていくということだ。 「インドネシアの現地企業の中から、自社商品の輸入企業を見つけて指定します。そしてその会社とのパートナーシップは段階的に構築していきます。どのレベルまで? それは進めながら自然と決まっていくはずです」と彼は言う。 Daniel氏によれば、海外からの攻勢をなかば目前にする中で、インドネシアのローカルeコマースの発展にとっての最大の障壁となっているのは、グローバル市場に対する準備がメンタル面でできていないことだ。 「私たちは、インドネシア国内だけで販売することを選びました。それは外資企業ができない領域です。(注:「外資企業が参入できないような領域だけで安住するのは、企業としては安易な道だ」という意味を込めている?)これ(注:その安住を超えて、自助努力で海外にまで戦いの先を広げていこうと視野をあげること?)は、政府やインドネシアeコマース協会にとっての重い任務です。(注:この最終段落の代表コメントは、言葉足らずなところがあって、少しわかりくいです) |
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外からの脅威を警戒するあまり、
あまりに内向きになると、視点が狭くなり、成長の機会を逃してしまいかねません。
そうした中、いたずらに政府からの「保護」を求めるのではなく、
あくまでも競争力強化のインセンティブ施策、「成長支援」を求めると。
企業自身には自助努力が重要ですが、
さらにもう一段、視点をもっと高くして、
「海外にも出て行くぞ!」というマインドまで国内企業に持たせていく。
今回のインドネシアeコマース協会のスタンスは、
中長期的に見た場合のインドネシアのeコマースにとって、
非常に的確な動きをしているように感じました。
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1月下旬に発表される「eコマース・ロードマップ」が
どのような内容になるかは、まだわかりません。
でも、いたずらな保護、さらに言えば「過保護策」ではなくて、
自助努力にもとづく健全な発展が促進されるような内容を期待したいもの。
日本でも不況期には、
「切れ目のない景気対策が不可欠だ」と政府に要望した業界団体があったようですが、
今後のインドネシアの発展を考えれば、
自助努力によってたくましく成長できる企業の誕生を期待したいです。
そして、ぜひ少しでも多くのインドネシア企業に、
日本への進出を実現させてほしいと願っています。
なんていうと、「上から目線」なコメントかもしれませんが、
純粋に、インドネシア企業には、もっともっと日本に来てほしいなと。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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