身近なところから考える「起業」

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今日の午前10時、私の自宅そばで、新しいコンビニエンスストアがオープンしました。私はまだ行っていないのですが、新しく店を出すことになった店長さんがどんな人なのか、新規アルバイトの方々がどのあたりまできちんと訓練の成果を出せるのか、店内の商品陳列にどのような工夫と配慮がなされているのか……、などなど、なかなか楽しみです。


と言うと、まるで自宅近辺ではコンビニ出店第一号であるかのようですが、そうではありません。不況が改善されないとか、日本の開業率は低い、とは言うものの、こと私の自宅付近に関する限り、実は今年に入ってから開店、開業が増えています。

まず今日、新たにコンビニがオープンします。私の住む場所から半径300メートルの範囲には、すでにコンビニが7〜8軒あるというのに、また増えるのです。私が幼少のころには、1キロぐらい歩かなければコンビニに行くことができず、商業地でもあるので、「ここに出店すれば儲かるはずなのになぁ」と思っていたのですが、さすがにこんなに増えると経営が成り立つのだろうかと余計な心配もしてみたくなります。案の定二年前には1ヶ所、閉店しています。

また、ファミリーレストランが1店オープンしました。これも半径300メートル圏内。いままで「こんな良い場所に、なんで進出しないんだろう?」と疑問に思っていたのですが、やはり勘はあたっていました。味はそれほどでもないのですが、オープン以来、毎日盛況です。味が改善されれば、もっとお客さんは来るはずです。新しいアルバイトの方の働きには、まだまだぎこちなさがありましたが、かなりの訓練を施したあとが感じられ、店長さんがどんな意気込みで新規オープンを進め、どんな姿勢で店の経営にあたろうとしている方なのか、想像させるに充分なものがありました。

居酒屋も3軒増えました。2軒はそれほど規模は大きくないのですが、1軒は3階建てで、各フロアごとに異なる趣向のデザイン空間が展開されている面白い店です。立ち食いそばやも2軒増えましたし、ラーメン店も増えました。このラーメン店は、残念ながら、味はもとより、社員教育があまりきちんとされていないようで、客寄せにもあまり工夫が見られません。このままではあまり伸びてはいかないでしょう。

それから地元密着型の小さな不動産屋も2社オープンしました。そのうち1社は、小さな有限会社。とてもこぎれいな環境で、社長は、どこかの会社を定年退職したとおぼしき方。開店日には店の前に花が並び、日本酒の樽が届けられ、お祝いの来店者もあり、60歳代ぐらいの社長夫婦がにこやかにおじぎをするという光景。ぜひ頑張ってほしいなぁとエールをおくりたくなりました。

起業に関心を持ってから、新規オープンの店があると聞くと興味をもって見るようになったのですが、もちろんあっという間に閉店したり転業したりする事例も見てきました。でも、新しく始まる光景を見るのは、実にすがすがしいものです。

冒頭に書いたコンビニは、当初、開店が遅れていました。改装作業が終わってコンビニの体裁ができてはいるものの、なかなか看板の取り付けが行われないのです。おそらく、店長の研修が長引いたためでしょう。「人間的な感じがする」とでも言うべきでしょうか。いつも看板の無い店を見ながら「店長さん、研修頑張れ!!」と応援したくなってしまうのです。

このように、起業のネタというものは、街にはあふれているわけです。インターネットビジネスだけに還元されるものではありません。ビジネスのネタというものは、いつの時代においてもたくさん転がっているもので、たとえ今起業のネタが思いつかなくても、探しつづければ良いわけです。年齢の高低も関係ありません。

FC(フランチャイズ)に加盟しての店舗経営も、なかなか面白いものです。開業前に、かなりの研究と調査と勉強とが必要で、開業後にも不断の努力が欠かせませんが、それはどんな仕事でも同じこと。最近では、大学を卒業してすぐにFCで起業する店長さんも出てきています。22歳の女性店長さんが経営するFC型喫茶店もありますね。一方、会社を定年退職してから始められる方もあります。

FCでは大きなビジネスにならないと思う人もいるかもしれませんが、これも頭の使いよう。例えばマルチフランチャイズと言って、1社でFCを複数経営するというやり方もあります。同じFCを複数店経営するのでも良いですし、異なるFCを経営して、それぞれに特有のノウハウを自分なりに研究発展させて他店にも適用させれば、さらに良い店ができあがるかもしれません。20代にして、すでに2軒、3軒と店を増やしている方の事例を聞いたことがありますが、これもなかなか面白いと思います。

ただ業を起こすということは、何か指示された仕事をこなす、ということではないわけですから、そこにオリジナルなものが求められます。単に資金が存分に投入されているというだけでは意味がありません。小規模であっても、誇り高い中小企業店主として、自分の店の特徴や商品へのこだわりを示すことも必要になります。金が無いぶん、知恵で勝負をしないといけません。

これはFCのように、一見するとオリジナリティーの付け入るすきが無いように思えるマニュアル商売であってもできることです。例えば、ひどいコンビニになると「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」すら言わないアルバイターがレジを担当している事例もありますが、私の近くのコンビニの店主は、店内や店の周辺にいるときには、道で常連客を見つけると盛んに挨拶をします。レジで会計をするときも、気持ちをこめて「いつもありがとうございますねぇ」とか「今日は暑いですね」とか「これからお仕事? 頑張って!!」とか、必ず一言を添えています。

小さな店、小さな会社は、それだけ小回りがきくわけですから、それを十二分にいかすことが重要になりますね。積極的にいろいろな店を訪れたり、事例を研究したりすること。そして、「これは良い!!」と思ったことはどんどん採用して、試行錯誤しながら、オリジナルなものへと昇華させていくこと。この繰り返しが、遠回りのようでいて、実は消費者の共感を得るための近道なのではないかと思います。

国民金融公庫が昨年8月に実施した「新規開業アンケート調査」によると、開業時の平均年齢は40.9歳。とりわけ50歳以上の割合が高まっているのだそうです。企業のリストラや雇用慣行の変化などを背景に、勤務先を退職して事業を開始する中高年が増加しているとのこと。( http://www.kokukin.go.jp/pfcj/98sinkj.html )

すでに家庭をもった方が起業を考えるのは、なかなかリスクの大きなことだとは思います。ベンチャー企業への転職を考える場合ですら、いろいろと思案をめぐらし悩むことになるのではないかと思います。受け入れる側にしても心配があるはずです。小さなベンチャー企業の経営者の中には、「転職して来てくれることは嬉しいけれども、旦那さんや奥さん、お子さんをお持ちの方の転職の場合、こちら側の責任感が重圧になる」と言う人もいます。

とりあえず、自宅近辺の小規模な店を見て歩いてみるというのも、手ですね。個人商店のような小さな店ですら、みんな、起業事例であるわけですから、この店の特徴は何か、どんな思い入れがあるのか、といった目で見直してみると、また新しい発見があるかもしれません。自分だったら、この店をどのように変えたいか、どのように経営していきたいか、いろいろ思案をめぐらせてみるのも、面白いのではないでしょうか。いつなんどきチャンスがまわってくるか、わからないですからね。

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