どの会社でも、
「社内勉強会」というものが行われていると思います。
会社が決めて受講させるという、いわゆる「研修」ではなく、
現場の人たちが自発的に行っている、有志の勉強会です。
「もっとスキルをあげたい」
「もっと実績を出したい」
「他部署の人との交流を通じて視野を広げたい」
「現場の仕事とは異なる領域に触れて、刺激を受けたい」
などなど、その動機はいろいろだと思います。
先日、この「社内勉強会」について、面白い話を聞きました。
ある企業の、ある部署のグループマネージャーにあたる方です。
誰もが知る大企業で奮闘する、若手のリーダー格。
私が見るに、部下指導にとても熱心な方で、ご本人も優秀。
「早く仕事の楽しさを感じてもらいたい」
「そのためにも、早く実績を上げてもらいたい」
そんな動機から、
部下を一生懸命に引き上げようと尽力されています。
□ □ □
なかなか実績が上がらずに停滞している部下を見つけては、
夜遅くまで、マンツーマンで細かく指導をしていたそうです。
そんな時、
「よしっ、数人まとめて一緒になって勉強会をやろう、定期的に」
彼はそう決意します。
「ただし、朝7時からスタートする! 出席は希望者だけで良い」
彼は、成績の低い部下を引き上げるべく、
朝7時よりも前に出社するようになります。
□ □ □
当日、出席を宣言していたスタッフから電話があったそうです。
ある時は、
「すみません、腹痛で・・・」
ある時は、
「あの、電車が遅れてしまって・・・」
つまり、出席の意志表示だけはしておいて、
「欠席はアクシデントであり、私の意志ではない」という電話。
こうして、勉強会に出席してこない日が続きます。
そのマネージャーは決意します。
この勉強会を、彼らだけではなくて、
他のみんなにも開放しようと。
□ □ □
その後どうなったかというと・・・、
ふたを開けてみると、
その早朝勉強会の常連出席者は、
意欲があって実績も出しているような、
成長まっさかりの若者ばかりになってしまったというのです。
成績が上がらず悩んでいる人こそ、
成績の普通なみの人に追いつくためにも、
人一倍の勉強をしないといけない。
にもかかわらず・・・、
実績を上げつつある人たちこそが、
「もっと学びたい!」と考えて
早朝の勉強会に集まってくるという、このパラドックス。
皮肉なものです。
□ □ □
実は、これに類する話は、珍しいことではないはずです。
多くのスタッフをかかえる、ある飲食店の店長から聞いた話。
接客の苦手なスタッフを教育すべく、
希望者のみを対象とする勉強会をスタート。
みんなよりも数時間ほど前に店に集まって、
1?2時間ほどの、接客実技を行う勉強会です。
ただでさえ仕事のハードな飲食店。
店長ともなれば、マネジメントは相当大変なはず。
勉強会の準備にかける負担も、かなり大きなものだそうです。
□ □ □
それを聞いた時、
「すごいなぁ」と思いつつ、
私は思い切って店長さんに聞いてみました。
「それ、
逆に接客テクニックのできた人たちが集まってきませんか?」
「渡邉さん、そうそう、実は、そうなんですよ、
いや、困っちゃってねぇ・・・。
君は充分に合格だよ、来なくて良いよという、
そういうレベルのスタッフばっかり来るんです」
という具合。
接客技術の長けた人たちこそが、
「基礎のレベルから、もっと磨きをかけたい!」と考えて
勉強会に集まってくるという、このパラドックス。
□ □ □
いろいろな仕事がありますから、
一概には言えません。
でも、
「できるか、できないか」という領域が厳然とあるにしても、
「やるか、やらないか」という領域も、意外と大きいように思います。
誰よりも人一倍に勉強する。
誰よりも人一倍に経験する、ということが大事なはずなのに。
学ぶ、経験する。
自分から率先して行動する。
本当に大切なことですよね。
このコラムは、2007年9月29日に配信したメールマガジンを転載したものです。
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2007年10月16日 渡邉 裕晃
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