インドネシア語には「略語」があります。たとえば「東ジャワ」は「Jawa Timur」ですが、略して「Jatim」(ジャティム)と呼びます。こうした略語はインドネシアでは続々と生まれています。
もちろん「略語」はどの国にもあるものですが、とくにインドネシア語は「略語天国」と言われるように、略語がフル活用されているのが特徴です。
そうした略語に触れていると、あらためて「インドネシアの文化は奥深いな・・・」と関心させられることがあります。今回は例として「Takol」と「TAKJOL」を紹介します。インドネシア語マニアの方なら、インドネシアの多様性に改めて驚かされるはずです。
目次
インドネシア語には「略語」がいっぱい!!
冒頭で紹介したとおり、インドネシア語は「新語」がどんどん生まれることで知られています。
どんどん新しい言葉が生まれてくるので、正直な話、しばらく海外に赴任しているインドネシアの人が、数年ぶりにインドネシアに戻ると、わからない単語がいくつもある・・・なんてことは普通なのです。
「インドネシア語は、世界一簡単な言語」と呼ばれることもあります。だからこそ、よりよい表現、より現実に即した表現を求めて、新しい言語が生まれやすくなっているのかな、とも思います。
しかも、「略語」もどんどん生まれてくるので、わからない言葉が増えるんです。「singkatan(シンカタン)」とか「akronim(アクロニム)」といいますが、例えば「携帯電話」は、HP(ハー・ペー)といいます。これは「Hand Phone」の頭文字をとった略語です。
インドネシアではこうした略語がどんどん生まれています。以前、ジョコウィ大統領自身が会議の中で「ところで、この略語、どんな意味なんだっけ?」と、参加メンバーに質問をして話題になったこともあるほどです。
インドネシアの新しい略語「Takol」と「TAKJOL」の意味は?
「Takol」と「TAKJOL」は、オンラインタクシーを意味する略語です。グラブ(Grab)やウーバー(Uber)などのオンラインタクシーですね。
一般的には「Takol」です。しかし東ジャワでは「TAKJOL」になります。日本でも「マクドナルド」の略が「マクド」か「マック」かで地域差があるのと似ているかもしれません。
「Takol」と「TAKJOL」の違いについて言えば、ジャワ島ならではの面白い背景があります。順番に説明しましょう。
インドネシアの略語「OJOL」と「TAKJOL」の違いはなぜ?
去年の11月のこと。私が初めて知ったインドネシアの略語があります。それは、「OJOL」と「TAKJOL」という言葉です。
インドネシア第2の都市、スラバヤで見かけました。スマホで予約ができる、いわゆる「オンラインタクシー」の専用乗り場に書かかれていたのです。
【写真:「OJOLとTAKJOLの乗客を迎える場所」と記載された横断幕@スラバヤにて】
新しい略語に出会うと「なんだろう?」と思って、いろいろ考えるのですが・・・、まず「OJOL」は、「OJek OnLine」の略だろうなと想像がつきました。「Ojek」は、インドネシアの交通手段、バイクタクシーの名前。つまり、「オンラインOjek」の略ですね。
インドネシアの略語「TAKJOL」にある「J」の謎
では「TAKJOL」って、なんだろう? って。 ここで大いに悩みました。皆さん、わかります?
2輪車のタクシーは、「OJek OnLine」、だから「OJOL」になることはわかります。
4輪車のタクシーは、「Taksi Online」、だから「Takol」になるはず。
でも、「TAKJOL」と、「J」が入っているんですよね。これは何?
だって「Taksi Online」には、「J」が無いんですよ。
わからないので、いろいろと聞いてみました。そもそも「OJOLも初めて聞いたよ・・・」なんて人もいれば、「Takolなら聞いたことあるけど」なんて人も。
そんな中で、「へぇ・・」と思ったのが、次のコメント。
「Takolって、インドネシアの俗語で、アタマを殴るって意味があるんだよ」
「僕の友達は、Taxolって言ってるよ」
「taksolなら、聞いたことがるけど・・・」と、さまざま。
イイカゲン? と思うかもしれません。
でも、インドネシア語に「新語」や「略語」が続々と生まれてくるのも、こうした良い意味での適当さが影響しているんですよね。形式ばらないというか、必要性に応じて柔軟に変えていくというスタンス。まさに生きる智恵とも言えそうです。
で、肝心の「J」って何?という話。
略語が異なるという謎に「なるほど!」と思った解釈。インドネシアは実に多様!
いろいろ聞いてみたあげく、私の親戚(インドネシア人)から教えてもらったことが「なるほど!」でした。
「Taxolって、そもそも東ジャワの人が読むと、takjolになるよ」って。
インドネシアは750もの言語が存在するとされていて、地方によって使用されている言語が違うのです。だから発音の特徴なども違っていて・・・。
彼から指摘を受けて、なるほどなと思いました。「Taksi Online」は、文字からすれば「Takol」になるけど、ジャカルラでは「タクソル」と読むけど、東ジャワだと「タクジョル」になるな・・・って。ことほど左様に、インドネシアは多様なのです。
おそらくですが・・・。この担当者は、文字で「Takol」と報告を受けたわけではなく、おそらく音で「Takjol」と聞かされて、あるいは文字だけで「Takol」と見せられて、だからこそ、それを文字に起こす時に「Takjol」と記載したんだろうなと。
インドネシアは伝統的に、「ニュースは文字で読むものではなく、聞くものだ」とされてきましたが、まさにその通りなんだなと。
余談ながら、こうした「エリアによる発音の違い」という問題から、こんな現象が起きたりもします(笑)
オンラインタクシーと旧勢力との衝突という問題も
【画像:「数千の公共交通機関の運転手が、スマホアプリによる交通機関の問題でデモへ」との現地ニュース「Kompas」記事より(2016年3月)】
中には、こんなコメントをくれた人もいます。
「Taksi Juga OnLine という略では?」って。
直訳すれば「タクシーもオンライン」となります。オンライン化の波にはあらがえず、これは時代の流れだよ・・・と。インドネシアでは、オンラインのタクシーがどんどん伸びていて、逆に旧勢力の反抗が強く問題になっています。だから、「Takjol」なんじゃないの? って。 旧勢力を批判するニュアンスですね。
ある意味では皮肉ですが、インドネシアではこういう言葉遊びで風刺が行われたりもするんですよね。これはインドネシア語の面白いところでもあります。
というわけで、今日はインドネシア語マニア向け全開の話でまとめてみました。でも・・・、私にとっては「へぇ・・・」な話題なんですよ。だからブログにまとめてみた次第です。
「インドネシア語は、世界一簡単な言語」と言われますが、「そんなこと、誰が言ったの?」って私は思います。それくらいに奥深い言語なんですよ!
【参考】インドネシアの配車アプリ、オンラインタクシー関連ブログ記事
「配車アプリ、オンラインタクシー」に関するブログ記事をまとめました。こちらもどうぞ。