今回のテーマは、日本企業は今、「ハラル対応」をどう考えるべきか? ということ。
「ハラル」は、イスラム法で認められたことやものを示す概念。主に「食べても良いもの」としての「ハラルフード」が有名ですが、「ムスリムにとって、イスラム法の見地から心地よく過ごせる環境」の整備全般を総称して、「ハラル対応」ということもあります。
では、なぜ「ハラル対応」がビジネスチャンスとしてとらえられるようなっているのでしょうか。
目次
ハラルを考えるイベント、大盛況の注目ぶり
2013年7月、幕張でハラルビジネスに関するイベントが開催されました。題して「ハラル対応ホテル&レストラン 現地視察・セミナー」。セミナーや試食会、客室見学などから構成されたイベント。会場には様々な国籍をもった、様々な業種の方々が集って「満席御礼」状態。一日を通じて盛況のうちに終了しました。
このイベントを通じて紹介されたこと、出席して私なりに学んだことを含め、日本企業は今、「ハラル対応」をどう考えるべきか? というテーマでご紹介したいと思います。主催は「一般社団法人ハラル・ジャパン協会」および、「日本アジアハラール協会」です。
【写真:ハラルイベント、セミナー会場の様子】
急増する「訪日外国人」、ハラルの観点からどう対応すべきか
なぜ「ハラル」に着目すべきなのか?
現在、政府をあげて取り組んでいる課題の一つが「観光立国」。「訪日観光客数、1000万人」をめざし、またその後の2000万人、3000万人を目指して様々な施策がスタートしています。
【写真:ハラル・ジャパン協会、佐久間代表理事の挨拶】
先月の日経では、以下のように報道されています。
■5月の訪日外国人31%増 地方でもアジアの観光客増加 :日本経済新聞
日本政府観光局が19日まとめた5月の訪日外国人数は87万5000人と前年同月比で31%増加した。2月から4カ月連続のプラスで、5月としては過去最高。円高の修正に加えて航空便の増加が追い風になり、地方のホテルや商業施設でもアジアの観光客が増えている。 日本政府観光局によると、1月から5月までの累計の訪日外国人数は405万人と前年同期に比べて21%増えた。13年に訪日外国人を1000万人に増やすという政府目標を達成できるペースだ。 |
また、JTB総合研究所が作成したグラフを見てみると、震災後の落ち込みがあるにしても、以下の通り、明らかな増加傾向が見て取れます。
【画像:過去3年の月別訪日外国人数の推移(JTB総合研究所作成)】
【画像:年別訪日外国人数の推移(1964年以降)(JTB総合研究所作成)】
ご関心のある方は、こちらも、ご覧ください。
インバウンド施策を考える中で、高まるイスラムの存在感
訪日外国人旅行客を誘致するための政策は「インバウンド政策」と呼ばれますが、こうした中、「人口の数」の観点でも、「豊かさ」の観点でも、「イスラム」の存在感は、年々上がってきています。
イスラムというと「中東」というイメージをいだきがちですが、イスラム教の人口が最も多い国は「インドネシア」。中東だけでなく、アジアからの誘致を考えるためには、イスラムのことを考えることが不可欠です。
そして、イスラムの人たちを日本に招くためにも、ハラルへの対応は重要な課題となってきます。
座学と実践、知ると感じるから「ハラル」をとらえる試み
今回のイベントの主眼は「ハラル」の問題を、
(1)訪日観光客の促進という観点から (2)マレーシアにおける事例から (3)アメリカにおける事例から |
という3つのセミナーを通じて考えること。
また、上記に加えて、
(1)ハラルフードのランチブッフェ形式の試食 (2)ハラル対応のホテル客室の見学 |
という2点を通じて、「肌で感じる」こと。
まさに「講演」と「体感」とを通じて、「ハラル」全体を考えようというのが、今回のイベントでした。
【写真:盛り沢山なハラルイベント概要】
・今後の日本にとって、イスラムの重要性はどこにあるのか。 ・ハラル対応とは何か。 ・ハラルは、どのくらいのビジネスになっているのか。 ・マレーシアやアメリカでは、どのような状況なのか。 ・ハラルフードとは何か。 ・日本の商業施設が取るべきハラル対策とは何か。 |
などなど、現在のビジネス環境の中で、イスラムやハラルの問題をどうとらえるべきか。
今回のイベントに来場された方にとっては、きっと多いに刺激になったイベントだったのではないかと思います。
今回、イベントに参加させていただいて、上記それぞれのテーマに分けて、ブログにまとめてみました。ご関心のあるところから、ぜひお読みいただければと思います。
【写真:セミナー会場隣に用意された礼拝室】
【写真:メッカの方向を指し示す矢印】
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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