ハラル対応|イスラム圏からの訪日旅行者にどう対応すべきか

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「イスラム圏からの訪日旅行者」にどう対応すべきか、というテーマについて取り上げます。

2013年7月、幕張で開催されたイベント、「ハラル対応ホテル&レストラン 現地視察・セミナー」。第1講演は、「イスラム圏からの訪日旅行者」をテーマに展開されました。講師は、ホテルベッツの小峰勇さんです。

「ハラル」はイスラム法で認められたものという意味。イスラムの人たちにとって、「ハラル対応」された施設や「ハラル対応」された食事は、心地よさに直結します。今後、日本が海外からの旅行者を増やしていく上で、特にイスラムの人たちを招く上では、「ハラル対応」が非常に大きなキーになってきます。

今回は、この講演内容を紹介しながら、「イスラム圏からの訪日旅行者」にどう対応すべきかを考えてみます。




1秒あたり30泊を販売するホテルベッツのデータから

講師をつとめたホテルベッツの小峰勇さん
【写真:講師をつとめたホテルベッツの小峰勇さん】

ホテルベッツは、世界5大旅行会社のナンバーワンである「TUI」の、ホテル卸販売部門。世界183ヶ国にある、合計5万以上のホテルを取扱い、2012年には、1600万泊以上の販売を達成されています。1秒あたり30泊の計算です。

そうした実績の中、同社のマーケティングデータを基にして、ムスリムツーリズムや、訪日観光市場について、現状と今後を展望する内容となりました。

訪日外国人旅行客に向けたインバウンドを取り巻く環境

まず初めに、小峰氏は、インバウンドを取り巻く状況について解説。インバウンドとは、「訪日外国人旅行客」、あるいは、その誘致活動のことを指します。

訪日外国人数を示すプレゼン資料から
【写真:訪日外国人数を示すプレゼン資料から】

2013年4月の訪日外国人数は923,000人で、単月過去最高。
2013年5月の訪日外国人数は875,000人で、単月歴代3位。

このようにして、日本に来る旅行者の急増ぶりを説明されました。

ご関心のある方は、こちらもご覧ください。

訪日外国人の増加|日本政府観光局のデータと一時帰国の体験から読み解く
今回は「訪日外国人の増加」というテーマをとりあげます。日本政府観光局のデータと、インドネシアに住む私自身の「一時帰国の体験」から、この話題を...

小峰氏は、「インバウンドトラベル」の市場環境について、わずかこの1年だけを見ても、だいぶ大きな変化が起きているといいます。

1つには、冒頭に示した数字のように、インバウンドの数(訪問客数)の変化。そしてもう1つには、訪問者数における「アジア圏」からの比率が急速に伸びていることです。
(ただし尖閣の関係で中国からは急減)
 
訪日外国人データ:アジアからの旅行者が急増
【写真:訪日外国人データ:アジアからの旅行者が急増】

イスラム圏からの観光客が全世界の14%を超える!!

コーラン

また、ベルリンで開催された「国際旅行見本市」で発表に言及。

「2020年までに、世界の全旅行者のうち、イスラムの占める割合が14%を超える」

との見解があったこと。

また、オーストラリアのクイーンズランド州での取り組みが紹介され、官民をあげてのハラル対応を強化した結果、イスラム観光客が35%以上も増加した等の発表があったことを紹介されました。

つまり、日本単体を見るだけでなく、世界的な潮流として、イスラムの存在感が大きくなっており、とりわけインバウンド施策の中では、イスラム対応がキーになる、ということです。

イスラムフレンドリーという考え方

イスラム女性 インドネシア

「ハラル対応」をするということは、イスラムの人たちの滞在を心地よく整備してあげること。それは、ほかならぬ「イスラムフレンドリー対策」であり、存在感を高めるイスラムの人たちを迎え入れるには、ハラル対応は不可欠だということですね。

日本では「イスラムは中東」というイメージをもつ人が多いですが、世界で最もイスラム教徒の数が多い国はインドネシア。

アジア圏にも多くのイスラム教徒がいて、彼らが旅行先を選ぶにも、「できればイスラムフレンドリーな施設に行きたい」と思うのは、当然のこと。実際、ホテルベッツのデータでも、「旅行の際は、ハラル対応のホテルに行きたい」という方が多いと話されていました。

ハラル対応の必要性

ハラル

今回の講演をまとめると・・・、ホテルやレストラン、その他、様々な商業施設についても、もし、イスラムの人たちに快適に過ごしてもらおうと思うなら、「ハラル対応」を考えることが重要性を増してくるということ。

そのことが、データでよく伝わってくる内容でした。今後、イスラムの方々を集客していきたいと考えている企業は、「ハラル対応」をどうするかを考えることが大事ですね。

そしてまた、「ハラル対応」のみならず、「イスラム」全体についての理解を深めていくことが、今後ますます必要になってくるだろうと思います。

「観光立国」日本、期待される取り組みと課題

富士山 京都

観光立国を目指す上で、日本にはまだまだ課題がありますが、いろいろなところで取り組みが加速しているのも事実です。

面白い事例としては、2009年から「日本の宿おもてなし検定」という検定試験が始まっています。旅館ホテルの接客サービスの標準化をはかり、サービスレベルの向上を図ることを目的にしたテストです。JTB協定ホテル旅館連盟の発案で始まったとされています。

また、2018年5月に、観光庁が「訪日ムスリム旅行者対応のためのアクション・プラン」を発表しています。省庁が連携してムスリム対応を推進するとの内容で、その骨子は3点。「ムスリムおもてなしガイドブック」の作成や、旅行観光整備事業(啓発事業や視察事業に要する経費)に対する補助金、訪日ムスリム旅行者受入環境等促進事業の選定などが発表されています。

「観光立国」を目標とする日本にとって、まだまだ整備すべきことはたくさんあります。しかし、訪日観光客の数が着実に増えていて、同時にこうした取り組みが加速していることは朗報とも言えますね。ますます多くの方々に日本の魅力を味わってほしいものです。

【参考】ハラルに関するブログ記事

「ハラル」に関連したブログ記事をまとめました。こちらも、どうぞ。

(参考:samsul.comブログから)
 
■2013年7月4日up
 日本企業は「ハラル対応」をどう考えるべきか
■2013年7月4日up
 「イスラム圏からの訪日旅行者」にどう対応すべきか(ハラルイベント第1講演)
■2013年7月4日up
 「イスラミック・ツーリズム」観光立国マレーシアの取り組み(ハラルイベント第2講演)
■2013年7月4日up
 アメリカのムスリム市場における「ハラル対応」の位置づけ(ハラルイベント第3講演)
■2013年7月4日up
 ハラルフードの豪華試食会に行ってみた。
■2013年7月4日up
 ハラル認証を取得したホテルの客室を見学してみた。

 
 
サムスル
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時の運と人の縁を極める日々の記録 】  渡邉 裕晃
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