インドネシア語の発音は、日本語の発音と似ています。
インドネシア語の学習本をいくつか見ても、
「さほど難しくなく発音できる」とされています。
日本語を母語とする人にとっては、
割合、とっつきやすい言語に部類されるように、私も思います。
そんな「簡単なインドネシア語」中でも、
難しいとされている発音の一つに「ng」があります。
わかりやすくいうと、
例えば日本語では「ガギグゲゴ」の音は1種類ですが、
インドネシア語では2種類の「ガギグゲゴ」があります。
日本語の「ガ・ギ・グ・ゲ・ゴ」は、「ga gi gu ge go」。
でもインドネシア語の場合、
「ga gi gu ge go」と「nga ngi ngu nge ngo」があります。
【写真:言語習得に格闘中の子供たち(スラバヤのモールのフードコートにあるラーメン店にて)】
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私は2014年8月に子供たちをインドネシアに連れてきました。
移住してから、ほぼ1ヶ月。
今まで、子供たちには何度か、この「ng」の発音を教えてみました。
それほど真剣に教えたわけではなく、
「私がふと思いついた時に教える」という程度でした。
でも何度教えてみても、やはり難しいようで、
いつまでたっても一向にできませんでした。
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私は幼少期に母親(インドネシア国籍)から教えられて、
自然にできるようになりました。
そのため正直なところ、
この発音を習得する難しさがよくわからないのですが・・・、
でも、子供たちに何度教えてもクリアできないところを見れば、
インドネシア語の学習本で「難しい」とされているのも、
「なるほど」という感じがしました。
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ところが!
今日の早朝のことです。
PCをしながら、背後から聞こえる子供たちの会話に耳を傾けていたら、なんと!
6歳の娘が5歳の息子に、この「ng」の音を教えているではないですか!
ちゃんとした発音で、繰り返し練習をさせていました。
これには、びっくり・・・。
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娘は2種類の「ガギグゲゴ」が、いつの間にか発音できるようになっていました。
私が繰り返し教えてもできなかったのに、
いつの間にか、自然と習得していたことには本当に驚きました。
現地のインドネシア人たちの会話を耳にしていて、
自然と聞き分けて覚えてしまったのでしょうか・・・。
子供の「耳と言語習得能力」は、
やはり大人とは違う何かがあるのかもしれません。
神秘的な気分にすらなりました。
子供に言語を教えることは、
神様との対話をしているようなものなのかもしれない。
そんなことを感じた朝のヒトコマでした。
子供の言語習得は本当に神秘的。
これからもこの神秘に向き合って、子供たちとの格闘を楽しく続けていきたいと思います。
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ところで余談ですが・・・、
私が日本で初めて小学校に入った時に感じた疑問の一つが、
「なぜ日本語の50音表には、ガギグゲゴが1種類しかないのだろう?」
というものでした。
恥ずかしくて誰にも質問できなくて、
結局その疑問が解けたのは、
小学校の中学年クラスに入ってからのことでした。
【写真:最近の子供たちの様子(インドネシアの実家の屋外ベランダにて)】
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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