インドネシアの国旗が上下逆に・・・。街に多くの国旗がはためく「インドネシアの独立記念日」からわずか2日後の珍事。インドネシアの主要メディア「kompas.com」が、スマトラ島で起きたトンデモ珍事を取り上げ話題になっています。
舞台となったのは、北スマトラのニアスにある教育局。役所で掲揚されている国旗が、なんと上下逆さまに・・・。これだけでも充分に珍しいことです。
でも、さらに加えて「kompas」は、同局の職員から記者たちに「200万ルピアを渡すからこれを記事にしないでくれ」との申し出があったということまで暴露しているのです。
【画像:Kompasで取り上げられた記事】
目次
インドネシア国旗が上下逆さま、ニュースは大反響に
「インドネシアの国旗が逆さまに。教育局が記者たちに200万ルピアのオファー」、そんな衝撃的な題名で、8月19日の21:08に公開された同記事。
目立つ国旗写真の影響か、一定の反響を呼び、翌日時点(おそらく夕方:記憶が定かでなくてすみません)で、同サイトのアクセスナンバーワン記事になるまでの反響に。
ランキングを見ると、このように、アクセス第2位の記事と比べて、13倍もの差がついています。
【画像:Kompasの記事アクセスランキング】
「国旗が上下逆に掲揚されている」という珍事。しかもそれが「役所」で正式に掲揚されている状態で、さらに言えば・・・、国旗掲揚を重視する8月17日の独立記念日からわずか2日。インドネシアでは充分に注目を浴びる出来事です。
そしてそれが1日近く放置され、なんとお金の申し出まで・・・。
これらの点が複合的に重なって、大いに注目を集める結果になってしまったようです。
インドネシア国旗の逆掲揚は、どうして起きた?
記事によると、いきさつは次の通り。まず、同局のインドネシア国旗が逆さになっていることに気づいて、質問をした数人の記者たちがいたそうです。
そこへ「ニアス県教育局」の中にある部署、「人的資源と教育に関する質的向上セクション」の長である、アロソキ・ロンブ(Arosokhi Lombu)さんが登場。彼ら記者たちを執務室に招くと、こんな提案をしたと言うのです。
「この出来事を記事にしないように求めたい。私達は200万ルピアを用意している」と。
インドネシア国旗が逆さになっている状態は、ほぼ1日ずっとだったとのこと。「こんな珍事、世界からは何と言われるんでしょう?」kompasは、ある地元住民のコメントを紹介。建物付近を歩く住民たちを驚かせる出来事だったと報じています。
ポーランドの国旗と上下が逆!! 実は言葉も逆?!
ちなみに、日本の国旗は「日の丸」のデザインなので、国旗が上下さかさまになっても問題になりませんが・・・、インドネシアの国旗はこうです。「横二色旗」と呼ばれますが、上側が赤で、下側が白というデザイン。実はモナコの国庫とデザインが同じです。異なるのは縦横の比率です。
【画像:インドネシアの国旗(日本外務省のホームページより)】
でもこのインドネシア国旗。上下が逆さになると、ポーランド国旗のデザインになってしまうんですよね(笑)
ちなみに余談ながら・・・、
ポーランド語の「tak」は「Yes」を意味するそうですが、
インドネシア語の「tak」は、「No」を意味します。
【画像:ポーランドの国旗(日本外務省のホームページより)】
さてこの2つの国旗。厳密に言うと、縦横の比率が異なるそうですが、それでも、インドネシアがポーランドになってしまうともなれば、これは大変な出来事です。
逆になったインドネシア国旗、どうやって直した?
その日の夕方近くになって、ようやく1人の警察官が来て、旗を直すよう同局スタッフに進言。ところがスタッフは、「すみません、担当者が休憩時間なもので・・」と取り合わなかったと記事は伝えています。
その後しばらくすると、同局の方角から1人のスタッフが現れ、自ら旗をおろし、上下を直してから、また旗を戻したとのこと。
こうした事態が起きた理由を記者が尋ねると、このスタッフはこう答えたそうです。
「問題を大きくするよりは、直すことが大事だ。私は国旗を愛している。それこそが、私がいま旗を直している理由だ」と。
インドネシア、ニアス県の知事の見解は?
今回の珍事についてコメントを求められた、ニアス県のソキアトゥロ・ラオリ(Sokhiatulo Laoli)県知事は、このような回答を寄せているそうです。
「私はまだメダンで地方首長選挙の調整会議に出席しており、今回の事態についての情報は、まだ持ち合わせていない」
「国旗の上下が反対だったことは意図的なものではなく、単なるミスでしかない」と。
火消しに躍起な県知事ですが、「メダンから戻り次第、すぐに教育局の局長とスタッフを呼びよせる」と記者たちに約束をしたそうです。さてどうなることでしょうか・・・。続報が待たれます。
大きな初動ミス、なぜお金で解決しようとしたのか
でも、気になって仕方がないのは、「人的資源と教育に関する質的向上セクション」の長が、お金で解決しようと試みたという部分。
インドネシアでは昔からの常ですが、
(そのため記事の反響の一つに「200万は少なすぎるよ!」との声もありました)
この手の話は、近年、日増しに厳しい視線が向けられるようになり、毛嫌いする国民も増えています。もしこれが事実であれば、県知事を始めとして、厳しい態度が望まれる可能性があると思います。
でも、返す返す思うのは、最初に記者から「国旗が逆だよ」と指摘された時に、なぜ迅速な対応をしなかったのか・・・ですよね。多くの人の目に触れる、目立つ存在なのに。
なんというか、初歩の初歩とでも言うべき事例ですが、
・小さなことでも、ミスはすぐに改めること。
・広く知れ渡ることは隠さないこと。
・失敗は誰もが犯しかねないことなので、改善に力を注ぐこと。
その大切さを改めて感じさせる珍事と言えそうです。
というわけで、今回は「インドネシア国旗が上下逆」と題し、インドネシアの役所が「記事にしないで」と記者たちに依頼を試みたというトンデモ珍事をご紹介しました。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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