今回のテーマは、インドネシア・ジャカルタの不動産。「一戸建て」に限定した場合、インドネシアの若者でも購入できる家はどこ?という話です。インドネシアの代表的メディア「Kompas」が「若者でも買えるジャカルタの住宅はどこだ?」ということで、矢継ぎ早に記事を出していて話題になっています。
インドネシアは急速な経済成長にともなって、物価も、人件費も、また不動産価格も上昇しています。「いつか自分の家を持ちたい」と願う人の割合は、日本よりも高いというのが私の印象です。でも、不動産の値段はますます上がっていくばかり・・・。そういう中にあって、若者には刺さる記事なのかもしれません。
それではジャカルタの不動産(一戸建て)の価格を見ていくことにしましょう。なお「一戸建て」ではなく「マンション」については、次の記事をご覧ください。
目次
インドネシアの不動産、価格や市況は?
【画像:Kompasの記事「ミレニアル世代の若者にも変える住宅地の一覧はこれだ」より】
「インドネシアの不動産市況はどうなっているの?」
「みんな、どれくらいの値段の住宅を買っているの?」
「若者は、いつくらいに住宅を買うの?」
私自身も、日本からインドネシアに来る知人と交流していると、そういう質問を受けることがあります。
今回は、ジャカルタに焦点をしぼった記事ではありますが、興味深い記事で、かつ、非常にわかりやすい内容だったので、Kompasから3記事ほどまとめてご紹介します。
今回は一戸建てについて。
マンションについては、こちらをどうぞ。
ミレニアル世代の若者にも変えるインドネシアの住宅地は?
まずは、こちらの記事。
■ミレニアル世代の若者にも変える住宅地の一覧はこれだ(Ini Daftar Perumahan yang Bisa Dibeli Generasi Milenial – Kompas.com)(27 Maret 2017 | 11:13 WIB) |
【画像:Kompasの記事「ミレニアル世代の若者にも変える住宅地の一覧はこれだ」】
メインのポイントをまとめると、次の通り。
ミレニアル世代、つまりは1981年から1994年に生まれた若者たち。インドネシアでは、人材マーケットのメインを占める年齢層だ。
「Rumah123.com」と「Karir.com」の共同調査によれば、ミレニアル世代は、少なくともこの5年は家が買えなくなるのではないか。彼らはそんな脅威にさらされている。 彼らの昇給ペースが平均10パーセントと見なされているのに対して、住宅価格の上昇は最低でも20パーセントあり、バランスがとれないからだ。 ミレニアル世代の平均月給は607万ルピア。一方で、ジャカルタで3億ルピアの家を買おうと思うなら、住宅ローンの返済のためには最低でも月給で750万ルピアが必要だ。 もし家を買いたいという夢をつらぬくなら、3億ルピアより下の物件を探さなくてはいけない。 |
この「3億ルピア」を日本円に換算すると、だいたい300万円弱になります。
ジャカルタの分譲住宅地、7エリアとは?
というわけで、Kompas編集部が探し出した物件(分譲住宅地)は、次のとおりです。
【写真:Kompas編集部がまとめたジャカルタの住宅7物件リスト】
といっても、これだと文字だけですし、インドネシア語で書かれているので、わかりにくいですよね。そこで、Google Mapで検索して、次の通りまとめてみました。
ジャカルタに来たことのある方であれば、地図を合わせて見てみると、「なるほど・・・」と、何か感じるところがあるかもしれません。全部で7つの住宅分譲地になります。
(1) グリヤ・タンゲラン・アスリ(Perumahan Griya Tangerang Asri)
場所:西ジャワ、バンテン、タンゲランのジャンブカリア(Jambu Karya, Tangerang, Banten)
(2) グランド・ハーモニー2(Grand Harmoni 2)
場所:西ジャワ、バンテンのタンゲラン、ブナル(Bunar, Tangerang, Banten)
(3) アキラ・デジデンス(Akila Residence)
場所:西ジャワ、バンテンのスラン、プマタン(Pematang, Serang, Banten)
(4) グランド・チタヤム(Grand Citayam)
(5) パノラマ・バリ・レジデンス(PANORAMA BALI RESIDENCE)
場所:西ジャワ、ボゴールのパトゥットゥ・ヌトゥッグ(Putat Nutug, Bogor, Jawa Barat)
(6) ダルマワンサ・レジデンス(Darmawangsa Residence)
場所:西ジャワ、ブカシのサトゥリアムカル(Satriamekar, Bekasi, Jawa Barat)
(7) サマストゥラ・チタヤム(Samasta Citayam)
場所:西ジャワ、ボゴールのチタヤム(Citayam, Bogor, Jawa Barat)
どれも地図を見れば明瞭にわかるのは、ジャカルタ中心部から非常に遠いということ。汗水たらして働いて、一生懸命になって「住宅ローン」を組んで、それでようやく手に入る家が、ここなのか・・・と。
ジャカルタの不動産、3億5000万ルピア台の住宅は?
そこでご紹介したいのが、次の記事。
■3億5000万ルピア台の住宅、ジャカルタにまだあるの?Masih Adakah Harga Rumah Rp 350 Juta di Jakarta? – Kompas.com(28 Maret 2017 | 09:31 WIB) |
【画像:Kompasの記事「3億5000万ルピア台の住宅、ジャカルタにまだあるの?」】
メインのポイントを抜粋してまとめると、次の通り。
Kompas編集部(不動産担当)の調査によれば、3億5000万ルピア未満の家は、ジャカルタ周辺部、例えばボゴールやタンゲラン、ブカシなどにある。
不動産ポータルサイト「Rumah123.com」の調査によれば、現在販売されている物件のうち95パーセントは、すでに4億8000万ルピア以上となっている。それより安い物件となると、5パーセントしかない。 ジャカルタ周辺部であるボゴールやデポック、タンゲラン、ブカシなども同じような状況だ。78パーセントは4億8000万ルピア以上の値段がついており、それより安い物件は22パーセントしかない。 |
ジャカルタ近郊に、3億5000万ルピア台の住宅は残っている?
そしてもう一つの記事。
■ジャカルタから数十キロ圏内にある3億5000万ルピア台の住宅Rumah Seharga Rp 350 Juta Berjarak Puluhan Kilometer dari Jakarta – Kompas.com(28 Maret 2017 | 09:31 WIB) |
【画像:Kompasの記事「ジャカルタから数十キロ圏内にある3億5000万ルピア台の住宅」】
ここでは、衝撃的なポイントが指摘されています。
Kompas編集部(不動産担当)の調査によれば、3億5000万ルピア未満の家は、ジャカルタ周辺部、例えばボゴールやタンゲラン、ブカシなどにある。ジャカルタ中心部から40km以上も離れていて、1時間以上はかかる距離だ。
スルポンにある「Serpong Garden」については、敷地60平米に、建物面積は33平米で4億8900万ルピア。 ブカシにある「Dharmawangsa Residence」は、敷地72平米に、建物面積は45平米で3億9600万ルピア。 「Ciputra Development」社が開発した住宅地「「Citra Indah」は1億5000万ルピア程度で手に入るが、敷地60平米に、建物面積は22平米。ジャカルタの中心部まで行くには55kmもあり、通常なら2時間。週末にもなれば、渋滞で3時間も4時間もかかる。 |
「生活の質」という点からみてどうなんだ? という点は明らか。
私自身はインドネシアに住んでいるとは言え、ジャカルタに住んでいるわけではありません。ジャカルタ以外に住んでいる人と話をしていると、よく話題になるのがジャカルタ事情。
「ジャカルタは仕事をする場所であり、金儲けをする場所。人が住む場所ではない」
そんなふうに表現する人がとても多いのです。
ジャカルタの不動産価格の高騰、厳しい住宅事情
今回の「不動産価格」という観点を見ても、非常に厳しい住宅事情があることがわかると思います。
記事では「ミレニアル世代の平均月給は607万ルピア」とありますが、これはジャカルタに限った事情であって、地方では、とてもこんな大きな数字にはなりません。
それでも根強い「持ち家信仰」もあって、がんばって住宅を取得する人たちは多くいます。今回の不動産状況のまとめを見れば、インドネシアの若者たちの一つの側面が、また違った観点から実感できるのではないかな・・・と思い、まとめてみた次第です。
3億5000万ルピアでも手に入る家を特集した背景は?
ちなみに余談ながら・・・、今回、インドネシアの代表的メディア「コンパス」(Kompas)が、3億5000万ルピアでも手に入る家を記事化したきっかけ。マニアックネタですが、これが実に面白いのです。
いま、ジャカルタ州知事選挙が白熱しています。ジャカルタだけでなく、インドネシア全土で。前回は3グループ(州知事と副知事でセットで出るため)が立候補し、過半数の票を獲得したグループが出なかったため、上位2グループで、4月に決選投票が行われます。
3月27日にテレビ討論が行われました。
【画像:ジャカルタ州知事選挙のテレビ討論が開催される告知】
そこで、アニス候補の目玉政策として、
「最初の住宅を取得する際の頭金をジャカルタ州が負担する」という
アイディアが説明されました。
そこで彼は言ったようなのです。
全額を負担するのではなくて、あくまでも頭金の部分だけだよと。
もし3億5000万ルピアの家だったら、ジャカルタ州が負担するのは頭金である5200万ルピアです。その頭金の部分こそが、私たちが消したいと考えている領域部なんです。軽減してあげたいんです。 |
Kompas編集部(不動産担当)は、それを聞いて「あれ?」って思ったようなんです。
「そもそもジャカルタに3億5000万ルピアで買える家なんてあるのか?」と(笑)
ミレニアル世代の平均月給から借入可能な金額を想定
「ミレニアル世代の平均月給は607万ルピア」という点から、借入可能な金額を類推して「3億5000万ルピア」と仮定。そして、その金額で買えるジャカルタの家は、実際にどんなものなのかを調査してみた・・・というわけです。
ここからすけて見えてくるインドネシア事情って、すごく広いなぁ・・・と思いました。
繰り返しになりますが、インドネシアの不動産事情や、住宅購入事情について聞かれることが多く、実に面白い記事が矢継ぎ早に出されたので、まとめてみました。皆様の何らかの参考になれば幸いです。
なお「一戸建て」ではなく「マンション」については、次の記事をどうぞ。
【参考】インドネシアの不動産事情について
インドネシアの不動産や住宅の事情に関するブログ記事です。こちらもぜほどうぞ。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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