飛行機に乗るのが怖い。飛行機が苦手・・・という人は意外といるはず。私もその一人です。すでに40年以上も飛行機を経験していますが、今でもなかなか慣れません。だいぶ克服できましたが、それでも大きな揺れが来ると恐怖に襲われて・・・。
飛行機に乗る時の恐怖。どうしたら乗り越えられるんだろう? と思っていたのですが、今回インドネシアの現地メディアを読んでいたら、こんな記事を見つけました。題して、「飛行機に乗った時に感じる恐怖を取り除くための10のコツ」(10 Tips Mengatasi Rasa Takut Naik Pesawat:インドネシア語)というもの。
ブリティッシュ航空(British Airways)のキャプテンが紹介する10のコツ。飛行機の不安や恐怖を乗り越える方法が紹介されています。興味のある人も多いかなと思うので、今回はこの10のコツをご紹介します。また、エールフランスやスイス・インターナショナル・エアラインズが提供する対策セミナーについても簡単にご紹介します。
目次
飛行機が怖い?「飛行機恐怖症」とは?
飛行機の恐怖を乗り越えるための10のコツを紹介する前に、まず考えておきたいのは「なぜ飛行機に乗ることが恐怖を与えるのか」ということです。この恐怖は「飛行機恐怖症」とも呼ばれています。
「飛行機恐怖症」は、英語で「フォビア」と呼ばれる「恐怖症」の一種に分類されているものです。英語では、Aviophobia(飛行恐怖症)、またはAerophobia(飛行機恐怖症)といいますが、何か特定のものに対して、心理学的かつ生理学的に恐怖を感じてしまうという症状です。「飛行機恐怖症」の場合には、飛行機の揺れなどを原因として、飛行機に乗ることで恐怖を感じてしまうという症状になります。
具体的には墜落や揺れに対する恐怖、高いところを飛んでいることの恐怖、狭いところに閉じ込められていることの恐怖、パイロットにしか操縦がコントロールできず、自分では何もできないということの恐怖など、様々な原因があるとされています。
人によって様々な原因が考えられるわけですが、飛行機の恐怖を取り除くには、その人にあった原因を考えることも重要だと言われています。
30年の実績、5万人が受講した飛行機の恐怖克服セミナー!
飛行機の不安や恐怖を乗り越えるためのコツを紹介しているのは、ブリティッシュ航空のキャプテン、スティーブ・オールライト(Steve Allright)さんです。
ブリティッシュ・エアウェイズは、イギリスの航空会社ですが、なんと! 飛行機の恐怖を克服するための専門コースも運営しているのだそう。しかも30年以上にもわたる歴史があり、5万人を超える人たちが受講をしているそうです。ぜひ受けてみたい!
「自信をもって飛ぼう」(Flying with Confidence)という名前のコースですが、そのコースリーダーが彼です。ブリティッシュ航空では、2012年9月1日から、飛行機の不安を取り除くための機内放送を流しているようですが、その映像のプレビュー映像がこちら。ここで解説をする男性がスティーブ・オールライトさんです。
英文ですが、「Flying with Confidence: The proven programme to fix your flying fears」という本も出されています。直訳すると「自信を持って飛ぼう:飛行時の恐怖を克服するための実証済みプログラム」になりますね。
飛行機の恐怖を乗り越えるための10のコツと治し方
ではここで、飛行機の恐怖を乗り越えるための10のコツをご紹介します。ブリティッシュ航空が30年に渡って蓄積してきたノウハウと教訓にもとづく知恵です。
飛行機の揺れは自然現象の一つ!!
飛行機の揺れは心地の良いものではありません。でも飛行機が揺れるのは自然現象の一つ。自然なことであって、危険なものではないということを思い出しましょう。
深い呼吸を意識する!!
呼吸をコントロールすることです。怖くなったら、ゆっくりと深い呼吸を心がけましょう。
筋肉を安定させてみる!!
呼吸と筋肉の収縮運動を合わせてみましょう。背中やお尻の筋肉を安定させることは、脳から発信される恐怖の信号を取り除くための効果的な方法です。
安全に配慮した最新技術を知る!!
飛行機は空を飛ぶ交通機関です。空を安全に飛行できるように最新技術で設計されたものであることを思い出しましょう。
翼の役割を知る!!
翼が上昇しても恐れてはいけません。飛行機が上昇するのを可能にするために翼が上昇するのであって、機械そのものが上昇するわけではありません。また高度3万フィートを飛んでいる飛行機は、エンジンが停止しても、翼の助けを借りることで、そのまま100マイルは飛行を続けることができるのです。
自分を忙しくしてみよう!!
飛行機の中にいる時は自分を忙しくさせて恐怖心を忘れさせましょう。映画を見たり、本を読んだり、食べたり、書いたりしてみることです。
パイロットの厳しい訓練を知る!!
飛行機のパイロットはすでに厳しいプロセスの中で飛行をしており、プロとしての練習とテストを経ている存在です。6ヶ月に1度のシミュレーターを用いたテストなど継続した訓練をしているということを覚えておきましょう。
プロのメンテナンスを知る!!
飛行機の機体はしっかりしたメンテナンスを受けており、飛行前には必ずパイロットや技術者たちによるチェックを受けています。飛行機のメンテナンスも、ランセンスをもった技術者が定期的に行っています。
パイロットはルール遵守のプロ!!
飛行機の操縦士はすでに練習を積んだ存在で、プロとしてのライセンスをもっています。プロの操縦士たちは、厳しいルールのもとで仕事に取り組んでいます。すべてのパイロットは常に空のルールを遵守するよう求められている存在です。
着陸後の幸せを想像する!!
もし恐怖心が訪れたらイメージしてみましょう。これから向かう先の目的地で、ゆったりとくつろいでいる自分を。快晴に恵まれて、親しい仲間からの抱擁を受けて・・・、あるいは成功したビジネスイベントに出席している自分を想像してみるのです。
というわけで、以上が「ブリティッシュ航空のキャプテンが語る、飛行機の恐怖を乗り越えるための10のコツ」として紹介されていたもの。ざっとご覧いただいて、どんな感想をもたれましたか?
「揺れても大丈夫」だけど、飛行機が揺れると怖くなる
飛行機に乗る時、恐怖や心配の気持ちが出てくるのは誰にも起きること(ですよね?)。また、直近で大きな飛行機事故が報道されていれば、その恐怖心はさらに大きくなることでしょう。
実際にこの10のコツを見て「たしかにそうだよな」と思う人もいれば「頭ではわかっているんだけど・・・」という人もいるはず。私もそうです。頭ではわかっていますが、実際に飛行機に乗って、大きな揺れが連続して起きようものなら、急に恐怖が襲ってきます。「揺れても大丈夫」と知っていても、なかなか難しいものです。
飛行機の恐怖を取り除いた方法、私の場合
それでもだいぶ克服できました。どうやったの? と思われるかもしれません。
個人差はあるかもしれませんが、私自身の場合、飛行機に乗る恐怖がだいぶなくなった理由は、やはり実際に飛行機に乗る回数を増やしたこと。そして、乗る前に「いかに飛行機が安全であるか」を自分に言い聞かせる。飛行中も、気になったらそれを繰り返す。そうやっているうちに次第と恐怖は消えていきました。
ちなみに・・・、これは余計な話かもしれませんが、ある程度まで克服できた後、私は調子に乗って逆のことをやったこともあります。つまり飛行中に「ここで落ちたら・・・」とイメージすること。これはあまり推奨しませんが、ある効果をもたらすことができます。興味のある方は、こちらをどうぞ。
飛行機の恐怖を克服する対策プログラムやセミナーは?
しかしながら、このブリティッシュ航空のセミナー、ぜひ受けてみたいな・・・。日本で開催されていないのが残念でなりません。海外では同様のセミナーが意外と多く開かれているそうです。
飛行機が怖いと感じている人は意外といるのではないでしょうか。恐怖感を瞬時に消す方法はありません。しかし、恐怖を感じる理由を知り、技術面での安全対策を学習することで「揺れても大丈夫」と理解することで、不安を少しずつ減らしていくことは可能なのだと思います。
エールフランスが提供する対策プログラムの内容は?
フランスの航空会社であるエールフランス(Air France)の場合、とても充実したプログラムが用意されています。ただし残念ながら日本国内では提供されていません。また、フランス語ができた方が、しっかりと内容が味わえる内容になっている模様です。
場所は、パリのシャルル・ド・ゴール空港か、パリのオルリー空港にある同社の「パイロット技術研修センター」です。毎月のように開催されているようで、それだけ需要があるということなのかもしれません。
費用は680ユーロ(約83,500円:2019年6月現在)と高めですが、「飛行機の恐怖を克服したい!」という人にとっては、とてもリーズナブルなメニューになっているようです。
調べてみたところ、提供されているものは大きく分けて4点あるとのことです。
(1)心理療法士に会って45分間の面談:不安の対応を検討する。
(2)飛行機の理論と実践を学ぶ
・飛行機恐怖症の専門家からのレクチャー
・客室乗務員の職務や飛行中の安全確保の責任体制に関する説明
・パイロットが、航空力学と航空学の基本を説明
(3)エアバス320/A320のコックピットと同じ仕様のシミュレーターに搭乗し、乱気流や緊急対応時など、飛行中の様々な条件を体験。また雷や雨、乱気流などを起こして気象条件を理解。
(4)研修の1日を振り返る。また研修終了後も質問に対応
なお、受講後もエールフランス航空に搭乗する際は、リクエストをすることでフライトの優先対応や相応の配慮(飛行機恐怖に関するものだと思います)が行われるそうです。
スイス・インターナショナル・エアラインズの対策プログラムの内容は?
スイスの航空会社、スイス・インターナショナル・エアラインズ(SWISS : Swiss International Air Lines)も、対策プログラムを提供しています。
「Fit-to-Flyセミナー」というもので、同社に加えてエーデルワイス、ルフトハンザ、Aviation Trainingの共催で行われているもののようです。
エールフランスが提供するメニューと似ており、
・フライト全般についての理解
・段階をおって、飛行機にで何が起きているかを解説
という流れとなっているとのこと。恐怖症の人がよくテーマにあげるのは「乱気流」ですが、同社によれば「乱気流は飛行機に影響を及ぼさない」ことの説明を行う他、離陸から着陸までに鳴る様々な音の意味や役割などの解説も行われるそうです。
料金や開催場所などの詳細はわかりませんでしたが、やはり日本では行われていないもようです。
日本の航空会社が提供する対策プログラムは?
日本の航空会社でも同様の対策セミナーが行われていないか調べてみましたが、見つけることができませんでした。「パニック障害の方へ」という内容はありましたが、飛行機恐怖症への対策については、今度の課題なのかもしれません。
なお試しに日本語の本を探してみると、ちょっと古いですが、こんな本が出てきました。他にも2〜3冊ほど出てきましたが、いずれも古い本で販売されていません。
飛行機の恐怖を克服するための教育体制、日本ではまだまだの分野なのかもしれませんね。ちょっと整備するだけでも大いに救われるという人、意外と多くいると思うのですがね・・・。ぜひ日本でも、飛行機の恐怖を乗り越える教育体制が広まることを期待したいものです。
飛行機の恐怖は克服できる!!
というわけで、「飛行機の恐怖を乗り越える10のコツ」と題してブリティッシュ航空によるセミナーの概要とコツを紹介しました。
「飛行機が怖い!」と感じる人は意外といるのではないでしょうか。恥ずかしくて人にはなかなか言えなくて・・・とか、飛行機の恐怖を削減する方法なんて無いだろうな・・・と思っている人もいるでしょう。
しかし今回ご紹介したような、飛行機の恐怖を乗り越えるための教材やセミナーがあるということ。そして、そのための方法が数十年間以上にも渡って研究されていることは、飛行機に恐怖を感じる人には朗報となるはずです。以上、何らかの参考になれば幸いです。
【参考】飛行機の恐怖を克服したら
最後に、関連ブログをご紹介します。飛行機の恐怖を乗り越えるためには、飛行機に乗った気分になることも大事です。飛行機の関連ブログとして、以下の記事もチェックしてみてください。
なお、飛行機チケットの手配なら一括検索が便利です。以下がオススメです。飛行機に乗るつもりで、いろいろ検索してみましょう!