「申し訳ございません。現在お席がいっぱいでして・・・」 予約無しに人気店を訪れた時に、よく聞かされる言葉。こうして並んで待つことになるわけですが、たまに、こんなフレーズを耳にすることになります。
「カウンター席なら空いているのですが、カウンター席でも、よろしいでしょうか?」
おもんぱかって、言ってくれているのかもしれません。でも、「カウンター席でも」という表現には、いつも引っ掛かりを覚えます。なぜなら、私は「カウンター席が良い」からです。「でもよいですか?」の「でも」が、わからないのです。
彼の発想は、「テーブル席>カウンター席」。
「カウンター席で申し訳ない」という考えです。でも、私はカウンター席の方が良いのです。彼はその私の希望をヒアリングできていません。一方的な思い込みで判断すると機会損失を被るという一例です。
目次
カウンター席には魅力がいっぱい
3人未満の場合で、グルメで、酒飲みで、こだわり料理を出す店であれば、なおさらカウンター席に人気が集中するものです。
寿司屋であったり、鉄板焼き店であったり、あるいは、ぱりっとして、凛とした割烹料理店であれば、カウンター席に座り、料理人の所作を見ることは、それはそれは、まるで、芸術作品を見ているような感覚に襲われます。料理人の方とのおしゃべりも、お酒に料理に、相当な付加調味料になるものです。
また、テーブル席とは違い、カウンター席の場合は会話が弾みやすいという傾向があります。面と向かって言うのは恥ずかしいことでも、顔を見ないで話せる上、すぐ接近して語れるので、より親密な会話がしやすくなるのも特徴です。「デートの時はカウンターがいい」と言われるのは、そういう特徴がカウンター席にはあるからなのでしょう。
カウンター席の魅力、商品の魅力を知っているか?
私の経験上では、「カウンターでも良いですか?」と言うスタッフのほとんどは、グルメでないか、経験の少ない若いスタッフであるケースがほとんどです。
カウンター席は申し訳ないはずだ・・・。
お客様の要望を探ることもせず、勝手な思い込みだけで行動してしまうと、とんでもない勘違いをしてしまいかねません。
これは、料理店だけに言えることではありません。私達も、仕事をしていく中で、同様のミス、あるいは同様の機会損失を創出してはいないでしょうか?
カウンター席の魅力を知る店主のスタンス
あるいは、こんなこともありました。あるお店に行った時のことです。予約をしてから訪問したところ、若いスタッフに案内されたのはテーブル席。自信を込めて、「さぁ、どうぞ」と案内されました。
私はこういう店では、カウンター席こそが楽しめる人間です。
「カウンター席に移れますか?」と尋ねました。
スタッフは不思議な顔をしながら、「あぁ、大丈夫ですよ」と即答。空席があったので、カウンター席に移動することができました。一息ついていると、近くの厨房からひそひそ話が聞こえます。
「おまえ、カウンター席の予約状況も確認せずに案内しちゃ、だめじゃないか」
「はい、すみません・・・。」
上司に注意を受けていたのでした。
実は、こうなのです。
・その若いスタッフの価値観:「テーブル席>カウンター席」
・その上司の価値観 :「テーブル席<カウンター席」
上司は「カウンターこそ」発想で、
部下は「カウンターでも」発想だったわけです。
そしてその二人とも、私がカウンター好きであることを知りません・・・。
顧客の要望と心理をつかんで提案する
お客様の要望を知ることなく、勝手な思い込みで行動すると、せっかく価値あるものでも、粗悪だと卑下した提供をしがちです。これは、あまりにももったいないことです。
私は広告代理店を経営していますが、先日、うちの営業マンが、こんな報告をしてくれました。
私たちの会社サムスルでは、サムスルが売りたいものを売るのではなく、お客様のために最適な提案をするように心がけています。その結果、あるお客様から、こう言われたのだそうです。
「最近は、ただ安いものとか、ただ新しいものとか、そんなものばっかり提案してくる代理店が多いんです・・・。安けりゃ良い、新しければ良い。きっとそう思っているんでしょうね。
でもサムスルさんは、古くからある定番的で基本的な商品でも実施すべきとあれば、きちんと提案してくれている。頼もしいですね。じっくり聞かせてください」と。
自分の思い込みではなく顧客の視点を見つけよう
これを、ぜひ自分の会社の商品やサービスに置き換えて考えてみて下さい。
カウンター席に座りたい人がいたとして、その人に、「申し訳ありません、カウンター席しか無いのですが、そんな席でも、よろしいでしょうか?」なんてこと、言ったりしていないでしょうか?
「Aという商品よりもBという商品の方が欲しがるはずだ」と決めつけていないでしょうか?
ここをどう改善するかで、お客様との新密度も、ご提案の受注率も、大きく変わってくるように違いない。私は、そう思うのです。
そして、広告出稿に携わっている皆様。特定の広告代理店にお願いしているという企業様でも、「サムスルからも提案をしてもらおうかな?」と思われた方は、ぜひ、お気軽にお問い合わせくださいませ!(笑)
■追伸:
こちらの記事も、ぜひどうぞ。
このコラムは、2007年7月21日に配信したメールマガジンを転載したものです。
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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