あるお坊さんが自らの成長を達成できた理由

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今回のテーマは「成長」。どうしたら成長できるのか。いかにしたら加速できるのか・・・。興味をもつ人は少なくないと思います。そんな中で、今回とりあげるのは、あるお坊さんが成長を遂げたという事例。

「お坊さん? 私には関係ないな」と思いますか?  先日、私が尊敬する、ある高名なお坊さんと、お食事をさせていただく機会がありました。実に興味深い内容だったのです。

そのお坊さんのお話は、実に面白いものでした。

日本の歴史や文化などを題材に、教えられることばかりでした。その話題は、とどまることを知らず、過去から現在という時間軸だけでなく、日本から海外へという空間軸、あるいは、リアルの世界から心の世界まで・・・。

お話が大変うまい方で、縦横無尽に語られるそのお姿には、実に強く圧倒されるものがありました。そんな中、とても面白い話を教えてくれました。




先輩のお坊さんと、後輩のお坊さん

先輩のお坊さんと、後輩の修行僧とがいて・・・、
後輩思いの先輩は、後輩の成長を願って、一生懸命に指導しているという関係。

先輩が「救われるから、ある念仏を唱えるように」と指導。

その後輩は、「そんなので救われるのですか?」と思うことなく、ひたすら念仏を唱えたそうです。

なぜか。

「救われたいから念仏を唱えた」のではなく、「尊敬する先輩から指導されたから、その通りにやってみた」のだそうです。

そしてそれは、

・尊敬する先輩が、
・自分の成長を願ってくれる先輩が、
・自分の飛躍を考えてくれる先輩が、

そういう先輩が、自分のためを思って指導してくれたことだから。だから、ひたすらやってみた。

そうしたら、ある時、急に、自分から、自然と、悟りをひらいてしまった、というのです。

「効果や意義が確認できないとチャレンジできない」という病

・それは、何のためにやるのか?
・これをやることでどんな成長が得られるのか?
・自分の成長に対して、どう役立つのか?

そう思う人もいるでしょう。

でも、そういうスタンスでは、少なくとも、仏教を理解するということは、できんのですわ・・・
そうおっしゃいます。

「ビジネスの世界では、そういうスタンスでも、十分にやっていけるのかもしれないけれど・・・」
そんな感じでした。

でも私は、ビジネスの世界でも、同じだと思います。

     □     □     □

「最近の若手社員は、何でもかんでも、その意味だったり、何に役立つかとか聞いてくる。つべこべ言わずにやれっていうんだよなぁ・・・」

特にご年配の上司の方々の中には、そんな思いを抱かれる方が少なくないと聞きます。指導の仕方に問題があるということもあるでしょう。

「自分から育つ」タイプの人材に期待しすぎているということもあるかもしれません。

     □     □     □

ただ、何でも意味や意義を見いだせないと行動に移せないという、視野の狭い功利主義的なマインドになっていると、何もできなくなってしまいます。

何も経験できなくなってしまいます。

何も学べなくなってしまいます。

結果として、成長できない負のスパイラルに陥ります。

     □     □     □

もしその指導が、尊敬できない(無能な)上司によってもたらされたものであれば、その意味を問いただす価値はあるでしょう。

でも、尊敬できる優秀な上司によって、自らの成長を熟慮してくれた上での指導だったとしたら、素直に実行していくことが、大切なのではないでしょうか。

経験から学べること、量を通じてわかること

そうしたことも、確実に存在するからです。与えられたせっかくの教材を、「私の成長に無意味な作業だ」と決めつければ、自分で自分の成長の芽を摘み取ってしまっていることになります。

親鸞が投げかける、「成長」についての大きなヒント

私の記憶が正しければ、親鸞は、こんなことを言っていたそうです。

「念仏をとなえれば、救われる」という表現は正確性を欠いている、と。「念仏をとなえるぞ! と心から決意をして、それを実行しようと思い立った、まさにその時その瞬間、その人には救いが訪れているのだ」と。

私はここに、何かヒントが隠されているように思えてなりません。

こちらのブログ記事もどうぞ。

転職してお坊さんになる|成功する人の条件を高名な住職に聞いてみた
お坊さんの求人、僧侶への転職。「えっ、そんなのあるの?」と思いますか? 実は意外とあるらしいのです。お坊さんに転職を希望する人たちの理由や「転職して成功する人の条件」を高名な住職から教わってみました。ここにご紹介します。

 
このコラムは、2007年8月29日に配信したメールマガジンを転載したものです。
 
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 2007年9月14日            渡邉 裕晃

 

 

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